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月亭方正が語る“山崎邦正の余命”

中西正男芸能記者
今後の方向性について語った月亭方正

 2008年に月亭八方さんに弟子入りし、落語家としての時間を積み重ねてきた月亭方正さん(51)。11月9日、10日には大阪・万博記念公園で後輩のたむらけんじさんとプロデュース&総合司会を務める「大阪パフェ」も開催します。音楽、笑い、スポーツ、グルメを融合させた大型野外イベントですが、なぜ今このイベントをやろうと思ったのか。そこには“山崎邦正としての余命”への思いがありました。

レコードをねだる小学生

 実は、子どもの頃から音楽がすごく好きだったんです。

 きっかけは小学3年の時で、その時の音楽の先生が授業の多くの時間、毎回クラシックを聴かせてくれたんです。「今日は、ポール・モーリアを聴きましょう」とか。

 そこで音楽ってホンマにエエもんやなぁと思って。なので、小学生の頃からおもちゃではなくレコードを母親にねだるような子やったんです。

 今でも、気づいたら鼻歌を歌っていて嫁に「また歌ってる!」と怒られるくらい音楽が常に寄り添っているというか。ただ、今活躍している若い人となると、情けない話、ほとんど知らない。

 そこで、去年の春にMBSラジオの人に相談して、関西の若くて有望な人たちを集めてラジオ特番をやってもらったんです。「四星球」とか「フレデリック」とか。

 改めて、ホンマにオッサンなったなぁとも思いますけど(笑)、僕からしたら彼らのことを知らんかったので、ホンマに失礼ながら「食べていけてるの?」という感じで話を聞いたら、食べていくどころか、大阪城の野音で何千人集まったとか、渋谷公会堂で何万人呼んだとか。ちょっと待ってと。

 僕らの時代って、若い子からオッチャンまでみんなが知っている存在にならないとそこまでお客さんが呼べなかった。でも、今はこれだけYouTubeやSNSがあるから、本当に好きな人が彼らのことを知って、追いかけて、ということでこれだけの人が集まるんやと。時代が変わってるんやと痛感しました。

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たむらけんじからの言葉

 じゃ、僕が知らんだけで、ものすごく盛り上がっているところがきっといっぱいあるんやろうなと。一回、自分が好きになった彼らを集めて何か盛り上がることができないかなと思ったんです。

 最初はお笑いと融合させる気は全くなくて、小さな会場で“方正フェス”みたいなことを考えてて。そんな中、今年のアタマにたむらに話したんです。

 いつも、おたむ(たむら)とは他愛もない世間話をいろいろとするので、そんな感じで“方正フェス”のことをちょろっと話してみたんです。じゃ、すぐに「兄さん、やりましょう!大きいところで!」と。そこがスタートやったんです。

 おたむとはいつもそんな感じで、何か言ったら、すぐに反応してくれるんです。間髪入れず応えて盛り立ててくれるというか。

山崎邦正の余命

 おたむが言ってくれたこと。それはもちろん、ありがたいことだし、うれしいことです。ただ、いくら言ってくれたとしても、なぜ、これだけ大きいことをしようと自分が思ったのか。ここを正直に言うと、それは、今、山崎邦正の思い出作りをしてるんです。

 というのはね、そうやね、もう遠くない日に“月亭方正としての仕事”だけにしようと思っていて。基本的には落語一本。逆に言うと“山崎邦正としての仕事”をなくすということ。となると、必然的に山崎邦正という存在は完全になくなるということです。

 ざっくり言って、今、テレビに出ているのは山崎邦正として出ています。そういったお仕事を減らすというか、無理に断ち切るわけやないんやけど、月亭方正の仕事の流れに身をゆだねるというか。そうなると、自ずと、山崎邦正としての仕事は減っていきますよね。

 ただ、ここがホンマに難しくもあるし、ポイントでもあるんですけど、あくまでも流れには逆らったらアカン。一個人のエゴや思い上がりでそちらに進もうと思っても、そうなると、流れに飲まれておぼれてしまう。

 とか何とか言っていても、テレビで頑張っている人からしたら「エライ、上からモノを言ってるよな」となると思います。

 でも、今、僕はインタビューを受けて、その中でこの話をしている。となると、これが世に出るということをもちろん分かって、そこを多分に意識して、こんな話をさせてもらっているわけです。

 このインタビューをテレビ局の人も読むだろうし、こいつはこんなことを考えてるんやということを思われるだろうと。でも、そうなってもいいし、それはそれでいいと思って、今話をしている。

 ま、こうやって改めて言わんでも、こんな空気は僕の端々に出てきていると思います。だから、もうそんな方向にすでに流れは進んでいるところもあると思うし、もう、そういう風にもなり始めているところもあるし。

 もちろん、流れに準じるのが大前提。ただ、なんとなくですよ、なんとなく自分の中では、山崎邦正の仕事をやるのは、あと3年くらいかなと。

 “余命”と言うのもナニですけど、間違いなくそんなに長い時間はない。だから、その中で、山崎邦正としてやれることをやっておこうと。それが今回の「大阪パフェ」であり、今の僕の正直な思いなんです。

 …仕事の上では、そういう変化というか流れを考えてはいるんですけど、なかなか変革できていないこともありまして。お酒です(笑)。

 もう50歳も過ぎたし、しっかり飲んだら次の日がしんどくなんねん!それは分かってんねん!でも、飲んでしまうんやなぁ。

 ついこの前も、家に帰ったら、嫁が作ってくれてたんが餃子とサバの味噌煮。エエ感じのアテやんか…。そうなると、冷蔵庫からビール出してたもんな。ここは邦正でも、方正でも、変わってないところです(笑)。

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(撮影・中西正男)

■月亭方正(つきてい・ほうせい)

1968年2月15日生まれ。兵庫県出身。本名・旧芸名は山崎邦正。大阪NSC6期生。88年にデビューし、93年まではお笑いコンビ「TEAM-0」として活動。コンビ解散後はピン芸人として再スタートする。08年、月亭八方に入門。落語家として活動する時は月亭方正、タレントの時は山崎邦正という二足のわらじ状態を経て、13年1月1日からは芸名を月亭方正に一本化する。タレント・たむらけんじとともにプロデュース&総合司会を務める大型野外イベント「大阪パフェ」(11月9日、10日、大阪・万博記念公園)を開催。音楽、笑い、スポーツ、グルメなどが融合した内容となっている。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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