「小1の壁」放課後の居場所、学童保育の現状は

放課後の居場所「学童保育」も入れるとは限らない(写真:アフロ)

子どもが小学校に入ると、働く親は子どもの居場所に悩みます。保育園と違って小学校は早い時間に終わってしまい、放課後を過ごす「学童保育」は待機者が多く低学年しか入れない所も。親は居場所探しだけでなく、学校の宿題や提出物の管理などすべきことが増え、周囲でもこうした「小1の壁」に悩みを抱える親は多いです。今回は、学童保育の現場に詳しい「全国学童保育連絡協議会」(全国連協)で話を聞きました。

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●定員なしで「詰め込み」も課題

厚生労働省によると、「放課後児童クラブ」(学童保育)の2018年5月1日時点の待機児童数は1万7279人でした。利用登録している児童数は123万4366人。待機児童数も登録児童数も過去最多で、施設数は2万5328カ所。学童保育は、働く親の子たちが放課後に過ごす場所として昔からあり、1990年代に児童福祉法に基づく事業として法制化されました。運営の形としては自治体の直接運営、社会福祉法人・民間企業・NPO法人などに委託、保護者が自主的に運営と様々です。

筆者は、学童保育は誰でも入れると思っていました。保育園のように厳しい審査や手続きがある、3年生になったら入れず、2年生も両親がフルタイム勤務でもかなりの家庭が落とされると知り驚きました。

でも単純に、「入れるからいい」とも言えないようです。保育園は国の基準で何人までと決まっていますが、学童保育は自治体の裁量で条例が定められ、詰め込むこともできます。「1人あたり1.65平方メートルのスペース」という参考の数字しかなく入所制限がないので、広くないのに50人から60人、多い所は100人以上が入れてしまう大規模な学童保育もあります。

定員があって入れない人が出てくるのも問題ですが、狭い部屋に詰め込まれるのも環境としては問題。「騒がしくなって落ちつけないですし、遊びを制限せざるを得ないからです。全国連協としては1カ所30人ぐらいが適正ではないかと提言しています。小学校の1~2年生クラスは35人ぐらいまでが目安とされていますので」(全国連協の担当者)。人数が多いとケガやトラブルも起こりやすくなり、心配です。

●不足で高学年は入れず

なぜ3年生以上は入れないのかというと、必要な子がたくさんいるのに学童保育の数が追いついていないから、低学年の優先利用になるそうです。児童福祉法では、学童保育は小学校6年生までとなっていますが実際にそれは少数です。

学童保育に入れなかった場合は、学校内にある「放課後子供教室」という文部科学省管轄の居場所があるので、そちらを利用すればいいだろうと聞きます。全国連協の担当者は「放課後子供教室は学童保育とは目的・役割が異なります。放課後子供教室は毎日やっているとは限らず、ボランティアやシルバーさん(高齢者の人材)だけで運営している所もある。保護者の就労を保障する目的ではなく、子どもが来なかったり帰ったりしても保護者はわからないケースがあります」と指摘。本来は、学童保育に入れない子の受け皿ではないようです。

●指導員の質の向上・待遇改善を

学童保育の十分な場を用意することと、質の向上は課題になっています。近年、学童保育で働く「放課後児童支援員」の資格ができて社会的な認知は上がっていると思われますが、学童保育で働く人たちの待遇の改善も問題だそうです。

「非正規職員が多く、最低賃金プラスアルファの賃金で働いています。専門職としての認識がまだまだ低いのが現状です。質を保った上で数を増やしていく。指導員が資格を持ち待遇を上げることが求められています」(担当者)。放課後児童支援員の資格を持つ指導員を原則2人、配置することは「従うべき基準」と児童福祉法に定められています。政府は2018年12月、地方分権改革の対応方針を閣議決定し、自治体の裁量を拡大し条例を変更して1人でも可能になるといい、議論を呼んでいます。

●子どもがのびのび過ごせるように

最近は、民間企業が運営する学童保育も増えています。送迎付きで英語やプログラミングなどの豊富なプログラムが用意され、「預かってもらえて刺激も得られるなら」と人気。届け出などがないビジネスで、高額だったりトラブルがあったりしますが、公立学童・最寄りの学童がいっぱいで入れない家庭は頼らざるを得ない場合もあります。

今回の取材で「学童保育は『生活の場』」という言葉が印象的でした。もともと、学童は子どもたちが宿題をして、遊んで、おやつを食べて、のびのびと過ごす場所。保育園では個々の違いを認められ、お昼寝の時間もあり、夜まで同じ環境で慣れ親しんだ先生や友達といられました。1年生の様子を見ていると、朝から学校で授業を受けて決まりに従い、放課後は疲れていると思います。放課後や長い休みをどうやって過ごすのがいいのか、子ども本人の気持ちを尊重しつつ、受け入れ可能な場所を探す必要があります。学年が上がるにつれ、居場所探しがどう変わっていくのかも気になりますね。