「いくつからでも、どこにいても」。西村紗江子さんが考える“輝ける場”を作る意味
多くの人に輝くきっかけを提供すべく誕生したコンテスト「Mrs&Mr of the Year」の創設者・西村紗江子さん。国際線のCA、大手芸能事務所幹部などを経て、なぜこの場を立ち上げたのか。今の思いを吐露しました。
新型コロナ禍での決意
大学を出てから日系エアラインのCAとして勤務していました。
その生活の中で、海外の様々なエンターテインメントに触れることができた。そして、もともとファッションやミュージカルに強い興味があったこともあり、芸能事務所に転職したんです。
CAの仕事からも多くの学びをいただき感謝するばかりなんですけど、全く違う仕事がしてみたい。その思いに突き動かされるように次の世界に飛び込みました。
二つの芸能事務所でモデルさんのマネジメントなどを経験し、責任あるお仕事もさせてもらうようになったんですけど、またそこから次のチャレンジに興味が湧いてきまして自分で会社を立ち上げたんです。
その会社はアイドルグループやイベントのプロデュース、キャスティングが主な業務で、ありがたいお話なんですがグループの一つはオリコンチャートでも結果が出せるようになってきました。
「やっと、これまでの積み重ねが実ってきた」。手ごたえを感じていたところでやってきたのが新型コロナ禍でした。
お客さまに来ていただいてイベントを開く。そういった流れが一切できなくなってしまいました。どうしたものか。本当に悩みました。
でも、そこである言葉を耳にしたんです。
「疫病は100年に一度は起こってしまう。そして、そこで価値観は大きく変わる」
その言葉を聞いて、世の中が停滞しているけれど、何かを始めるならば今だと確信しました。
では、何を始めるのか。モデルやタレントのマネジメントなどそれまでの芸能事務所での経験もあって、自分の中で明確に感じていたのが「人には光を放つ瞬間がある」ということでした。
これから売れていく。一皮むけた。一歩を踏み出した。その瞬間、本当にその人が輝くんです。
これを多くの方に経験してもらえないか。自分の中にあったその思いが今展開している「Mrs&Mr of the Year」の原型となりました。
「自身のリミットを作らず、エイジレスにボーダーレスにジェンダーレスにチャレンジをし続ける、愛と感謝にあふれた女性になろう」。それをコンセプトに立ち上げました。
誰もが輝ける場を
そうやって人が輝くきっかけというのは東京や大阪など大きな街にはあふれているけど、地方にはなかなかチャンスがない。やるならば、全国47都道府県でできるシステム作りが必要だ。何歳からでも、どこにいても、誰でも輝ける。その背中を押すお手伝いができるシステムを作ろうと思って、今日までやってきました。
いろいろなカテゴリーがあるんですけど、最高99歳の女性が出場されたこともありますし、事故で腕を失った女性が出場してくださったこともあります。今の場所から一歩を踏み出す。そのきっかけになればと思っているんです。
実際、もう何十年もしっかりと化粧をしたことがない。長い間、下の名前で呼ばれたこともない。ハイヒールも持っていない。そういった方がこのイベントをきっかけに、自分に自信を持ち内外面が変わっていく。その姿を見ることで私も一歩を踏み出して今の形を作ったことは間違いではなかったという思いをもらっています。
今は台湾など海外でも「Mrs&Mr of the Year」をやっていて、ゆくゆくはこの動きを世界に広げていけたらなと思っています。
ずいぶん大きな目標なのかもしれませんけど(笑)、そうやってたくさんの人が輝く。そんな場をこれから作っていけたらなと思っているんです。
(撮影・中西正男)
■西村紗江子(にしむら・さえこ)
兵庫県出身。国際線のCA、大手芸能事務所勤務を経て独立。アイドルのプロデュースやキャスティング業務などを手掛けるが、2020年、新型コロナ禍をきっかけに新たな形のコンテストとして「Mrs of the Year」を立ち上げる。その後「Mrs&Mr of the Year」として大会がステップアップし「自身のリミットをつくらず、エイジレスにボーダーレスにジェンダーレスにチャレンジをし続ける」をコンセプトに47都道府県で地方大会が行われ、各地区で結果を残した参加者が集まる全国大会が毎年行われている。