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なぜ大迫と南野は実力を発揮できずにいるのか? 日本の攻撃が停滞する原因【中国戦出場選手採点&寸評】

中山淳サッカージャーナリスト/フットボールライフ・ゼロ発行人
(写真:ロイター/アフロ)

日本の攻撃はすっかり“伊東頼み”

 吉田と冨安という欠くことのできないCBコンビがともに負傷欠場するという不安材料があった中、森保ジャパンが中国を相手に2-0で勝利。3試合ぶりの複数得点で予選4連勝を飾り、無事に勝ち点3を積み上げた。

 ただ、グループB首位のサウジアラビアと3位オーストラリアも勝ち点3を獲得したため、上位3チームの順位変動はなし。首位サウジアラビアとは勝ち点4ポイント差、3位オーストラリアとは1ポイント差のままとなった。

 一方、試合内容は、正直、2-0で完勝したとは言い難いものだった。

 先制ゴールは、伊東のクロスを相手DFがスライディングでブロックに入ったところ、上げた腕に当たったことで得たラッキーなPK。後半の追加点は、中山のスローインを南野が戻し、中山のクロスを伊東が頭で決めた。

 中山のクロスは素晴らしかったが、先制点も追加点もセットピースからのゴール。それ自体は良いことだが、しかしボール支配率で日本は61.4%を記録し、7割くらいは中国陣内でゲームを進めることができていたにもかかわらず、流れの中からのゴールがひとつもなかったことは問題だ。

 いくつかチャンスは作ったが、決定機と言えるシーンも少なく、全体的に攻撃が停滞。ただ守るだけの中国に合わせてしまったと言えばそれまでだが、2次予選で格下相手に一方的に攻めていた時の日本の攻撃よりも、明らかに質やバリエーションが低下したと言わざるを得ない。

 結局、4-3-3に布陣変更してから続いている森保ジャパンの課題は、今回も解決できていなかった。

 攻撃は、集団で連動するより個の力。つまり、3試合連続ゴールを決めた伊東頼みの状態に陥っている。今回はオマーン戦で左サイドを個人で活性化させた三笘が怪我で不在だったため、その傾向がより色濃く見えた。

 実際、伊東が単独で攻撃を活性化させることにより、右SBの酒井の攻撃参加も減少。布陣が4-3-3に変わってからは中央への縦パス(主に大迫へのくさび)も減り、南野と長友の左サイドに至っては、ほとんど機能不全に陥っている。

 中央も左サイドも、伊東のように個の力で打開するタイプの選手はいない。基本的に、大迫も南野も周囲との連係プレーが命の選手。それだけでも、2人が力を発揮できなくなるのは火を見るより明らかだ。

 それでも、指揮官はなかなかスタメンを変えようとしない。誰が見ても停滞している左サイドと前線中央をそのままに、右の伊東に局面打開を任せるサッカーを黙認する。

 そろそろ対戦相手が、日本の攻撃を見抜いてしまう可能性は高いだろう。

 確かに、中盤に3ボランチを並べる4-3-3は、相手のカウンター対策も含めて守備面では成果を出している。それが4連勝の要因のひとつとなっているため、スタメンを動かしにくいのも理解できないわけではない。

 また、少しずつ中盤3人の動きがスムースにつながるようになり、細かい部分でブラッシュアップされているのも間違いない。

 しかし、今回のシリーズの2戦目は首位サウジアラビア戦である。それを考えれば、どちらかと言えば守備で直面するリスクの少ない中国戦は、たとえ相手が新監督に替わって情報が少ないとはいえ、左SBも含めていくつかのポジションで変更を加えても大きな問題にはならなかったはず。

 逆に、それが控えメンバーのモチベーションを上げ、サウジアラビア戦に向けてチーム全体の勢いを増すブースター効果にもつながる。

 ガチガチのスタメンと、ガチガチの守備的スタンスで、確かにここまで4試合は白星を積み重ねることができた。しかし、チーム全体に勢いが出ない中、果たしてこれがあと3試合続けられるのか。事故を起こさずに切り抜けられるのか。

 4連勝をしても、なかなか上潮には乗れていない森保ジャパン。3月に予定されるオーストラリアとの大一番の前に、まずは最初のハードルとなるサウジアラビア戦に挑む。

※以下、出場選手の採点と寸評(採点は10点満点で、平均点は6.0点)

