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「キングオブコント2023」準優勝の「カゲヤマ」を変えた同期からの叱責。そして、70歳での理想形

中西正男芸能記者
「カゲヤマ」のタバやんさん(左)と益田康平さん

「キングオブコント2023」でインパクト抜群の全裸謝罪ネタを披露し、準優勝したお笑いコンビ「カゲヤマ」。決して順風満帆の航路ではなかった中、タバやんさん(38)、益田康平(38)さんともに「多くの方に支えられてきました」と感謝の思いを吐露します。中でも、大きな転機となった同期からの叱責とは。

常にあった負い目

タバやん:「キングオブコント2023」の翌日から、本当にありがたいことに一切休みがなくなりました。リアルな話、やっと、アルバイトのことを考えなくてもいい生活に入ることができたなと(笑)。

益田:あと、うれしいのが「知ってもらっている」ということです。吉本興業の社員さんも、芸人の先輩も「見てるで」から入ってくださる。「誰?」ではなく、僕らを認知してくださっているところから始められる。

僕らが勝手に感じていただけのことかもしれませんけど、常に「君たち誰なの?」と思われているんじゃないかという負い目。まだまだですけど、少しはそこがなくなったのは本当に大きかったですね。

仕事のフィールドというか、場も変わりました。以前は東京の若手中心の劇場でしか活動してなかったんですけど、テレビにも行かせていただく。営業に行かせてもらう。地方の劇場からもお声がけいただく。緊張する一方、本当にありがたいことだと噛みしめています。

ここで変わるしかない

タバやん:なんとか少しずつお仕事がいただけるようになったんですけど、ここに至るまで、本当に多くの方からお気持ちをいただいてきたなと改めて思います。

今月開催する単独ライブも、作家のマンボウやしろさんが総合演出をしてくださるんですけど、もともとやしろさんが組んでらっしゃったコンビ「カリカ」さんには1年目からお世話になっていました。

「カリカ」さんのライブのお手伝いをさせてもらう中で「二人は面白いんだから、自分たちが面白いと思うことを貫いていったほうがいい」という言葉をいただきました。その頃は何を目指したらいいのかも分からない時期だったんですけど、そこで指針の指針の重み。今もそれを強く感じています。

益田:何かことあるごとに「シソンヌ」のじろうさんも連絡をくださいまして。あこがれの先輩なんですけど、去年の「キングオブコント」の後にもメールをいただきました。

「ネタ、面白かったよ。ただ、面白いオジサンたち(サルゴリラ)に負けちゃったな。でも、益田も面白いオジサンになれると思うから」

やさしさとか気遣いとか、何か言葉にした瞬間、味が変わるくらい思いにあふれたメールをいただいたなと。本当に面白いオジサンを目指したいと思いましたし、じろうさんに恩返しをしたいとも思いました。

タバやん:あと、これは先輩ではないんですけど、もらった言葉が大きな転機になったこともありました。

僕らが6年目の時にやった新ネタライブ。司会を同期のコンビ「ダイタク」がやってくれたんです。ライブを盛り上げるために「ダイタク」がすごく頑張ってくれて、MCは大ウケだったんですけど、肝心の僕らの新ネタはスベったんです。

「手ごたえはあんまりなかったけど、自分たちの好きなことはやれた」。僕らの中ではそんな満足感もあったんですけど、打ち上げの場で気持ちが一変しました。「ダイタク」から説教されたんです。

「お前ら、好きなことばっかりやってないで、もっといろいろ考えろよ。このままだと辞めることになってしまうぞ。本気で考えないと」

ずっと僕らは“自分たちが面白いと思うもの”をとただただ雑にぶん投げる。そんな状態だったんです。それでいいとも思っていたし。

でも、その日何時間も説教されて、目が覚めたというか。

ここまで言ってもらうことに意味がないわけがないし、本当に変わらないといけないんだろうなと。

面白いと思うものを追い求めるのはもちろん変えない。ただ、それがきちんとお客さんに伝わっているのか。分かりやすさも考えているのか。

人に見てもらうためのネタなので、当たり前のことなんですけど(笑)、そこで初めて考えたと思います。お客さんに喜んでもらえなかったら、来てもらえなかったら、この仕事を続けることもできない。そこを今一度見つめ直したというか。

当時、沖縄・那覇に吉本興業の劇場がありまして、そこに東京や大阪から1カ月、誰か芸人が行く流れがあったんです。沖縄だし、リゾート感覚で行く人たちもいた中、僕らも手を挙げて沖縄に行きました。

ここで何かをつかむしかない。ここで変わるしかない。

会社が取ってくれたマンスリーマンションで毎日新ネタを作り、劇場で披露する。その繰り返しの1カ月でした。そこでできたネタでその年の「キングオブコント」で初めて準々決勝に行けた。そこで「ダイタク」から電話が来て「良かったな」と言われました。胸いっぱいになる流れでもありました。

70歳でも

益田:いろいろな方への恩返しも含め、やっぱりもう一回「キングオブコント」の決勝には行きたいですね。準優勝のもう一つ上があるわけですし。

タバやん:あとね、先日「博多華丸・大吉」さんが「華大どんたく」という大きなイベントを地元・福岡でされたんです。そこに僕らも参加させていただいたんですけど、心が震えっぱなしの場だったんです。

スターさんばかりが来られているし、皆さん全員「華大さんのために、どうしてもここに来たい」と思っている。その空間がすごいことだと思いましたし、いつか、ここまで大きくなくても、これに近いものができたらなと。「こんな夢みたいなところが本当にあるんだ」と知れたのが何より大切なことでした。

益田:いつかそんなことをやらせてもらえたら幸せですし、15年ほど芸人をやってきて「ダイタク」もだし、いろいろな仲間がいることを感じてもいます。

そんなメンバーと70歳になっても元気に芸人をやっている。そんなことが実現できたら楽しいだろうなと最近強く思うようになりました。みんな元気で、みんな仕事がある。なんとかそこを目指せるよう頑張りたいなと。

タバやん:…ただ、僕らは2人とも体重100キロを超えていて、全然運動もしてないんですよね。なんとか60歳、70歳までいけるよう、ネタも、体重も、精査していければなと思っています(笑)。一日でも長く、好きなこの仕事を続けられるように。

(撮影・中西正男)

■カゲヤマ

1985年7月15日生まれのタバやん。(本名・田畑孝一)と85年8月19日生まれの益田康平が2009年にコンビ結成。NSC東京校14期生。吉本興業所属。「キングオブコント2023」で準優勝。3月22日には東京・よみうり大手町ホールでベストネタ単独ライブ「里に来た怪物」(総合演出・マンボウやしろ)を開催する。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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