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「自分は“ら”なんだ」。大原がおりが吐露する所属事務所がつぶれて分かったことと自らのこれから

中西正男芸能記者
28年所属した事務所がなくなり、今の思いを語る大原がおりさん

 テレビ東京「出動!ミニスカポリス」「ギルガメッシュないと」などで注目を集めた大原がおりさん(48)。2017年に大原かおりから大原がおりへと改名し、20年には44歳でレースクイーンデビューするなど様々なチャレンジを続けてきました。そんな中、デビュー以来28年所属した芸能事務所「フィット」が破産手続きに入ったことが先月報じられました。いきなり事務所がなくなる。その渦中での思いを吐露しました。

自分は“ら”なんだ

 2月末に事務所の社長から電話があって「ごめん、いろいろ頑張ったんだけど、事務所がなくなります」と切り出されました。

 「え、何がどうなっているの?」という思いが瞬時にこみ上げてきたんですけど、あまりにも大きなことすぎて何をどう質問していいのかも分からない。どう考えても大変な状況にあるであろう社長にアレコレ尋ねるのも気が引ける。そんな思いもあって、大きな連絡だったんですけど、通話は短い時間で終わりました。

 予兆というか、事務所のスタッフさんが少しずつ減ったりはしていました。ただ、芸能事務所と一緒に他の会社も社長さんは経営されていたし、まさかそれらが全て潰れるとは思っていなかった。まさに寝耳に水でした。

 とはいえ、もう事務所がなくなったのは事実だし、社長との電話があってからいろいろと考えました。

 壇蜜さんも体調が芳しくなったり、吉木りさちゃんもお子さんができてお仕事をセーブしたりしていたので、事務所としての仕事量が減ってはいたんだろうな。ここまで経営状態が悪くなる前に何か言ってもらったら自分にもできることがあったんじゃないか。

 ただ、自分が稼ぎ頭としてバリバリお仕事をしているなら頑張りようもあったのかもしれないけど、今はほとんどお仕事もできていない。それがもどかしい。しかも、自分は事務所の長女というか、この事務所ができた時から28年間お世話になってきた立場でもある。その立場にいながらどうしようもない。それがまたさらなるもどかしさにもつながる。そんなループに入っていきました。

 そして、細かいことかもしれませんけど、破産のニュースが出た時にネット記事の見出しを見ると「壇蜜、吉木りさらの事務所が破産」という文字になっている。

 今の状況を考えると当然なんです。当然なんですけど、自分は“ら”の中に入っているんだ。28年やってきたけど、これがリアルだし、神様が「もう、辞めなさい」と言っているのかなとも思いました。

 バラエティーが好きで、いつかまたその場に戻りたい。ここ10年ほどはきちんとテレビにも出られていないけど、いつその日が来てもいいように準備だけはしておく。そんな日々の積み重ねはしてきたつもりだったんですけど、神様が「もう、いいよ」と言ってくれているのかな。そんな思いにもなりました。

夢を追いかけてもいいんだ

 それに加えて、事務所がなくなったことを自分のSNSで報告した時も「48歳にもなって、これから何をするんだ」みたいな否定的なコメントがたくさんあって、ますます「もう、そういうことなのかな…」と考えるようになったんです。

 そんな中で携帯電話に着信がありました。名前を見ると江頭2:50さんでした。

私が20代でグラビアをやっていた当時からお付き合いがあって、江頭さんのYouTubeチャンネルにも呼んでいただいてますし、本当にお世話になっている方なんですけど、静かに、ゆっくりと、そして、やさしく言ってくださったんです。

 「がおり、大丈夫か?いろいろ思うこともあるだろうけど、辞めるという選択は止めなさい。がおりはバラエティーが好きだし、もう一度バラエティーに出るべき存在だとオレは思っている。絶対に夢をあきらめちゃダメだ」

 夢を追いかけてもいいんだ。やりたいことに向けてもう一回頑張ってみよう。理屈じゃなく、江頭さんの言葉がただただ体中に染み渡りました。

 今は立場としてはフリーです。芸能人と呼べる存在かどうかも分かりませんけど、これからもこの仕事を続けていこうと思っています。ありがたいことに、SNSのダイレクトメッセージなどににお仕事の依頼もいただいています。

 そこで改めて思ったのが、やっぱり私はどこか事務所に所属するのがいいなということでした。お仕事を精査して、ギャラの交渉もして、経理なども自分でする。これは自分にはできないことだなと今の立場になって痛感しました。

 私はこの世界に入った時から「フィット」にいて、社長さんも初めてのことで手探りの中、巨乳ブームに乗ることができ、なんとかお仕事をさせてもらってきました。自分の一歩目から一緒にやってきた事務所だったので、何があってもここにお世話になる。それしかない。そう思ってやってきました。

 甘やかすことなく、厳しく育ててもらいました。今でも私の名前を知ってくださる方がいる。この状況を作ってくれたのは事務所ですし、感謝しかありません。

 ただ、私と事務所の二人三脚がベストの形だったかと言えば、これもリアルな話、分かりません。

 実際、今、私はテレビの世界で活躍はできてませんし、もちろん行き着くところは本人の才能と自分磨きですからどこが悪いなんて単純なことではないんですけど、現時点の結果を見ると成功とは言えないかもしれません。

 それでもこの世界に入ることができたのは事務所があったからですし、全てのきっかけですし、自分にはこの選択肢しかなかったと思っています。きれいごとではなく。

 年代的に私を知っている人の数も減ってしまっているとも思いますし、48歳からの再出発。「じゃ、ここから何ができるんだ」とネット上でよく言われているようなことを自分自身でも思いもします(笑)。

 もし事務所がなくなるんだったら、あと10年早くなくなっていたら違う道もあったんじゃないか。考えても仕方がない“たられば”を考えたりもしました。

 でも、それこそ神様の差配じゃないですけど、48歳で事務所がなくなった。その立場だからこそ、できることもあるんじゃないか。今の自分だからこそ、求められるものがあるんじゃないか。そう思いますし、そう思いたいとも思います。

 単純に、あれこれ迷っている年でもないですし(笑)、できること、求められることを目いっぱいやる。それしかないという踏ん切りもつく歳ですし、今の自分の可能性をこれからも追い求めたいと思っています。

(撮影・中西正男)

■大原がおり(おおはら・がおり)

1976年2月17日生まれ。東京都出身。本名・大原香織。テレビ朝日「邦子がタッチ」の番組企画をきっかけに、96年にデビュー。テレビ東京「出動!ミニスカポリス」「ギルガメッシュナイト」などで注目を集める。2005年には犬のファッションブランド「Otty」を立ち上げる。17年には、大原がおりに改名。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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