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25年、会見を見てきた者として感じた大谷翔平投手の凄み

中西正男芸能記者
(写真:アフロ)

ドジャースの大谷翔平投手が日本時間の26日、水原一平通訳の違法賭博問題に関してメディアの前で言葉を発しました。

質疑応答のある記者会見ではなく、声明を発表するというアナウンスだったので、無味乾燥に文章を読み上げる時間になるのかとも思いましたが、言える範囲は限定的なものの、しっかりと自分の言葉で話している印象を受けました。

僕は芸能記者なのでメジャーリーグについては門外漢ですが、25年の記者生活で会見という場には数え切れないほど足を運んできました。

会見では「何を話したのか」がもちろん重要ですが、もう一つ大きなことは「どう話したか」です。“言葉”以外の“空気”。そこから得られることも多々あります。

今回の大谷投手は、全く空気が揺らいでいない。妙な忖度などではなく、会見を数多見てきた者としてもギョッとするほどの凄みを感じました。

それを強く感じたところが二か所ありました。

一つは大谷投手の代理人のところに賭博関与についてメディアからの問い合わせがあったことを説明する部分。

「僕が博打に、あ、スポーツ賭博に関与しているのではないかという連絡がありました」

何かをごまかそうとしている。後ろ暗いことがあるので決まったことしか言えない。

そういった人は言い間違いに対して非常にナーバスになります。言葉を間違えた瞬間、それが本筋のことではなかったとしても、空気に揺らぎが生まれます。ただ、大谷投手はそこをサラッと通り過ぎた。

恐らくは「博打という表現は荒っぽいし、適切ではないな。スポーツ賭博だよな」という思考のもと、瞬時にサラリと言い換えました。

もう一つは水原氏がチームメイトに賭博のことを告白し、その後、大谷投手に話したことという流れを説明する部分。

「その時、彼から『ホテルに帰った後で詳しいことを二人で話したいので、今は待ってくれ』と言われたので、待つことにしました」

これは細かい事実関係に言及している部分です。しかも、ここの事実を知っているのは水原氏と大谷投手のみ。

もし自分が事実ではないことを言っているのであれば、相手から何か言われかねない。後ろ暗いことがあればどうしても、恐怖心が言葉やトーンの揺らぎとして出てしまう。ここにもそれがなかった。

こんなことを綴るのもバカバカしいですが、大谷投手の肩を持つためにこんなことを綴っているのではありません。会見の経験値が人より多い者として、多少でも意味があればと思い、自分の仕事への矜持と照らし合わせながら発信しています。

とはいえ、質疑応答もありませんでしたし、この会見の設えがよいのかどうかは議論の余地が多分にあるとは思います。

そして、なぜこれだけのお金を水原氏が動かせたのか。お金の管理がどうなっていたのか。事実関係においてもまだまだ分からないことだらけではあります。

何が本当で、何が間違いなのか。それが明らかになることが無用な詮索を少なくする唯一の方法であり、今はまだその第一歩に過ぎないのでしょう。ただ、ひとまず。人並み以上に会見に見てきた者として綴りました。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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