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沖縄出身の母娘2組バンド「ゆいがーる」が示す家族の意味

中西正男芸能記者
(左から)SHOKOさん、AYANEさん、COCONAさん、MIZUNOさん

 沖縄県出身の母娘2組による家族バンド「ゆいがーる」。今年1月からアメブロのオフィシャルブロガーに選ばれ注目度が急上昇していますが、4月24日には東京・EXシアター六本木でワンマンライブ「ゆいがーる Live~始動~」も開催します。なぜ、母娘2組で音楽活動をすることになったのか。そこに込められた縁の力、そして、家族の意味とは。リーダーのSHOKOさん(48)が思いを吐露しました。

音楽経験ゼロからのスタート

 もともと、私ともう一人の母親・MIZUNOさんで音楽活動をしていたんです。

 いろいろな流れが重なりまして、2018年頃からニューヨークで活動したりもしていたんですけど、さらに活動を本格化させようとなったあたりで新型コロナの波が来てしまい、活動をストップせざるを得なかったんです。

 その頃、MIZUNOさんの娘さん・COCONAが不登校気味になっていたんです。高校受験も控える中、何か動く手立てがないかと。だったら、母親二人がやっている音楽にCOCONAも巻き込んでみようかとなったんです。

 音楽活動のプロデューサーであり、私の夫のHALが少しずつドラムを教えて、本当に趣味程度というか、家族でテレビゲームをするのか、将棋をするのか、くらいのトーンでCOCONAに音楽と触れさせたんです。

 また、これもちょうどその頃、美容の専門学校に通っていたウチの娘・AYANEも、進路に迷いが出てきまして。

 このまま卒業しても、自分がやりたいことにはつながらないのでは。そんな思いが込み上げてきたということだったんです。

 専門学校2年の夏休み、ここから国家試験が始まるというところでもあったんですけど、そこで思い切って辞めるという決断をしたんです。

 AYANEは昔キーボードを少しやっていたので「だったら、お手伝いしてよ」ということでバンドに入ってもらって、そのまま今に至るという感じです(笑)。

 AYANEにしたら「いつの間にか、巻き込まれていた…」という状態かもしれませんけど(笑)、何のご縁か、そうやって流れが重なっていったんです。

 もともとのもともとの話、私は全く音楽に縁がない人生を送ってきてたんです。どちらかというと、体育会系で運動はしてたんですけど、音楽なんてやったこともなくて。

 ただ、東日本大震災の後からHALの後ろでコーラスをしたり、和太鼓を叩いたりということを始めてみたんです。

 そこから年間100ステージくらいは出るようになっていって、いつの間にか、音楽をやっている自分も生まれていたという感じだったんです。

縁の力

 そして、MIZUNOさんとの出会いも、完全なるご縁でした。知り合いの方がオーナーをされている美容室に、ウチの家族みんなで行ったんです。

 そこで夫が顔にタオルがかかった状態でMIZUNOさんにシャンプーをしてもらっていたんですけど、話している中で、夫も沖縄の人なのでMIZUNOさんのアクセントでピンときて「あれ?沖縄の人ですか?」と尋ねたんです。

 そこから話を聞いてみると、なんと、たまたま私の高校の後輩だったんです。私の高校は沖縄でも田舎の方の学校でしたし、美容室は横浜だったんですけど、まさかそこで偶然後輩に会うなんて。これは、すごい偶然だなと。

 そこから一気に距離が縮まって、MIZUNOさんも音楽をやるようになるんですけど、その出会いの時点から、もう「ゆいがーる」は始まっていたのかなと思います。

 新型コロナ、そこからのCOCONAの流れ、AYANEの流れ、そしてコロナ禍で家族のつながりが求められる流れ…。いろいろなものが全部つながっているようにも思います。

