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「見たことないけど、見たかった」。「オダウエダ」を「THE W」王者にした信念、そして先輩芸人の言葉

中西正男芸能記者
「オダウエダ」の小田結希さん(左)と植田紫帆さん

昨年、女性芸人ナンバーワン決定戦「THE W」の王者になった「オダウエダ」。7月2日には初の単独ライブ「ALC.不可説不可説転」をルミネtheよしもとで開催します。小田結希さん(27)、植田紫帆さん(30)さんともにネタに強いこだわりを持ち「『見たことないけど、見たかった』を作りたい」と語ります。一気に人気者となった二人ですが、飛躍の裏には、葛藤から引き上げてくれた先輩芸人の言葉がありました。

「大丈夫だから」

植田:本当にありがたいことに、昨年の「THE W」優勝以降は仕事量が倍以上になったと思います。

速水もこみちさん、檀れいさん、「オダウエダ」という並びでテレビに出ていたり、亀梨和也さんから「『オダウエダ』さんはどうですか」と話を振られたり。

一つ一つがウソみたいな出来事ですしね。「オダウエダ」というお題で「THE W」が大喜利してるんじゃないかと思うような毎日です(笑)。

どこまでもありがたいしかない日々なんですけど、そこに導いてくださったのが「スリムクラブ」のお二人だったんです。

私たちが大阪から東京に出たのが2017年なんですけど、当時はコンビのボケとツッコミについていろいろな方からお声をもらっていた時期でもあったんです。

小田:私の見た目が「ツッコミっぽい」と言われることが多かったんですけど、私にはツッコミができない。どちらかというと、ボケの方だと。

ネタのことを言われて落ち込むことはないですし、落ち込んでいるヒマがあったら新しいネタを作ろうと思うタイプなんですけど、キャラクターというか、私自身のことを言われると考えてしまうところもあって。

植田:当時は本当に仕事もなかったですし、賞レースでも一回戦で負けるような状況でもあったんで、より一層悩みが深くなるといいますか。

もちろん、そういったアドバイスをくださる方々も良かれと思って言ってくださっているし、ありがたいことなんです。ただ、こちらの状態が良くない時期でもあったので、そこで悩みが自らにさらに刺さっていくというか。

そんな中、あるイベントで「スリムクラブ」さんとお会いしたんです。イベント内でもそんな話になって、また葛藤が増した感じだったんですけど、打ち上げの場でお二人が言ってくださったんです。「大丈夫だから」と。

「スリムクラブ」さんもツッコミは内間さんだけど、内間さんのキャラクターや立ち位置的にはボケのように見える。

その中でコンビを成立させ、結果を出していく。それをやってらっしゃるお二人からの言葉だからこそ、短い言葉がスッとしみ込んでいくのが分かりました。

さらに言うと、ネタの方向性的にも「なんちゅうネタをしてんねん」とよく言われる自分たちが勝手にシンパシーを感じていたというか。

幾重にも、こちらから一方的な思いながら「すごい」と思っていた方からいただいた言葉だったので、迷いが断ち切れた。そこは大いにあったと思います。

小田:「このまま進んでもいいんだ」という自信をくださったというか。お二人にしたらちょっとした言葉だったのかもしれませんけど、私たちにはすごくありがたい言葉だったんです。

植田:そこから3年経った2020年。たまたまお仕事で真栄田さんにお会いした時に「いい顔してるね」と言っていただいたんです。それも本当にうれしかったですし、その年に初めて「THE W」で決勝に進むことができました。

あくまでも私たちが思っていることですけど、本当に大切なところで力をいただいているなと。そして、面白くて、やさしい。それが一番カッコいいことだということも教わりました。

「見たことないけど、見たかった」

植田:今後の目標としてはやっぱり「キングオブコント」優勝ですね。これがコンビを組んだ時からの思いでしたしね。二人ともネタが好きだし、重視しているコンビなので、そこで勝負したいという思いは強いです。

小田:私たちのネタ作りはちょっと特殊なんですけど、私がネタの案を出して植田がそれをもとに構成を考えてくれているんです。

植田:互いに「これは面白い」という認可が下りないとネタにならないというか、チェックしあうようなシステムになってるかもしれないですね。

小田:あと、セリフはこだわっていると思います。当たり前ですけど、ネタをやるのは小田と植田しかいないんで、それぞれがナチュラルに使っている言葉を役柄に落とし込むというか。

普段使わないような言葉は極力セリフから外して、細かい言い回しにも無理をなくす。そういう部分もお客さんには必ず伝わると思ってまして。

植田:ネタの設定も、言い回しも、どこにもウソがない。二人が本当にこれがやりたいと思うもののみぶつける。

そうじゃないと意味がないですし、その結果、多くの方が「見たことないけど、見たかった」と思うもの。それを作れたらなと思っているんです。

7月2日に開催する初めての単独ライブでも、その思いを込めて新ネタをズラリと並べる構成を考えています。

…と言いつつ、もし、当日、これまでやってきたネタばっかりだったら、その時は「オダウエダ」によっぽどの何かがあったメッセージだと思ってください(笑)。

(撮影・中西正男)

■オダウエダ

1995年6月26日生まれで愛媛県出身の小田結希と91年7月1日生まれで大阪府出身の植田紫帆が2014年にコンビ結成。二人ともNSC大阪校36期生。17年に活動拠点を大阪から東京に移す。2021年、女性芸人ナンバーワン決定戦「THE W」で優勝。初の単独ライブ「ALC.不可説不可説転」を7月2日に東京・ルミネtheよしもとで開催する。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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