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気づけば芸歴29年。ふとっちょ☆カウボーイの今

中西正男芸能記者
来年30周年を迎えるふとっちょ☆カウボーイ(写真は事務所提供)

 TBS「あらびき団」などで人気者になったピン芸人のふとっちょ☆カウボーイさん(46)。吉本興業、ホリプロなどこれまで4つの芸能事務所を渡り歩き、今年からは5つ目の事務所となるラフィーネプロモーションに所属しています。芸歴29年。廃業を考えた過去、そして、新型コロナウイルス禍での意外な影響などストレートな思いを語りました。

メディア露出が10倍

 去年で前の事務所を出ることになりまして。次の所属先を探していたところ、今のラフィーネを紹介していただいて、今年の1月から所属しています。

 2007年に「あらびき団」に出してもらって、カウボーイのキャラクターでやってきたんですけど、3~4年前から新たなネタをやり始めまして。

 お世話になっている方のアドバイスもあって、カウボーイは残しつつ、人がやっていないあらゆる人物、キャラクター、動物などのものまねをやりだしたんです。毎月一つずつネタを増やしていくということをやってきたので、今で40キャラクターくらいはやってます。

 最初はあくまでもライブだけということで、テレビだと権利問題的に厳しい人気キャラクターなどもやったりしてたんです。ただ、ありがたいことに、今年に入っていろいろな要素が重なり、メディア露出が去年の10倍以上に増えまして。

 そうなると、権利問題的なこともしっかりと考えないといけないので(笑)、メディア的に披露するネタはかなり限られますけど、それでも、キャラクターものまねが今は仕事の主軸にはなっています。

 ただ、ものまねと言っても、僕の場合は似てる似てないじゃなくて、そのものまねをしているサマ自体を楽しんでいただくと言いますか。例えば、自分で「的場浩司です」と言い切れば、それは的場浩司さんのものまねをやってることになりますし(笑)。「ご本人と瓜二つ!」といった“味”では全くないんですけどね。

写真は事務所提供
写真は事務所提供

積み重ねが形に

 先ほど「いろいろな要素が重なってメディア露出が増えた」とお話をしましたけど、まずは事務所が変わって、新たに受けられるオーディションの数が増えた。これは間違いないです。

 それと、これまで少しずつ積み重ねてきたキャラクターものまねが今になってじわーっと知ってもらえるようになってきた。ありがたいことに、これもあるかなと。そして、あとは、コロナによる生活様式の変化。そこも僕にとっては大きく影響していると感じています。

 コロナによって、テレビ番組のオーディションも、実際にテレビ局に人を集めてやることができない。必然的に、リモートでのオーディションになります。となると、まずコンビの人は参加しにくいんです。コンビであったとしても、二人で接近して漫才をやるのは難しいので、どうしても、ピンの人がやりやすい環境になる。

 そして、リモートですから、いきなり画面にその芸人がポンと現れますんで、インパクトのある芸をする人はよりインパクトが強くなる。

 そういった要素が今のオーディションではあって、そうなると、自分で言うのはおこがましいですけど、僕がやっているような「なんじゃこれは!」というものまねが目に留まりやすい状況にはなっているようでして。

 コロナによって、僕も営業は全てダメになりましたし、大きなダメージはありました。ただ、一方で、積み重ねてきたことがこんな形で評価されるんだと。3年、4年はかかったけど、毎月やってきたことは無駄ではなかったのかなと感じています。

「もう辞めよう」からのリカバリー

 積み重ねで言うと、気づいたら、もう29年やってるんですよ。91年からやってるんで、来年で芸歴30年です(笑)。

 地元は名古屋なんですけど、いわゆる“ボキャブラブーム”の頃に東京に出てきました。当時のお笑い界の盛り上がりは大変なもので、一つ舞台に出ただけで、周りがもてはやしてくれる。こんな世界があるんだと思いました。

 ただ、それがずっと続くわけはなくて…。これまでで一番しんどかったのは2007年でした。それまでコンビやトリオで活動していたんですけど、その年からピンになったんです。ピンでコントをやってたんですけど、これが、何をやってもウケなかった。クスリとも笑いが起こらない。それが8カ月くらい続きました。

 何も光が見えない日々ですから、さすがに「もう辞めよう」と思いました。もうここまでだと。ただ、そこで周りの方のアドバイスもあって、もともと自分が面白いと思っていたものは何なのか。辞める前に、そこを考えてみようとなったんです。

 よくよく考えたら、高校の時とかは奇声をあげたり、意味もないようなおふざけをやって笑ってたなと…。そして、ちょうどその頃“メタボリック”という言葉も話題になってきて、自分の体型をそこに反映させて、腹を出して叫ぶ。それがカウボーイの始まりだったんです。

 そこから、少しずつですけど評価をしていただく人も出てきて、ありがたいことに「あらびき団」からお声がけもいただけた。東野幸治さんから今の芸名を提案もしていただき…という流れになっていきました。

 それまではオーディションに行って仕事を得なければならなかったのが、向こうからオファーをいただける。わざわざ遠方にまで営業で呼んでいただいて、そこに自分を待ってくださる方々がいらっしゃる。本当にありがたいことだなと思っていました。

 ただ、キャラクターが強いだけに、飽きられるのも早い。これは当然のことなんですけど、3年を境に少しずつ仕事量が減ってきました。

 そうなると、自分の中の気持ちとして「後輩には会いたくない」と思うようになっていったんです。疑心暗鬼かもしれないですけど、仕事が減っていく中で「後輩にバカにされてるんじゃないか」「自分のいないところで悪口を言われてるんじゃないか」。そんなことを思うようになって、後輩を遠ざけるようになっていきました。

 もう一回、アルバイトの生活に戻ることもなかなかできない。でも、やらざるを得ない。でも、でも、その生活がさらにやる気を削いでいく。そこはまた2007年とは違う、重たいしんどさがありました。

 でも、またそこでも周りの方々のアドバイスがあり、人のやっていないことをやろう。そう思ってやり始めたキャラクターものまねが少しずつ浸透していって、またメディアからのお声がけも増えてきた。いろいろあった29年でしたけど、来年の30年に向けて、なんとか頑張りたいなと思っています。

 ま、ただね、若手みたいな感じでやってますけど、もう46歳ですからね…。最近は、お腹の肉が垂れてきちゃいまして(笑)。

 同じぽっちゃりでも、昔はもっとお腹の肉に張りがあって、ポコンとしてたんです。それがここ何年かで急に垂れてきて、本当にかわいげがなくなってきまして。少しやせるのか、頑張って張りのある脂肪を作るトレーニングをするのか(笑)。なんとか、かわいげのある腹肉を作れるよう、頑張りたいと思います!

■ふとっちょ☆カウボーイ

1974年1月4日生まれ。愛知県出身。本名・竹田淳。ラフィーネプロモーション所属。91年からコンビで活動を始め、コンビ別れやトリオと形態を変えつつ、吉本興業、ホリプロ、マセキ芸能社、アミー・パークと芸能事務所を渡り歩き、今年1月からは5つ目の事務所となるラフィーネプロモーションに所属。2008年、TBS「あらびき団」で東野幸治の提案により、芸名をふとっちょ☆カウボーイに改名する。カウボーイの格好で腹を出し「メタボリック、パ〜ン。パン、パ〜ン!」と叫ぶムーブで人気を博す。現在はあらゆるキャラクターに扮する独特のモノマネで注目されている。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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