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母子入院できる産後ケアセンター体験

なかのかおりジャーナリスト(福祉・医療・労働)、早稲田大研究所招聘研究員
産後の親子を支援する場が必要だ(写真:アフロ)

産後の母親はあちこちが痛くなる。休みたくても休めず、小児科デビューも経験して緊張が続く。最近は親子で泊まれて、食事や赤ちゃんの世話、母体のケアを頼める施設もできてきた。娘が生後83日目に、産後ケアセンターを利用した筆者の体験を紹介する。

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「産後の体2 ケアセンターへGO!」(子育て支援NPOサイトにて連載した「アラフォー初めてママのときどきドキドキジャーナル」より)

●入浴中も上から母乳、下から出血

産後、1カ月健診までは、ほとんど自宅で過ごしました。産後1カ月半ぐらいになると、親子で外出も始めて自宅での生活や授乳に慣れてくるのですが、疲れも出ます。24時間、年中無休でベビーの命を預かるわけです。ごはんはかきこみ、初めてのことが多くて緊張は続く。ママは胃の痛みが気になっていました。

このころ、ベビーバスでの沐浴(もくよく)が終わり、お風呂に一緒に入るようになりました。私は産後の出血が長く続いたので、娘を抱えてお風呂に入ると、上からは母乳、下からは出血と大変なことに。夫は海外に単身赴任中。代わってもらうことは1日もなく、がんばっていました。

●パパのお世話までは無理

体がきついときは、歌を作って「すっぽんぽんで、きれいきれいー」と歌いながら入れたり、娘をお客さんに見立てて「お顔を洗いますねー」とエステごっこをしたり、自分を盛り上げていました。湯船で抱っこしながら娘を洗った後、ママが自分の体をちゃちゃっと洗うとき、最初は泣きましたが頭支えのついたベビーバスに座って待てるように。それでも自分もベビーもふいて、着替えて、ママは息つくひまもありません。

「パパは手伝ってくれない」という不満があるママは、週に1回だけでもベビーをお風呂に入れるとか、お弁当を買ってきてもらえるとかであれば、全くないよりマシと思ってみてね。そうはいっても、命がけで新生児を育てているのに、そばにいて役に立ってくれなかったらものすごいストレス。ごはんや洗濯など、パパのお世話まで求められても、無理! せめて、自分のことは自分でやってもらいましょう。

●アスリート合宿のような生活

産後の出血は、まだ続いていました。出産した病院の母乳外来に行ったとき、助産師さんに相談すると、「それは長いわね」と言って産婦人科に取り次いでくれました。遅い時間でしたが、主治医がいたので内診と血液検査を。胃に負担がかかる抗生物質を何とか飲みました。なじみのドクターに「ひとりでよくやっているね。がんばりすぎないようにね」と励まされて、それだけでとてもうれしく、幸せな気持ちになりました。

ベビーとの生活は、アスリートの合宿みたい。泣いて抱っこ、ちょっと寝る、また抱っこの繰り返し。「早く寝てくれたら、片付けられるのに…」って計算して、いらいらしちゃう。ベビーは泣くもの。親の期待通りには、いかないのに。

●生後2カ月、小児救急デビュー

2カ月のとき、夜に娘が母乳をたくさん吐き、初めて救急外来へ。あわてて娘をおくるみでくるんで抱っこひもに入れ、バッグをつかみ、タクシーをつかまえて駆け込みました。娘は「こんな時間にどこ行くの? わくわく」って感じで元気そうだったのですが、初めてママは気が気じゃありません。

小児科のお兄さんドクターにみてもらい、かんちょうで便秘が治ったら、すっきりした様子の娘。便秘が原因で上のほうまで圧迫され、吐いたみたいです。「病院でほかの病気がうつったらどうしよう」と緊張し、帰宅してすぐシャワーで洗い、寝かせました。

「娘は私が支える!」というプレッシャーで力みまくりです。仕事も人生も経験を積んだアラフォー、ついトラブル解決の手腕を発揮してしまうのです。だけど、無理が体を直撃するのもアラフォーならでは。救急デビューの緊張から胃の痛みが強くなりました。

●胃痛でもベビー連れ検査はできず

後日、内科に行きましたが、授乳中なので強い薬は飲めず、「ハンドクリームを塗るような効果」という胃薬をもらいました。年齢的に内視鏡検査も勧められましたが、ベビー連れだったので延期。

こうした緊急時にそのまま出かけられるように、パジャマではなく部屋着かジャージ以上の服を着て寝るようになりました。携帯電話も電池切れでおいて飛び出しちゃったけど、充電しておかなくちゃ。おむつや着替えはバッグにまとめて。「お風呂で倒れちゃったらどうしよう」という心配も。娘を安全な状態にして、バスローブぐらいは着て、救急ボタンを押す…とシミュレーション。サバイバルな毎日は続くのでした。

●2週間、産後ケア入院した友人

同じマンションのママは出産した病院を退院後、2週間ぐらい近くの産科クリニックに入院。おっぱいをみてもらうのが主で、ほかにアロママッサージのサービスも。野菜や玄米のごはん、おやつがおいしかったそう。

私も、この時期にあまりに体がきついので、休養のため産後ケア入院を考えました。ただ、自費で一泊すると何万円もかかるし、ベビーが何カ月までといった決まりもあります。ちょっと離れた場所にある産後ケアセンターは、午前中から夜7時までの日帰り利用もできたので、生後83日目に娘と行ってみました。

●日帰り利用するも遠くて疲れた

感想は…遠くて疲れました。その自治体に住んでいればかなりの助成があるので、地元のママがほとんど。遠くから来たママも、産後すぐから宿泊している人が多かったです。

ベビーをみてもらってごはんを食べながら「夫が単身赴任でサポートもない」と話すと、共感しあえるような境遇のママはいなくて(当たり前か)、「えらいね」と驚かれました。おっぱい相談の助産師さんには「飲ませすぎだから減らして」と言われ、娘はこつぶちゃんだったので混乱。個室で休むこともできたのですが、時間がなく、落ち着きませんでした。

●充実の食事とケア、助成で入院なら最高

お食事は栄養も考えられていて豪華。昼食はちらしずし、煮物、茶碗蒸し、お吸い物、あえ物、ミニどらやき。夕食がスープ、サラダ、お魚、パウンドケーキ。出産から少し時間がたった私の場合、話を聞いてもらう時間がほしかったかな。日帰り利用は約2万円。

ベビーを抱えて自宅に帰るのが不安なママにとっては、すばらしい施設。ママの体力が戻るまで、ごはんもしっかり食べられるし、おっぱいの飲ませ方を教わり、ケアしてもらえる。産後にごはんと人手があるってすばらしい! こういう施設や助成が広がるといいですね。

ジャーナリスト(福祉・医療・労働)、早稲田大研究所招聘研究員

早大参加のデザイン研究所招聘研究員/新聞社に20年余り勤め、主に生活・医療・労働の取材を担当/ノンフィクション「ダンスだいすき!から生まれた奇跡 アンナ先生とラブジャンクスの挑戦」ラグーナ出版/新刊「ルポ 子どもの居場所と学びの変化『コロナ休校ショック2020』で見えた私たちに必要なこと」/報告書「3.11から10年の福島に学ぶレジリエンス」「社会貢献活動における新しいメディアの役割」/家庭訪問子育て支援・ホームスタートの10年『いっしょにいるよ』/論文「障害者の持続可能な就労に関する研究 ドイツ・日本の現場から」早大社会科学研究科/講談社現代ビジネス・ハフポスト等寄稿

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