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ABCテレビ「おはよう朝日です」で20年。関西名物リポーター・川﨑美千江を衝き動かす宮根誠司の言葉

中西正男芸能記者
約20年「おはよう朝日です」に出演し関西の名物リポーターとして知られる川﨑美千江

 20歳から約20年、ABCテレビ「おはよう朝日です」に出演し、関西の名物リポーターとなった川﨑美千江さん(39)。これまでフリーとして活動してきましたが、今年から事務所に所属し、自ら作詞した曲「一度でいいから、キュンして。」も製作に乗り出しました。新たな一歩を踏み出しましたが、自らの礎になったのは「自分、顔大きいなぁ」という宮根誠司さんの言葉だったといいます。

「『おは朝』の人や!」

 そもそも、この仕事をさせてもらうきっかけは19歳の時でした。あるイメージガールのオーディションを受けて最終選考まで残ったんです。ステージでスポットライトを浴びる。経験したことのない時間を味わって「こんな世界もあるんや…」と思ったんです。

 それからしばらくして、たまたま「おはよう朝日です」を見てたら、プロ・アマ問わずリポーターを募集という告知が出ていたんです。オーディションの時に味わった感覚があったので、その告知にすごく反応する自分がいて。応募してみたら、ありがたいことに合格して、そこから今に至るという流れです。

 井上公造さんのハワイリポートのお手伝いをさせてもらったり、ヘリコプターに乗ってナイアガラの滝を間近で見るというロケで乗り物酔いになって吐いてはいけないものを吐いてしまったり…。いろいろなお仕事を、20年近くの中でさせてもらいました。

 お仕事の99・999%は「おは朝」です。川﨑美千江という名前は出てこなくても、街で「『おは朝』の人や!」と声をかけてもらうことも多いですし、ある意味、関西で一番有名な番組に20年近く出してもらっているという意味を、体で感じてもきました。

仕事がゼロになる中で

 ただ、去年の緊急事態宣言の時はロケも完全にストップしてしまい、お仕事がゼロになったんです。

 このまま仕事がなくなるかもしれない。「おは朝」以外の仕事を模索しようにも、どこにどう手を打ったらいいのかも分からない。

 逆に、もしかしたら新しいお仕事のチャンスというか、私を使おうと思ってくださっている方がいたとしても、窓口がなかったらオファーの受けようがない。

 そんなことを考えていたら、ずっとお世話になっている女性ディレクターさんが「実は、私もいろいろ考えてみたの」と言ってくださいまして。私の仕事の状況とか、考えていることを感じ取ってくださっていたみたいで、結局、そのディレクターさんが経営されている映像制作会社に私がタレントとして所属するという形になりました。

 私も初めてのことだし、ディレクターさんもマネジメントするのは初めてだし、互いに手探りなこともあるんですけど、今年から新たな一歩を踏み出しました。

 今回の事務所の話もそうなんですけど、私がここまでフリーという立場でやってこられたのは、ただただ、人に恵まれたからやと思っています。

 20歳からやってきて、今年で40歳。その間に結婚もし、子どもも二人授かりました。20年前は結婚で仕事を辞めるリポーターさんも多かったですし、スタッフさんでも結婚や妊娠をきっかけに辞める人が多かった。

 でも、私は結婚したら結婚しているということを前提としたロケをいただき、子どもが生まれたら母親としてのロケをいただき。新たな形に変化しつつ、お仕事をいただき続けました。

 まず、そんな流れを私にくださる周りの方々に感謝するばかりなんですけど、やっていくうちに、私がこんな流れをさせてもらうことによって、私より若いリポーターさんたちにも結婚や妊娠でストップしなくてもいい流れができるんじゃないか。おこがましい話ですけど、そんなことも途中からは思いだして、続けてきた部分もあります。

 時代が、そういうことを求めるところもあったのかもしれませんし、何より人に恵まれたし、何重にもありがたいことだと思っています。

「顔大きいなぁ」

 特に、私が「おは朝」に出演し始めた頃に司会をされていた宮根誠司さん。宮根さんには特別な思い入れというか、感謝があります。

 番組のリポーターになることが決まって、最初、宮根さんからのレクチャーというか、新人リポーターを集めての話があったんです。

 「テレビの前には何百万人という視聴者の方々がいる。そして、カメラさんや音声さん、スタッフさんの生活もかかっている。だから、失敗は許されない」

 テレビで見ていた宮根さんのイメージとは全く違う、まじめなトーンでおっしゃってました。分かっていたつもりではあったんですけど、そこで今一度、お仕事の重みというか、意味を再認識した気がして、その日に動いて、番組に出ながらアナウンススクールに1年間通いました。

