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ミュージカル界の新星からドラマの注目株に。東啓介が語る新型コロナ禍の葛藤と今後への思い

中西正男芸能記者
日本テレビ「ウチの娘は、彼氏が出来ない!!」に出演する東啓介(所属事務所提供)

 ミュージカル「テニスの王子様2ndシーズン」で鮮烈にデビューし、今や、ミュージカル界の新星となった俳優・東啓介さん(25)。学生時代は187センチの身長を生かしテニス一筋の学生時代を過ごしましたが、ケガを機に芸能の世界へ。来年1月13日にスタートする日本テレビ系連続ドラマ「ウチの娘は、彼氏が出来ない!!」にも出演します。順調にスターへの階段を駆け上がっていますが、その歩みを支える思いを語りました。

舞台と映像

 今回のドラマでは、整体師の役をやらせてもらっています。菅野美穂さん演じる恋愛小説家の女性を施術しながら恋愛の話になったりとか、菅野さんの娘役の浜辺美波ちゃんとも接点があたり…という役どころでして。

 これまでは舞台を中心に、特にミュージカルを軸に活動をしてきたんですけど、舞台と映像の違いはすごく感じてはます。

 舞台はお客さまが全身をご覧になりますので、体全体で表現しないといけないですし、声を劇場の隅々まで届けないといけないので、音の圧力も考えないといけない。

 一方、映像は、表情であったりとか、息遣いであったりとか、細かいところまで全てが意味を成すので、微細な部分にも表現が求められます。

 もちろん、舞台でも細かい部分は求められますし、演じるという根本は同じなんですけど、思いの表現方法を繊細にとがらせるのか、大きく拡大するのか。その違いは映像のお仕事をさせてもらうようになって、日々感じているところです。

スイッチがオフに

 役者って、役の上で人を殺すこともありますし、自分がやったことがないことを自らの想像力で構築する仕事でもあるんです。

 そうなると、もちろん役の設定やセリフは決まってるんですけど、自分というフィルターを通すので、出来上がってくる役は自ずと個性が乗せられたものになってくる。

 よく「うまい人のまねごとをしろ」と言われるんです。まねをしても、結局、その人にはなれない。自分を通すので、最終的には自分がトッピングされて、自分ならではのものになっていく。そして、それが自分の“引き出し”にもなっていくという。

 それと、役者ならではの部分というか、他の人生の一部を役の上とはいえ生きられるというのは、ものすごく貴重な体験だと感じています。いろいろな考えをもらえるというか、人として豊かになれるなと。

 その人生からもらったエッセンスがまた自分になりますし、それで自分が分からなくなった人もいますけど、それもまた自分ですしね。実に、面白い仕事だと思います。

 ただ、これは誰にとっても大変なことなんですけど、役者も、新型コロナでダメージが直撃する仕事だと痛感しました。実際、出演予定だった舞台も中止になったり、形が変わったりもしましたし。

 自粛生活になって、一時期はショックでドラマや映画が見られなくもなりました。特に、舞台に関しては「見ても、どうせできないしな…」と完全に気持ちのスイッチがオフになったこともありました。

心を保つ

 それでも、そこで本当に心が死んでしまってはダメなので、なんとかそこから脱却しようと思って、まず家にあるピアノを弾いて、曲を作ったり、歌ったりということをしたんです。

 お芝居はそれをやる“場”がないとできないですけど、音楽は自分がやろうと思えば、作れるし、没入することもできる。作った曲をYouTubeにアップしたり、何かしらの達成感を味わうことで、心を保っていた部分もありましたね。

 あと、料理ですね。今までそんな前のめりに料理を作ったことはなかったんですけど、時間があるんだからやってみようと思いまして。

 心が弱っていくと、人と会いたいとか、食べたいとか、そういう思いも弱くなっていく。だから、そこに対する抵抗でもあったんですけど、とにかく、一つのものをとことん作ってみました。それがカルボナーラ。ずっと、作ってました(笑)。

 そもそも、初めは全く作ることができなくて、生卵が炒り卵みたいになって“パラパラ卵麺”みたいなものになったんですけど(笑)、そこから劇的に進化しました。

 ポイントですか?僕の場合は、麺をゆでる時にかなり強めに塩をきかせて、そこで味を決めてしまうというのがポイントかもしれませんね。

 …というか、よく考えたら、最近作るようになったとはいえ、料理のプロでもない人間がなんともエラそうにすみません(笑)。

 ただ、そうやって、いろいろな形で自分と向き合って、自分を奮い立たせた経験も、また今後に生かせるのが役者の仕事の良いところだと思っています。

■東啓介(ひがし・けいすけ)

1995年7月14日生まれ。東京都出身。身長187センチ。2013年、ワタナベエンターテインメント主催の「D-BOYSオーディション10th」でファイナリストに選出され、同年に舞台「ミュージカル・テニスの王子様2ndシーズン」に出演する。「スカーレット・ピンパーネル」でグランドミュージカル初挑戦以来、ミュージカルを中心に活動。特技はテニス、バスケットボール、書道。 来年1月13日スタートの日本テレビ系連続ドラマ「ウチの娘は、彼氏が出来ない!!」に出演。他の出演者は菅野美穂、浜辺美波、沢村一樹ら。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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