【GK】権田修一=6.0点

中国のシュートは2本。しかも、日本が中国陣内でゲームを進めた試合だったため、プレー機会は少なかった。ただ、数少ない中でミスはなく、安定したパフォーマンスを見せた。

【右SB】酒井宏樹=6.0点

前半に伊東へのパス供給によって何度かチャンスを演出した。ただ、時間の経過とともに見せ場が減少し、ミスも増えた。得意のオーバーラップからのクロス供給も少なかった。

【右CB】板倉滉=6.0点

吉田と冨安の鉄板CBコンビが負傷欠場したため、谷口とコンビを組んでフル出場。ワンサイドゲームだったため、守備面で大きな問題はなかった。フィードはまだ改善の余地あり。

【左CB】谷口彰悟=6.0点

負傷の吉田&冨安に代わってW杯予選初スタメン。攻め込まれるシーンが少なかったが、落ち着いたプレーを見せた。次のサウジアラビア戦で板倉とのコンビの真価が問われる。

【左SB】長友佑都(58分途中交代)=5.0点

攻撃面でアクセントになれず、左サイド攻撃が停滞する要因のひとつとなっていた。プレータイムも試合ごとに減少傾向で、次のサウジアラビア戦ではベンチスタートが妥当か。

【アンカー】遠藤航(73分途中交代)=5.5点

吉田の欠場によりキャプテンマークを腕に巻いてプレー。田中と守田と比べて守備の仕事の割合が多いが、攻撃での貢献は不足気味。累積回避により後半途中でベンチに下がった。

【右インサイドハーフ】田中碧=6.0点

持っている能力を出し切れているわけではないが、代表の中盤として定着するだけのプレーをこの試合でも継続。立ち位置を変えながら敵陣に相手を封じ込めるプレーを完遂した。

【左インサイドハーフ】守田英正=6.5点

ほぼ一方的な試合だったこともあり、低い位置から組み立てるプレーより自ら高い位置で攻撃にアクセントを加えるプレーが目立った。その分ミスパスも増えたが、十分な出来。

【右ウイング】伊東純也(85分途中交代)=7.0点

立ち上がりに相手のハンドを誘発してPK獲得に貢献し、後半61分には自らのヘッドで追加点を決めた。これで3戦連続得点。いまや日本代表最大の得点源で、エース格に昇進。

【左ウイング】南野拓実(85分途中交代)=5.0点

左内側のレーンに立ち位置をとるのはいいが、いつも以上に中央に寄る時間が長く、かといって大外に上がる長友との連係も不十分。38分のシュート以外に残した爪痕はなかった。

【CF】大迫勇也(58分途中交代)=6.0点

13分にPKを決め、試合の流れをつかむ貴重な先制ゴールをマーク。ただ、ポストプレーを相手に狙われてロストするシーンもあり、好機も逃した。PKがなければ及第点以下の内容。

【FW】前田大然(58分途中出場)=5.5点

大迫に代わって後半開始から1トップでプレー。W杯予選デビューを飾ったが、前線でのチェイス以外は実力を出せずに終わった。周囲との連係も含めて、改善すべき点は多い。

【DF】中山雄太(58分途中出場)=6.5点

長友に代わって後半途中から左サイドバックでプレー。出場直後に自らのピンポイントクロスで伊東のヘディングシュートをアシスト。スタメンを奪うに値する“結果”を残した。

【MF】久保建英(73分途中出場)=5.5点

遠藤に代わって後半途中から1トップ下でプレー。布陣も4-3-3から4-2-3-1に変わった。シュートミスなどゲームに入りきれず、イメージ通りのプレーを出来ずに終わった。

【MF】堂安律(85分途中出場)=採点なし

伊東に代わって後半途中から右ウイングでプレー。出場時間が短く採点不能。

【MF】原口元気(85分途中出場)=採点なし

南野に代わって後半途中から左ウイングでプレー。出場時間が短く採点不能。

サッカージャーナリスト/フットボールライフ・ゼロ発行人

1970年生まれ、山梨県甲府市出身。明治学院大学国際学部卒業後、「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部に入り、編集長を経て2005年に独立。紙・WEB媒体に寄稿する他、CS放送のサッカー番組に出演する。雑誌、書籍、WEBなどを制作する有限会社アルマンド代表。同社が発行する「フットボールライフ・ゼロ」の編集発行人でもある。

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