騒動の核心、相方への思い。徳井義実「何もかもお話しします」

今の思いを語る「チュートリアル」の徳井義実(撮影・倉増崇史)

 7年間で計約1億2000万円の申告漏れを東京国税局から指摘されたことを受け、活動を自粛してきた「チュートリアル」の徳井義実さん(44)の活動再開が所属の吉本興業から発表されました。自粛中は「仕事を変えた方がいいんじゃないか」とも考え、エゴサーチをしてSNSなどのコメントに仕事の意義も見失いそうになったと言います。これまで沈黙を保ち続けた徳井さんが、世間を揺るがせた騒動の根底にあったもの、相方への思い、全てを語りました。

スーパーとジム、そして、エゴサーチ

 自粛してからはとにかく関係者の方々に電話をかけました。とにかく皆さんに謝ることしかできなかったです。

 多大なる迷惑をおかけしてしまったのに、ご心配いただいたりアドバイスをいただいたりして。毎回本当に申し訳ない思いでいっぱいでした。

 去年は、あまり家から出てなかったです。近くのスーパーに食材を買いに行ったりするだけで。あと、心配して連れ出してくれる友人とたまにご飯に行ったりはしました。そんな感じでした。ほとんど家にいていろいろ考えたりとか。今年になってからはさすがに体もなまって健康に悪いと思い、ほぼ毎日ジムに行くようになりました。

 基本的な生活リズムとしては、午前中にジムに行って、お昼ごろにスーパーに寄って、帰ってお昼を作って、夜になったら晩御飯を作って、一日を終えるという感じです。

 自粛中に考えるのが良いのか悪いのかという部分もありますけど、またいつかお仕事ができる時が来るかもしれないので情報だけは常に入れておこうとは思いました。

 そんな中でワイドショーを見ていると、コメンテーターとして出ている芸人さんもたくさんいて。気持ち的に同業者にあまり厳しいことは言いたくない。でも、社会的に悪いことは悪いと言わないといけないし、そんな心の動きを強いてしまっていることもあるかもしれないと思うと申し訳なさがこみ上げてきました。

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「いくらズボラといっても、そんなあほなことないやろ」

 あらためて、今回の経緯をお話しさせていただきます。大阪で活動していた2005年頃からお世話になっていた税理士さんがいらっしゃって、07年に東京に来てからもその方にお願いしていました。

 05年までは仕事も収入も多くなかったので、芸人仲間と一緒に自分でやってたんですけど、段々仕事が増えてきて、周りの勧めもあってお願いするようになったという流れです。

 東京に移ってからも、毎年の確定申告の手続きをお願いする。それだけだったんですけど、大阪にいた時よりももっと連絡の密度が薄くなるといいますか、どんどん仕事が忙しくなって税理士さんとの連絡も忘れてしまうようになってしまいました。もちろん、忙しさは理由にならないとは思っています。

 ただただ純粋に説明をさせてもらうと、そういう生活の流れに陥ってしまっていたんです。日々の細かいことでいうと、マンションのポストに行くこともなかったんです。だから、常にポストの中には郵便物がたまっている。その中に税務署や区役所からの書類があったとしても気づかないといいますか、中身を読むこともしてなくて、という感じで。

 ポストにはいろいろと大切なものが送られてくる。そんな当たり前のことが気にならないくらいのズボラさといいますか。そんな心の在り方でした。

 当然、確定申告が近づいてくると「期日が近づいているので、資料を送ってください」と税理士さんから言われます。

 それでも何となく、だらだらと連絡を怠ってその年の申告をしないままで翌年にまとめてやる。自分の中で「まぁ大丈夫なのかな」という間違ったボーダーラインができてしまったんだと思います。

 納税なんてことをいい大人が失念するわけがない。いくらズボラだと言っても、基本中の基本であることをないがしろにするほどのズボラなんて考えられない。

 僕も他人の話としてこの話を聞いたら「いくらズボラといっても、そんなアホなことないやろ」と思います。

 本当に情けない話なんですが、これが真実としか言いようがないんです。ただ、ズボラで済ませるなんてあってはいけないことだし、悪意があったとかウソをついているとか批判されても仕方のないことをしてしまったと思います。結果的にこうなってしまったことに関して猛省しないといけない、それは間違いありません。

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 それから僕の個人事務所「チューリップ」についてなんですが、そこまでズボラなのに、なぜ、会社なんて立ち上げたんだと違和感を覚える方もいらっしゃると思います。

 税金への意識があるんじゃないか。だからこそ、会社を作って、税金を抑えにかかっていたんじゃないか。ズボラでやってなかったという話と、辻褄が合わないじゃないか。そう思われても仕方ないと思います。

 なぜ作ったのかを説明しますと、会社を立ち上げた09年頃、僕らの同期あたりの年代がちゃんとした給料をもらいだして、みんなが次々と会社を作り出したんです。

 「おまえも会社を作った方がエエぞ」と言われて作ったんですけど、そこにあった思いは「みんなも作ってるから、先々仕事を続けていくなら作った方がエエんやろうな」という感じで、税理士さんに相談して作ってもらいました。

 もちろん、会社を作るということはそこに目的がある。そういう意識ではなく「みんなに勧められるからやってみた。でも、なんのことかよく分かってなかった」。子供じみた言葉になってしまうんですけど、会社設立に関して説明させてもらうと、今、申し上げたことが本当のところなんです。

