野菜が高騰しているけど健康のためにはしっかり食べるべき?

(写真:アフロ)

 連日のようにニュースになる冬野菜の高騰、鍋物に沢山野菜を入れたいけれど、値段を見てカゴに入れるのを控えてしまう人も多いことでしょう。昨秋からの低温の影響で野菜が十分に育たず小さいまま出荷せざるを得なかったり日本海側の大雪で収穫が難しかったりと、この傾向はしばらく続きそうです。

 厚生労働省は健康のために野菜を1日350g以上食べましょうと提唱しておりますが、国民栄養調査の結果(平成28年調査成人の値)によると1日の摂取量は276.5gとされており、目標に届いていない状況です。ただでさえ不足傾向なのに野菜を控えたら健康に影響がでるのではないかと心配になる人も多いと思います。

 

■野菜は350gぐらいは食べないとダメ?

 野菜の高騰を受け、価格の変動が少ない豆苗に注目が集めたり、冷凍野菜を活用したレシピが人気になるなど、野菜と健康について消費者の関心の高まりを感じます。そのこと自体は良いのですが、そもそも野菜を350g食べると健康になれるというデータはあるのでしょうか。

 世界全体で見ると、野菜摂取量が多いグループで総死亡率が下がる傾向が見られるのですが、私達日本人を対象にした疫学研究(※1)では、野菜の摂取量と総死亡率の間にはあまり関係がなさそうだという結果がでており、野菜をたくさん食べたからといって、死亡率が下がるとはいえそうもありません(※2)。各種がんとの関連を見ると、胃がんなど一部のがんとの間に予防効果が確認されていますが、循環器疾患、糖尿病の予防とも強い関連はみられませんでした。循環器疾患では、野菜よりも果物に循環器疾患の発症予防が確認されています。

■果物を食べよう

 果物といえば嗜好品というイメージがありますが、野菜と並んで体の調子を整える働きを持つビタミン類が豊富な食品です。果物は野菜に比べて保存がきき、輸入などの長期輸送でも鮮度低下が少ないことから、価格も比較的安定しています。

 野菜不足が問題とされることが多いのですが、日本人の栄養摂取の特徴をみると、諸外国に比べ果物不足の傾向が見られます。野菜の高騰が話題になったこの機会に果物の不足を解消してみてはいかがでしょうか。野菜だけで350gはハードルが高いですが、野菜プラス果物だったら達成できそうですよね。

 また、果物では不足しやすい食物繊維やミネラルは価格の安定しているナッツ類、豆類から摂ることができますので、野菜が不足しているときにはこれらの食品を意識して食べると良いでしょう。

 

※1 国立がん研究センター社会と健康研究センター予防研究グループ

多目的コホート研究

※2 死亡率にはかかわらないような疾病の予防や改善、腸内細菌叢への影響、便性状の改善など野菜健康効果はこれだけに限りませんから、色々な野菜をしっかりと食べることはやはり推奨されます。