 あと、実は、とても大きかったのがCOCONAのドラムの成長でした。これが信じられないくらいに早くて。言っても信じてもらえないくらいのスピードで上達していきまして、本当に幸運なことに、本人が打ち込めることが見つかったんだから、それを楽しんでほしい。そのみんなの思いもあって、バンドとしての活動が加速していきました。

 母娘2組でやっているので、否応なしに年齢差もありますし、COCONAのドラムだけでなく、娘たちの成長は本当にすさまじいばかりです。

私たちだからこそ

 今、私は48歳なので、振り付けも一個覚えたら一個忘れるみたいなことを思いっきり体感しているんですけど(笑)、その横で娘たちは私の何倍ものスピードで振り付けを覚えていきます。

 それを間近に見ていると、やっぱり頑張らないとと思いまますし、完全に娘たちに引っ張ってもらっている状態でもあるんですけど、年齢を重ねてからのスタートにも意味があるというか「本当にやりたいことがあるなら、歳は関係ない」というメッセージにもなったらと思って、何とか頑張っています(笑)。

 バンド名は、沖縄の“ゆいまーる”という言葉からとっていて、ゆいまーるというのは「もちまわり」だとか「みんなで助け合う」という意味なんです。

 私たちが歌うことで、みんなをつなげて、みんなが助け合える良い流れが生まれたらいいなと。その思いと、全員女性ということで「ゆいがーる」にしたんです。

 ま、もう私はガールの年齢ではないんですけど(笑)、そこは娘たちを前面に立てて、ガールを使わせてもらっています。

 おこがましいですけど「ゆいがーる」自体が縁を体現するものだと思っているんです。

 音楽の素養があったわけでもない。もともと、みんなで何かをやっていたわけでもない。それでも、今、みんなで「ゆいがーる」ができている。誰であっても、何もない状態からでも、何かをやることはできる。

 何もなかった私たちだからこそ、縁の力で今がある私たちだからこそ、もし、何か感じてもらえることがあったら、本当に嬉しく思います。

家族の意味

 音楽って「音を楽しむ」と書くように、いろいろな楽しみ方があるものだと思うんです。料理のお店でも、最先端の技術と最高の食材を使ったお店もあれば、家庭料理のお店もある。私たちのような“永遠の素人”だからこその味を地道に続けていければなと。

 ただ、事実としてメンバーが本物の親子なので(笑)、愛という思いでは負けないとは思っています。そこの結びつきは問答無用というか。

 さらに、コロナ禍で家族での時間も増えて、家族の可能性の再発見みたいな意義も出てきているのかなと思っています。

 親子って一番近い人間関係だからこそ、客観視が入らないというか、灯台下暗しになりがちだと思うんです。今一度、関係を精査しないというか。

 そこに、例えば、私たちのようなバンドとか他の要素が入ると、また別の関係性が見えてくると感じています。親子という関係以外に、バンドメンバー、同僚という感覚が出てくることで、新たに理解が深まることもあるし、家族としての思いが一回り大きくなったりもする。「ゆいがーる」をやって、そんな家族の意味、特性を再発見しました。

 完全に気の早い話ですけど、もし娘たちにまた娘が生まれるようなことがあって、その子が「ゆいがーる」をやりたいとなったら、それはそれで楽しみですね。

 その時、いったい私はいくつになっているのか分かりませんけど(笑)、なんとか元気でいられたならば、変わらず、一生懸命やりたいと思います。

(撮影・中西正男)

■ゆいがーる

リーダーのボーカル・SHOKOとキーボード&ボーカル・AYANE母娘と、ボーカル・MIZUNOとドラム&ボーカル・COCONA母娘2組によるバンド。琉球音楽とロック、ハウス、メタルをミクスチャーした多国籍な音楽を奏でる。1月25日に開設したアメーバオフィシャルブログ「ゆいがーる日記 リーダーSHOKOのBlog」では、SHOKOが家族やメンバーへの思いを中心に温かいメッセージを発信している。4月24日には東京・EXシアター六本木でワンマンライブ「ゆいがーる Live~始動~」を開催する。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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