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「去年が一番イヤだった」お笑いコンビ「ニューヨーク」がぶちまけた本音

中西正男芸能記者
「ニューヨーク」の嶋佐和也(左)と屋敷裕政

 「バッファロー吾郎」「NONSTYLE」「千鳥」ら多くの先輩芸人が実力を高く評価するお笑いコンビ「ニューヨーク」。ボケの嶋佐和也さん(32)とツッコミの屋敷裕政さん(33)のコンビですが、今年で結成10年目を迎え、これまでとは趣をガラリと変えた単独ライブ「ありがとう」(4月19日~21日、東京・CBGKシブゲキ!!)も開催します。昨年は「キングオブコント」「M-1グランプリ」とも結果が出ず「10年間で一番イヤな年」(屋敷)となってしまいましたが、だからこそたどり着いた今の思いをストレートにぶちまけました。

去年が一番イヤ

屋敷:これまでは比較的緩やかに上がってきたというか、じわじわ斜めに来たような感じだったんですけど、去年が本当に大きな年でした。やっていたラジオ番組も全部終わった。そして、賞レースも「キングオブコント」は2回戦で負けて「M-1グランプリ」も準々決勝で負けた…。本当にイヤでしたね。去年が10年で一番イヤな年でした。だからこそ、単独ライブもそうだし、今年から始めたYouTubeでのラジオ番組も、何かしら変えないといけないという思いから、いろいろと取り組むようになりました。

嶋佐:実際には、去年の暮れあたりからですね、いろいろ動き出しました。

屋敷:正直、これまではいただいたお仕事をさせてもらうという感じで、こちらから能動的にやったのはルミネtheよしもとでの単独ライブくらいでした。ただ、今回Youtubeでのラジオを始めるにあたり、機材も全部自分らで買いましたし、単独ライブも吉本以外の劇場で3日間やるというこれまでとは違う形にしましたし。

嶋佐:こういう時代ですし、いろいろなことを自発的にやっていかないとダメ。それを強く感じましたね。

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新たな領域へ

屋敷:これまでは単独ライブも、第一義的には、完全に賞レースを見据えてやってきたんです。ただ、それで昨年みたいに結果が出なかったら、単独をいったい何のためにやっているのか。本質的に考えると、そこのつじつまがあわなくなってくる。なので、もちろん、これまでもそうではあったんですけど、まずはお客さんにとにかく満足をしてもらう。そして、単独ライブをやることが、経済的にも僕らの太い柱になる。それを目指そうと思ったんです。

嶋佐:これまではネタを考えて、考えて、ライブを1回やるだけだった。それじゃ、もったいないというか、燃費が悪いという思いもありまして。せっかく何カ月も準備をして開催するんだから、何回かやった方が見に来てくれる人も増えるし、純粋に多くの人に伝わるかなと。そういう考え方になりましたね。

屋敷:去年までは目標を尋ねられたら、賞レースしかなかったんです。ただ、結果、去年は本当にダメだった。そして、今は、単独自体を純粋にいいものにしたいという思いもあるし、YouTubeのラジオをメジャーにしていきたいという思いもありますし、去年とはモチベーションの形が変わったというか、やりたいことが増えました。今でも本心では賞レースは取りたいです。ただ、そこだけをひたすらに求めるという形をあえて変えた方が見えてくるものがあるというか…。そんなこともあるのかなと今は感じています。

恩人たちへの思い

嶋佐:試せることは試して、やらないとね。ここに来るまで、いろいろな方にお世話になってきましたから…。「バッファロー吾郎」のA先生も僕らが3年目くらいで仕事がなかった時期からイベントに呼んでくださいましたし、「NONSTYLE」の石田さんも「千鳥」さんも「面白い」と言ってくださった。その一つ一つの言葉が励みになりました。

屋敷:多くの先輩方に「まだみんな知らんやろうけど、今『ニューヨーク』という面白いヤツらがおるねん!」とこれまで言ってもらってきました。その時期を経て、今は「ネクストブレークと言われながら、その時期がだいぶ長くないか!?」という感じになっている。ま、これはこれでイジリとしては、ある意味、ありがたい形ではあるんですけど、もう、いよいよ何かしらで結果を出すことが求められるのかなと。

嶋佐:喜んでもらえたら、やっぱりうれしいですしね。

屋敷:さらに言うと、新しい仕事のやり方を今年から始めて、チームの意識が高まりましたね。単独ライブを作るチーム、ラジオを作るチーム。それぞれ数人のチームの人たちが本当に僕らを支えてくださっている。なので、チームの方々に得をしてもらわないといけない。お金の面でも、名誉の面でも。本当にナニな話、善意で、熱い思いで、やってくださっているので、早くそこに報いるようにしたい。それは切実に思っていることです。

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嶋佐:皆さんに「やって良かった」と思ってもらえるようにしないといけませんからね。少しでも何かしら波が起こればと、小説も書き始めました。主人公とか設定も決まってませんけど、とにかく誰かが電車に乗っているシーンから書き始めました。

屋敷:やる気はあるんかもしれんけど、あまりにも無謀な書き方すぎひんか?もしくは、天才の書き方。

嶋佐:ま、10年やってきて思うのは、やっぱりこの世界、面白いですからね。

屋敷:それはそうやね。3年目で初めて単独をやって、翌年には満席になったルミネで単独ライブをやれた時は本当にうれしかったですしね。これだけたくさん自分たちのことを好きな人たちがいてくれる。そして、自分たちが考えた新ネタでその人たちが爆笑してくれる。この喜びは何やと思いましたね。その時の高鳴りはすごかったです。

嶋佐:僕は1年半ほど前ですかね…。ネット番組に出た時に、セクシー女優の方と共演したんです。カメラには映ってないんですけど、僕は共演者としてすぐ横にいるので、生放送中にその方の乳首が見えたんですよね。これは自分が芸人として番組に出ていたからこそ見えたものですし、あれは感慨深かったですね。

屋敷:まじめに単独の話をして、ただただ損したわ…。

(撮影・中西正男)

■ニューヨーク

1986年5月14日生まれで山梨県出身の嶋佐和也と86年3月1日生まれで三重県出身の屋敷裕政が2010年コンビ結成。ともにNSC東京校15期生。同期は「おかずクラブ」、横澤夏子ら。独創的な設定のコントなどで注目される。結成10周年の節目として単独ライブ「ありがとう」(4月19日~21日、東京・CBGKシブゲキ!!)を開催する。YouTube「ニューヨーク Official Channel」内でラジオ番組「ニューヨークのニューラジオ」(日曜午後10時)も配信中。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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