 納税の環境や税理士さんについて現状をお伝えしますと、去年の11月から税理士さんは新しく東京の人に変わっています。遅すぎるんでしょうけど、その方のアドバイスもあって税金に関するセミナーを受けに行ったりはしていて、個人事務所もその方に管理をお願いするようにしました。

 今までしゃべってきましたけど、多分、まだモヤッとなりますよね…。

 納得はされないと思います。同じ国民として許せない気持ちもあると思いますし。

 こんなことを起こしてしまった理由として何か皆さんが完全に納得できるような明確なものがあれば、全て包み隠さず話すんですけど、それがないんです。結局は僕のズボラさ、認識の甘さというところになってしまう。

 本当にそれしかないので、そうとしか説明ができなくて。

 「なるほど、そういうことだったのか」と読んでくださった方に思っていただけたら良いなと思いますし、思っていただいた方が僕の今後にとっても、変な言い方をすると“得”なんでしょうけど、本当に今お話をしたことが全てなんです。

 腑に落ちない部分がある人もたくさんいると思います。だけど、そこに関しては、これは全部自分が起こしたことなので「徳井は信用してない、嫌いだ」と思われても仕方がないと思っています。開き直りではなく、全てを受け入れないといけないと思っています。

 これから活動していく中で、腑に落ちないところ、ひいては、信用できないところ。皆さんのそういうご意見も、全部受け止めてやっていかないといけない。そこまで含めて、それが責任をとるということだと考えています。

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相方・福田充徳

 相方の福田さんとは最初のうちは、ほぼ毎日僕からメールを送っていました。ただ、どうしても「ごめんな」という内容になってしまって。

 向こうも、毎日毎日謝られても逆につらいということもあって、やり取りは1カ月くらいで区切りをつけたんですけど、その少し後、11月末に食事に行きました。

 何年かぶりに、二人だけで。3時間ほど。そこでも「迷惑をかけて、申し訳ない」という話になってしまうんですけど。あとは、僕の口からこれまでの流れを説明して、これからどうしていこうかという話を少ししました。

 幼稚園からずっと一緒にいるもので、言わずして分かりあうみたいなところもありまして、根掘り葉掘り聞かれるわけでもないし、洗いざらい言葉にするということもなかったですが、僕の意見や考えを尊重してくれました。

 メールでやり取りしている時に「おまえが今後やりたいことがあるんであれば、全力で付き合うし、何でも言うてくれ」と言ってくれたのは残っています。

 すごく重たい言葉で、有り難すぎてどう答えて良いかわからず「ありがとう」としか返せませんでした。

この仕事をする意味がない

 いろいろなところで「徳井が出てきたら気分が悪くなる」というような批判のコメントが当然ありました。

 少しでも楽しんでもらえたらなという思いで仕事をしてきたはずなのに、自分の過ちによって、今はもう「出てきたら気分が悪くなる」存在になってしまった。

 不快にさせてしまうのであれば、この仕事をしている意味がない。もうここにはいるべきではない。そういう思いが何度も頭をよぎりました。

 これだけ長期間仕事をしないことがこれまではなかったので、より一層、自分の仕事に関して考えることにもなりました。

 仕事をやめた方がいいんじゃないか。じゃあ、今の仕事以外で何をやるべきなのか。料理もわりと好きなので、飲食店で働こうかとか、いろいろイメージはしてみるんですけど、結局、この仕事以上にやりたいことはありませんでした。

 もちろん、コンビなので僕一人で決める事はできませんし。

一歩一歩進むしかない

 「こんな徳井でも使ってやろう」と思ってくださる方がいらっしゃったら、その仕事を一生懸命、全力でやる。あと、相方の生活を一刻も早く元通りにする。それをしていくしかないと思います。

 信頼なんて簡単に戻ってくるものではないと、だから時間をかけて積み重ねるしかないと思います。

 自粛中、毎日スーパーに通ってると、レジのおばちゃんとも顔なじみになりまして。「頑張って、早く仕事できたらいいね」とか、行くたびに言ってくださいます。

 この前は、すごく具体的に「MCに復帰してくださいね」と言われまして。おばちゃん、MCとか言うんや。具体的やなとか思ったり(笑)。こんな僕にそういう言葉をかけてくださるお気持ちが本当にありがたいです。

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 お仕事をいただけたなら、一つ一つ、ただただ一生懸命にやる。そして、いつか「あ、こいつ少しは人間として信頼できるようになったかもな」と思ってもらえるように、一歩一歩進むしかない。本当にそれしかないと思っています。

■徳井義実(とくい・よしみ)

1975年4月16日生まれ。京都府出身。NSC大阪校13期生。大学在学中に幼稚園からの友人・福田充徳に誘われ、お笑いコンビを結成。98年に「チュートリアル」として初舞台を踏む。コンビとして「ABCお笑い新人グランプリ優秀新人賞」「上方漫才大賞新人賞」などを受賞、2006年には「M-1グランプリ」で優勝する。07年、拠点を大阪から東京に移す。19年10月23日、3年分の法人所得、約1億2000万円が無申告であると東京国税局に指摘されていたことが報道される。同日、謝罪会見を開き、同26日から芸能活動を自粛していたが、2020年2月24日から活動を再開した。

【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】