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縁の力に導かれ。結成半年のお笑いコンビ「とさけん」に見る合縁奇縁。

中西正男芸能記者
「とさけん」のオオタケハルカ(左)と真栄城暉

 漫画「ドラえもん」の知識が豊富でテレビ朝日「ドラえもん知識王No.1決定戦SP」にも出演したオオタケハルカさん(31)と、いったん芸人を辞め不動産の営業をしていた真栄城暉さん(28)のお笑いコンビ「とさけん」。それぞれ別のコンビを解消して今年結成したフレッシュなコンビですが、そこに至るまでの流れはまさに合縁奇縁を感じさせるものでした。

いい人いるから

 オオタケ:僕はもともと別の事務所でコンビを組んでいたんですけど、解散して、ピン芸人を1年半くらいやってたんです。

 そんな中、僕が出ているライブをお客さんとして真栄城が観に来てたんです。彼ももともと芸人で。二人の間に入ってくれる芸人さんがいて「オオタケさん、今、ちょうどいいヤツがいるんです、相方にどうですか?」と言われまして。じゃ、ま、一回やってみようかという感じで始めて、ここまでズルズル来ている感じです。

 真栄城:ズルズルって(笑)。僕はもともと吉本興業で芸人をしてたんです。「EXIT」の兼近とかが同期なんですけど、やっていく中で「これは無理だな…」と思って芸人を辞めて、そこから不動産営業の仕事に移ったんです。

 ただ、どうしてもお笑いへの思いが断ち切れないというか…。それを見た同期の芸人から「それだったら、一度、ライブに来い。いい人いるから」と言われまして。そこでオオタケさんを紹介してもらったんです。

縁に導かれて

 オオタケ:芸歴で言うと、僕の方が2年上なので、ま、我を通せるからやりやすいなと(笑)。さらに、年齢も3つ上だし、これは、ますます我を通せるなと(笑)。

 でも、組んでみると好対照というか、全然違うけど、合ってるというか。

 僕は愛知出身なんですけど、東京の大学に入ったんです。当時、僕は特段お笑いが好きということもなかったし、あまり興味はなかった。ただ、友達でお笑いが好きなヤツがいて、そいつがいろいろボケてくるんです。それに無意識に返すというか、それがツッコミということに結果的にはなってたんですけど、それをやっているうちに、そいつとお笑いをやることになりまして。

 ただ、大学まで行かせてもらったので、お笑いをやるとなったので親を説得してちゃんと話をしないといけない。両親に頭を下げて、お笑いをする決意を伝えたんですけど、いつの間にか、誘ってきたヤツが就職を決めてたんです(笑)。

 こっちとしたら「え!?やらないの!」となりますよね。でも、こっちは一度親に頭を下げてるので、引くに引けなくなって養成所に入ったという流れだったんです。

画像

 真栄城:僕は小さい時からお笑いが好きで、ずっとやりたいという気持ちはあったんです。そんな中、高校の進路相談の時期になって。周りは進学する人が多かったんですけど、そこで「なんか違うな」と強く思いまして。

 そこで、ま、後の相方になるヤツがいるんですけど、そいつを口説いて東京の(吉本興業の養成所)NSCに入ろうと。でも、お金もないので、まず愛知の自動車工場で1年間働いて200万円ほど貯めて、養成所の学費、アパートを借りたりする費用を作って、NSCに入ったんです。

 オオタケ:なので、彼は僕とは違うタイプで、芸人というものへの情熱を昔からすごく強く持ってたんです。

 真栄城:ただ、実際に5年くらいやったんですけど、全然結果も出ない。コンビ仲も悪くなる。もうこれは解散しようと。そこから就職して、先ほどの話に繋がっていくんですけど、サラリーマンの仕事をやって、また気づいたことがあったといいますか。

 営業の仕事を始めると、ま、当たり前なんですけど、スーツを着て、毎日決まった時間に電車に乗って…。そこで、また強く「これは違うな」と思ったんです。

何もかも違う

 オオタケ:なんの巡り合わせか、二人でやることになったんですけど、ま、最近のお笑いの流れみたいな話をするのも恥ずかしいんですけど、今はツッコミが繰ったことを言って笑いをとるというのが潮流かとも思うんです。

 だけど、彼は全くそういうことがなく、ただただシンプルに大きな声で僕の頭を引っ叩く。それが逆に今は新しいかなと(笑)。なかなか今のご時世、いないです。これはこれで一つの才能だなと。

 真栄城:逆に、僕からすると(オオタケの)前に出る姿勢というか。お笑いライブでも、平場のトークというか、そういうところでもグイっと出て、その場をリードするというか。そういうところはすごくありがたいですし、助かります。ネタも書いてもらってますしね。そう考えると、本当に、おんぶにだっこですね(笑)。

 オオタケ:頭を引っ叩くだけのお仕事という(笑)。でも、僕が思っているのは、この真栄城のツッコミは武器だなと思っていて。本当に。

 あと、僕、趣味でライトノベルという小説を書いていて、そういうところが何かしら形になればなとも思いますし、コンビのYouTubeチャンネルも開設しました。ま、こちらは二人ともなかなか編集がうまくできず、そこをしてくれる人を募集している最中でもあるんですけど(笑)、いろいろな武器を使っていきたいなとは思っています。

 もともといた会社も違う、養成所も違う、歳も違う、出身地も違う。何もかも違うんです。確かにそうなんです。でも、こうやって組んでるんですからね。面白いもんだと思いますし、なんとかここから「組んで良かった」となるよう、努めていきたいと思います。

(撮影・中西正男)

■とさけん

1988年5月19日生まれで愛知県出身のオオタケハルカと、91年10月5日生まれで沖縄県出身の真栄城暉がそれぞれ別のコンビを経て今年コンビを結成。ラフィーネプロモーション所属。オオタケは漫画「ドラえもん」の知識に優れ、テレビ朝日「ドラえもん知識王No.1決定戦SP」にも出演した。隔月でドラえもんをテーマにしたライブも開催中。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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