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土屋太鳳のモノマネでブレーク、丸山礼を導いた「ロバート」秋山の言葉

中西正男芸能記者
土屋太鳳のモノマネで注目を集めている丸山礼

 土屋太鳳さんのモノマネで注目を集めている丸山礼さん(22)。Youtubeチャンネルの登録者数も50万人に達し、お笑いタレントのみならず、ユーチューバーとしても確たる地位を築いています。テレビに、ネットにと多方面に飛躍していますが、その礎になったのはモノマネを通じてもらった「ロバート」秋山竜次さんからの言葉だと言います。

運試しでオーディション

 小学生の頃から、男子に交じってクラスの後ろの方で大騒ぎしている感じの子どもではありました。お人形遊びをするようなタイプではなく。

 中学になって、文化祭的な場で“そんなにやる気がないのに踊ってただ目立ちたい女子”の姿を見て「そんな感じで、そんなクオリティーのものをやるなら、そんなの超えてマジすごいヤツを見せてやる!」とマジむかついてやったのが、直接的に人前に出るきっかけになったと思います(笑)。

 ただ、仕事としてお笑いをするという意識はありませんでした。高校ではクラスが特進コースで「私立難関大の受験を頑張ろう!」みたいなところだったんですけど、私もそんな空気の中、保健室の先生になりたいと思って教育大学に行こうと考えていました。

 そんな中、高校3年の願書を出す時期にワタナベコメディースクールから連絡があったんです。その1年前くらいに本当に軽い運試し的な感じでオーディションに応募していて、その資料を見て連絡をもらったということで。

 地元の北海道でオーディションをやるということだったし、せっかく連絡ももらったので、遠方まで行く必要もないし、それこそ運試しで一回行ってみようと。

 そこでMISIAさんとか近藤春奈さんのモノマネをやったんですけど、さらにありがたいことにスカウトしてくださって、特待生としてタダでスクールに入れることになったんです。

 5歳上の兄が私立大学に行ったことで家計が苦しいのも見てたので、またお母さんが苦しくなっちゃうというのもあって、タダで東京の学校に行けるなら、そちらの道に行こうと。なので「お笑い大好き!」で入ってはいないので、そこの気後れみたいなもの、何とも言えない申し訳なさみたいなものもありました。

泣いてばかりの日々

 そういう思いの下地があったからか、実際にスクールに入ると「タダで入らせてもらっているんだから、ちゃんとしないといけない」という気持ちがさらに強くなりまして。同期からは「すごくトガってたよね」と言われるんですけど、確かに、誰にも負けたくないという思いが出すぎていた時期だとは思います。

 それと、これもありがたいことなんですけど、すごく目をかけてもらっていたと言いますか、毎日スクールに着くと教務室に行って何か一つモノマネをする。帰りにもまた別のモノマネをする。それが私に課せられた決まりみたいになりまして。

 目をかけてもらうのはうれしいことなんですけど、お笑いが大好きで入ってきたということではないので、どんな風にネタをやったらいいのかも分からないし、何が面白いということなのかもよく分からない。でも、せっかく言ってもらっているんだから、しっかりと毎日やりきらないといけない。

 朝はプレッシャーで泣いて、授業に行っても暗い気持ちを引きずって、帰りもまたうまくいかなくて泣いて帰る。自分でもびっくりするくらい、ずっと、涙がビョービョー出てました(笑)。

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 しんどい。やりたくない。分からない。実家に帰りたい。でも、やらないと…。そんな感じでした。

 そんな気持ちが落ち着いたのは、半年後にあったスクールのライブで1位になった時。そこでやっと少し自信が持てたのかなと。その時に「ロバート」秋山さんのモノマネを初めてお客さんに見てもらって、笑ってもらって、そこからあれよあれよという間にテレビにも出してもらうようになっていったんです。

秋山からの言葉

 スクールを出て、すぐに日本テレビの「PON!」のレギュラーをいただいたんですけど、そこでは1年間、基本的にずっと秋山さんのモノマネで貫き通しました。

 本当にすごいお仕事をいただいたんですけど、デビューしてすぐだったので、また分からなくて毎週苦しくて。そんな中で、自分は秋山さんのモノマネが一番面白いと思うから、結局、秋山さんのモノマネを続けていました。

 直接秋山さんから何かを言われたということはなかったんですけど、ずっと見守ってくださるという感じで。

 ただ「PON!」を卒業するタイミングで、秋山さんから言葉をいただいたんです。秋山さんはいつもみたいにふざけた感じで「もっと大物をやれぇ~」そして「オレにとらわれるな~」と言ってくださったんですけど、その言葉がずっと頭の中で繰り返し響いたんです。

 「オレのことをやってくれるのはありがたいけど、それとは別に自分の武器になるものをいくつか持ってないといけないよ」

 私の勝手な解釈かもしれませんけど、そういうメッセージだったと思っているんです。

 …うーん、なんだろうな、それこそ、秋山さんのモノマネが一番面白いから、秋山さんのモノマネしかやりたくない。それも正直な思いだったんですけど、それだけじゃ食べていけないという思いも一方で自分の中にあるのはあったんです。秋山さんがどうこうということじゃなく“それだけの人”になっちゃうと。

 その言葉のおかげで、視野を広げないといけないなと。そこから他のモノマネを見つけようとなって、土屋太鳳さんのモノマネを磨いていこうとなったんです。

 ただ、いろいろな人になりきってYouTubeなどで動画をアップするというのは、やっぱり秋山さんから影響がすごく強いです。その結果、50万人の方がチャンネル登録をしてくださるようにもなりましたし、どこまでもありがたいことだと思っています。

賞レースとは違う道

 私は賞レースで勝っていくというよりも、例えば、東京ガールズコレクション(TGC)とかに出していただくようになって、そこで喜んでいただくというのが目指すべき方向性なのかなとも思っています。浮ついた気持ち云々ではなく(笑)、自分の色と何が合うのかを考えた時に、そういう方向を目指すのが一番いいのかなと思って。本当にリアルな話として。

 そうなると、そこに出て行った時に「キャー!」と言ってもらえるように、もっと認知度も高めないといけないし、まず呼んでいただけるように影響力ももっと持たないといけない。

 そうなると、まずはYouTube登録者数を100万人以上にはしたいなと。芸能のお仕事をさせてもらっていて、若くてまだ経験がない自分が何を武器にできるかというと、数字だなと本当に思うんです。そのためには、もっと、もっと、ネタも考えないといけないしTGCのランウエーまではだいぶ遠いです。

 ただ、いつか出た時に皆さんが本当に「キャー!」と言ってくださるようにしたいですし、出たはいいけど拍手パラパラみたいなことになったら、逆にこんなに恥ずかしいことはないので(笑)、そうならないように積み重ねておきたいと思います。

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(撮影・中西正男)

■丸山礼(まるやま・れい)

1997年4月1日生まれ。北海道出身。ワタナベエンターテインメント所属。高校在学中にワタナベエンターテインメントのオーディション「オモ女グランプリ」で最優秀賞を受賞する。高校卒業後に上京し、ワタナベコメディスクールに特待生として入学(22期生)。 同スクールで首席となり、2016年には日本テレビ「PON!」にもレギュラーとして出演する。「ロバート」の秋山竜次、土屋太鳳らのモノマネで話題となりYouTubeチャンネルの登録者数も50万人を突破。ユーチューバーとしても注目されている。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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