10月5日から放送されている日本マイクロソフトのCM「Windows 11 の世界へ」に出演中の女優・峰平朔良さん(20)。今年7月に行われた「TOKYO青春映画祭」で最優秀助演賞を受賞するなど注目度が急上昇していますが、原点にあったのは「自分は何もできない」という思いでした。

自信がない

 今回のCMは短い中にも感情が3つほどあって、その細かい見せ方を考えながらやるのが難しかったんですけど、本当にありがたい場をいただきました。

 今はこういうお仕事をさせてもらっているんですけど、子どもの頃はとにかく自信がなくて。「自分は何もできない」という感覚がずっとあったんです。

 それを見た母が何とかそれを改めさせてあげたい。何かのきっかけになれば。そう思って芸能事務所のオーディションを勧めてくれたのが高校1年の時でした。

 音楽は部活動でやっていたので、もし将来進むならそんな道はあるのかなと思っていたんですけど、芸能界みたいなキラキラしたところに進む発想は全くなかったんです。

 ただ、最初に受けたオーディションに落ちたんです。そこで負けず嫌いな自分が出てきて「次にチャレンジしたい」となったんです。そうやって地元でモデル活動みたいなことをやっていたところ、今の事務所にスカウトされて女優の仕事を始めたという流れなんです。

“なりたい自分”になれない

 ただ、そういう流れで入っているので、お芝居というものが何なのか。何も知らないまま女優のお仕事を始めたので、本当に無知だった上に、その中に入ると自分自身も見えなくなるくらいお芝居は深い世界でした。

 たくさんお芝居を見て、台本を読んで“なりたい自分”“演じたい姿”はあるのに、そうは全くならない。イメージはしているし、それをやっているつもりではあるんですけど、実際の映像を見てみると全然違う。その葛藤は大きかったですし、今ももちろんあります。

 難しいからこそ、正解が見えないからこそ、やりがいがあるという部分も感じています。そんな中で、同じ事務所の先輩から学ぶことも本当にたくさんあります。

 先輩の清水尚哉さんに、あるオーディションの前にその台本を使って実地訓練的なことをやってもらったんです。そこで言っていただいたのが“感情のストック”でした。

 毎日ご飯を食べている時でも、そこで自分がどう感じたか。食べ物に対して、場所に対して、人に対して。友だちとゲラゲラ笑っている時、母親とケンカした時。その時にリアルな感情が生まれているんだから、それを忘れずにストックしておく。

 そこから、普段の生活の感情をずっと冷静に拾い集めている自分が生まれた気がしています。なので、お母さんとワーッとケンカしていても、どこかでもう一人の自分が感情のカケラを集めてるんですよね(笑)。妙な構図でもありますけど。

動き続ける

 この仕事の魅力は、自分以外の人生を生きられることだと思います。お医者さんにもなれるし、罪を犯した人にもなれるし。そして、そのためにはやっぱり感情のストックも含め、自分自身がいろいろな経験をしておくこと。それもこの仕事に必要なことだと感じています。

 実は、新型コロナ禍の中で、歌とギター、そして、スケートボードを始めたんです。

 今年4月に20歳になって、これからはお芝居をしっかりやるのは当たり前。それプラス、いろいろなことができる。自分自身という幹を太くしておく。それが必要だと思って、歌とギターを始めたんです。

 女優という仕事は映画や舞台など自分を発揮する場に呼んでいただいて成立する仕事。コロナ禍の中で、そういう場がなくなることも経験しました。そうなっても自分で発信できる何か。その一つが音楽だとも思いますし、コロナ禍での思いも加わって、音楽への一歩を踏み出してみました。

 あと、スケートボードは…、シンプルに楽しそうだなと(笑)。たまたま近くのショッピングセンターでやっている人を見て「私もやってみたい」と思って。

 でも、どんなことでもチャレンジして動いていたら、何かにつながる。それを止めると停滞してしまう。それも感じているので、常に前を向いて進んでいきたいと思っています。

峰平朔良(みねひら・さくら)

2001年4月25日生まれ。福島県出身。株式会社UNBLINK所属。特技は声楽。趣味は料理、ピアノ、スケボー。16歳から地元でモデル活動を開始、その後、スカウトされ女優業を始める。19年、映画「手を振る」に主演し、その後出演多数。野村不動産、マクドナルドなどCMにも数多く出演する。今年7月には、つんくが立ち上げた「TOKYO青春映画祭」で出演映画「アカリとマキコ」での演技が評価され最優秀助演賞を受賞した。10月5日から放送されている日本マイクロソフトのCM「Windows 11 の世界へ」にもメイン女子高生役で出演している。