 今、私がやっているロケとアナウンススクールで習ったことは思いっきりかけ離れているかもしれませんけど(笑)、でも、あの時に宮根さんが言ってくれたからこそ普通の女子大生だった私の中で確実に変化が起きました。だからこそ、何とか20年近くやってこられたのかなとも思っています。

 ただ、宮根さんは人見知りというか、新しく来た人とすぐ仲良くなることはあまりなくて、私もほとんどしゃべらないまま時間が過ぎていきました。

 入ってちょうど1年ほど経った頃、宮根さんがフルマラソンを走ることになって、その応援に行ったんです。

 マラソンが終わって、打ち上げの場でみんなで食事をしていたら、突然、宮根さんが私に「自分、メチャメチャ顔大きいなぁ」と言って大笑いしたんです。

 学生時代は「顔が大きい」なんて言われたこともなくて、いきなりのことにびっくりもしたんですけど、そこでハッと気づいたんです。

 それまでほとんどしゃべってない中でも、こちらの“イジリポイント”みたいなところを見つけてくれてたんだ。興味がないとか、眼中にないとかいうことではなく、しっかりと見ていてくれたんだと。「顔大きいなぁ」から、そういう思いが一気にこみあげてきて、とにかくうれしかったです。

 結果、今でも「顔デカいな!」「顔と体のバランスが取れてへん!」「近くにいるのか、遠くにいるのか。遠近感分からん!」みたいなイジリを皆さんからしてもらってるんですけど(笑)、宮根さんがくれたものが20年近く私を助けてくれてると感じています。

恩返しがあるならば

 2010年に宮根さんが「おは朝」を離れてからも、事あるごとに連絡をもらって気にかけてくださってますし、あれだけ忙しいのに、ダメもとで「今晩、焼肉に連れて行ってください」と連絡したら「エライ急やな。ほな、30分後に集合で」と言ってくれたり…。

 今は頻繁に会うことはないですけど「宮根さんがいてくれるから大丈夫」という思いは私の中にあって、常に支えてくれているものだと感じています。

 事務所に入ってお仕事が広がるとするならば、また宮根さんと一緒に出たいです。自分の礎を作ってくれた宮根さんと、今、もう一回仕事がしてみたいと思います。

 そのためには私がもっともっと大きくならないといけないし、どこまでどうなるかは全く分からないですけど、作詞をして曲も作ってるんです。「一度でいいから、キュンして。」というタイトルで、おばちゃんにも、若い子にも届いたらいいなと思って、不慣れながら詞を書いてみました。

 この曲で、いつの日か、宮根さんが司会をしている「ベストヒット歌謡祭」に出られたら、それこそ最高ですけどね(笑)。

 この前、宮根さんに事務所所属の報告をしました。もともと私が学生時代に空手を本格的にやっていたこともご存知ですし、今また国際的な大会を目指してけいこしているのもご存知なので「空手で世界一になったら『ミヤネ屋』で取材に行くわ」と言ってました。

 より一層、それこそ必死に空手も頑張るしかありませんけど(笑)、もし、もし、恩返しなんてことがあるならば…、宮根さんを笑かしたいです。「…お前、アホやな」と言わせて、テケテケ笑わせたいです。

 そうやってまた笑ってもらえるように、ご一緒できる場に私が行けるように頑張らないといけない。まずは、それしかないですからね。

 …なんやろ、エライまじめにしゃべってしまってるけど、これでエエの?なんやろ、こんなに長時間普通にしゃべってたら、不安になるわ(笑)。

(撮影・中西正男)

■川﨑美千江(かわさき・みちえ)

1981年12月18日生まれ。大阪府出身。12歳で剛柔流の日本一になった空手家という一面も持つ。大学在学中の2002年、ABCテレビ「おはよう朝日です」にリポーターとして出演。“ミッチー”の愛称で関西では圧倒的な知名度を誇る。同じく名物リポーターの七井貴行とのハイテンションかつコミカルなロケで人気を得る。07年に消防士の男性と結婚し、一男一女に恵まれる。14年には、門真市子育て支援親善大使に就任。これまで約20年、フリーとして活動してきたが、今年から「double W」に所属。自ら作詞を務めた曲「一度でいいから、キュンして。」(作曲・菅田好貴)も製作中。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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