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ケンドーコバヤシ、「笑い飯」「千鳥」…。数々の人気者を孵化させる「バッファロー吾郎」という“温もり”

中西正男芸能記者
恩人、そして後輩への思いを語る「バッファロー吾郎」の竹若元博さん

 2008年の第1回「キングオブコント」で優勝したお笑いコンビ「バッファロー吾郎」の竹若元博さん(51)。若い頃に目をかけ、その後売れっ子になったケンドーコバヤシさん、「笑い飯」、「千鳥」ら“バッファローファミリー”と呼ばれるメンバーが多数存在し、ことあるごとに恩人として名前が挙がる存在にもなりました。その状況への思い。そして、根底にある自身の恩人への思いとは。

DIY

 コロナ禍で仕事は確実に減りましたね。コロナ禍前に比べると、4割は減っていると思います。

 数字的にはそれくらいになってますし、幸いお仕事はあっても無観客だったりすることも多いので、なんというんでしょうね、“やった感”的にはもう少し減っている気もしています。

 ただ、ここ何年かお仕事もいただいてきたDIY関連のお話は、今の状況だからこそ、少し上向きになっているのかなとも感じています。

 コロナ禍で家にいる時間が増えて、DIYを楽しむ人は増えた。それは間違いないですし、そんなにお金がかかるものでもない。今こそ需要が高まっている感じはあると思っています。

 そもそも、僕がDIYをやる原点となったのはもう25~26年ほど前。20代半ばの若手で時間はあるけどお金はない。そんな中「野性爆弾」のくーちゃん(くっきー!)とかと安い木材を買ってきていろいろなものを作ってみた、それがきっかけでした。

 その頃はまだDIYなんて言葉もなかったですし“日曜大工”と言っていた時代でしたけど、最初はネタみたいな小道具だとか、仏像だとかから始めて、そのうち家具を作るようにもなり、いつしか僕はそれで家を建てるようにもなってました(笑)。

 仲間内のノリでスタートしたものが、今となってはお仕事にもなり、面白いものだなと思いますね。

見えない準備

 もちろん、DIYも向き不向きがあると思いますし、僕はそこが合ってたんでしょうね。これってね、お笑いとも共通するところがたくさんあると僕は思っていて、一つは“目に見えない準備”が大切なんですよね。

 DIYというと、例えば壁を塗るとか、何かを組み立てるという作業を想像しがちだと思うんですけど、実は塗る前、組み立てる前がすごく大切なんです。

 もちろん設計図が必要ですし、設計図を作るためにはしっかりとした話し合いも必要。いきなり家を改造したり、大きなものを作り出したら「余計なことして!」と家族ともめること必至ですから(笑)。

 そして、実際に壁を塗るにしても、はみ出さないようにあらかじめマスキングテープを張っておくとか、断熱材を打ち込んだビスのところは段差になりやすいので、そうならないように処理をしておくとか。そういうことをしっかりやった上で、塗るという作業があるわけなんです。

 そういう見えないところでのことが大切で、やっておかないと逆に時間がかかったりもする。そんなところが自分が考えるお笑いにも通じると思いますし、その感覚があったからDIYをやめずにここまできたんだと思います。

恩人

 行き当たりばったりに作るのではなく、しっかりと流れや方法を考えて材料や工程を吟味して作っていく。この感覚はお笑いでも今も心がけている部分です。

 例えば「バッファロー吾郎」がやっているライブに後輩に来てもらうにしても、その後輩の特性をいろいろな劇場に行って見る。そこがうまく発揮される方法を考えて出てもらう。それを続けてきたつもりです。

 ただ、これは僕らが考えたことではなく、先輩の「リットン調査団」さんに僕らがしてもらったことなんです。

 僕らは若手の頃から毎回誰にでもウケるネタをやっていたわけではない。なんなら、お客さんは無反応だけど、舞台袖で芸人仲間は笑ってくれている。そんなことの方が多いコンビだったと思います。

 若手の頃はゴングショー形式の番組もあって、お客さんが面白くないと思ったら挙手して、その数が一定数に達するとネタ終了ということもあったんです。

 僕らの場合、相方の木村(明浩)君(現・バッファロー吾郎A)が一発ギャグをやって手が挙がり、僕の出番がないままネタが終わるということもありました。

 そうなると、長く見てもらえるようなマイルドな入りからスタートするものが求められる風潮にもなっていく。でも、自分たちがナチュラルにやりたいものはそれとは違う。

 そんな意識のズレみたいなところがあった頃、僕らがデビューして5年目くらいですかね、そこで声をかけてくださったのが「リットンー」さんだったんです。

 まだ何も残していない僕らをライブに呼んで、しかもメイン的な扱いで「リットン―」さんとガッチリやり合うポジションで出してくださる。

 しかも、それだけじゃなく僕らが一番活きるような世界観を作った上で呼んでくださる。なので、思う存分自分たちの色を出せるし、出したものがいつも以上にウケるんです。何重にもうれしかったですし、何重にも感謝しかないです。

後輩への思い

 その感謝をどう表現するのか。それを「リットンー」さんにお返しするのではなく、後輩たちに返していく。どれくらいできてるのかは分かりませんけど、僕らはそれを選びました。

 とはいえ、今、世間から求められる存在になったメンバーはもともと面白くて才能豊かな人たちだった。もちろん、そこが大前提だと思います。

 ただ、若い頃は決して人気者としてワーキャー言われていたタイプではなかった。そういう人たちが多いとは思いますし、いつの世も芸人の中にも、ワーキャー言われるタイプの人もいれば、そうではない人もいますから。

 そうではないんだけど、面白い。そんな人たちがどうやったら自分の力を発揮できるのか。その人たちの特性をとことん見て、合った場を考える。僕たちがやってもらったように。せめて、それができればなと。

 こんなことはこちらが言うことじゃないですけど、後輩から僕らに何かを返してほしいなんて思ったことはなくて、後輩がもし何かを思ったのなら、さらに後輩に返してほしい。それは純粋に思うところです。

 それでも、たまに後輩がライブに呼んでくれたりもします。そこで僕が一番やりやすいような場を考えて作ってくれていたりすると、そこはすごくうれしいですし、なんなんでしょうね、何とも言えない喜びを感じるところではあります。

 でもね、ここは本当にDIYと一緒で、そこの互いの気持ちが一致していないと「こんなムチャクチャなこと、どうしたらエエねん!」となるんですけど(笑)。幸い、そうはならずに来ています。本当にありがたいことに。

(撮影・中西正男)

■竹若元博(たけわか・もとひろ)

1970年8月12日生まれ。京都府出身。吉本興業所属。NSC大阪校8期生。同期は「千原兄弟」「FUJIWARA」ら。89年に木村明浩(2011年にバッファロー吾郎Aに改名)と「バッファロー吾郎」を結成。ABCお笑い新人グランプリ新人賞などを受賞。08年には第1回「キングオブコント」で優勝する。若い頃に目をかけ、その後、売れっ子になったケンドーコバヤシ、小籔千豊、「野性爆弾」、「笑い飯」、「千鳥」ら“バッファローファミリー”と呼ばれるメンバーが多数いる。自宅を作りあげるほどDIYが得意で、DIY関連の連載や仕事も多数請け負う。有料配信イベント「THE EMPTY STAGE~THE NEWS SHOW~」(12月4日)に出演する。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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