入江慎也の告白「相方への嫉妬でやってきた」

仕事、そして、相方への思いを語る「カラテカ」の入江慎也

 2015年10月にコンサルタント企業「株式会社イリエコネクション」を立ち上げ、芸人と社長の顔を併せ持つお笑いコンビ「カラテカ」の入江慎也さん(41)。昨年10月からは元お笑いトリオ「Bコース」のナベこと渡辺謙司さんを中心に、芸人やアスリートのセカンドキャリアを支援する新事業もスタートさせました。次々と新たな領域に進んでいく入江さんですが、その根底にあるのは、相方・矢部太郎さんへの嫉妬だと心中を明かしました。

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セカンドキャリアを支援

 3年ほど前に友人と会社を興しまして。昨年2月に渡辺が入社して、11月からは元Jリーガーで、大宮アルディージャでプレーしていた片岡洋介も入りました。昨年10月に立ち上げた芸人やアスリートのセカンドキャリアを支援する業務に、その2人があたっていて、少しずつ形になってきています。

 片岡も選手を引退してから、普通の企業に就職していたんですけど、そこではサッカーのキャリアが全く生かされなかった。これは渡辺も同じだったんですけど、芸人だとか、サッカー選手だとか、再就職という観点からすると、そういう経験は職歴にならないんです。

 「システムエンジニアをやってました」「食品の営業をやってました」というのは履歴書に書けるんですけど「芸人をやっていた」「サッカー選手をやっていた」というのが、転職というルールにおいてはカウントされない。

転職の現実

 なので、本人たちはプロとして必死に生きていても、そこがスコンと抜けてしまった職歴になるので、そこそこ年齢はいっているのに、職歴なし。しかも、大学とかも出ずにその世界に飛び込んでいる場合も多いので、転職のルール的にはかなり厳しい仕事選びになってしまう。

 そんなことを2人ともイヤというほど経験してきて、片岡も仕事内容はテレアポの業務だったんです。人と顔も合わせなければ、体も動かさない。元サッカー選手という要素を何も生かすことができず、本当につらかったと。

 片岡はもともと友人だったので「今まで、一生懸命やってきた時間は何だったんだろう」という言葉を聞いて「そんなに給料も払えないけど、同じ境遇の人を助けてみない?」と言って入社してもらったんです。

 今はその2人が実働部隊としてセカンドキャリアの支援をやってくれてますけど、やっぱり気持ちが分かるからでしょうけど、すごく頑張ってくれています。もちろん、まだ始めて間もない部署なので、すぐに売り上げには結び付きませんけど、この前、初めて渡辺がしっかりとした売り上げを作ってくれたんです。

 リクルートさんの人材派遣と、アルバイトとか仕事を求めている劇団員の人たちをうまく結び付けてくれまして。やっぱり、元芸人なんで、感覚も近い劇団の方の気持ちもよく分かるし、そこで大きな流れを作ってくれたんです。うれしくなって、思わず、渡辺に仕事用のビジネスバッグをプレゼントしてしまいました。大社長でも全然ないですけど、すごくうれしくなっちゃって、思わず社長らしいことをやっちゃいました(笑)。

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コンビの今

 今の仕事のバランスでいうと、純然たる芸人の仕事というのはほぼゼロです。例えば、バラエティーのロケに行ったり、ひな壇に座るというものは本当にやってないですね。仕事の中心は講演会。企業さんでの講演が軸になっていて、多い時は月に15本くらいさせてもらっています。

 ただ、やっぱり芸人ですから、舞台に立たないといけないと思って、昨年11月に僕だけの単独ライブをやらせてもらいました。社長業をさせてもらっているのはありがたいことだし、自分で言うのもナニですけど、向いているとも思います。ただ、ただ、やっぱり、面白いのは芸人の仕事ですから。理想は、芸人の仕事だけでやるのが一番。これが本音の本音です。

 コンビの話でいうと、2月に17年ぶりに「カラテカ」としてのライブをやります。昔は2カ月に1回はコンビのライブをやっていたんですけど、だいぶ空いてしまいました。互いに、それぞれの動きや仕事があったのもありますけど、正味の話、2人でなかなか向き合ってこなかった。

相方への嫉妬

 もともと「カラテカ」というコンビは、僕が矢部の背中をずっと見ていたコンビなんです。矢部が資格を取ったり、体を張ったロケに行ったり、舞台をやったり、いろいろな形で世の中に出ていく。その背中を見ながら、すごく焦るわけです。僕も何かしないといけない。そんな中で、友達が多いとか、いろいろな人脈があるとか、会社を興すとか、そういうことを負けじとやってきたんです。

 そして、去年あたりから、ありがたいことにこっちの会社が軌道に乗ってきたら、また、矢部が漫画「大家さんと僕」で「手塚治虫文化賞短編賞」という非常に大きな賞を取った。「あ、また引き離されたな」と思いましたけど、これで良かったとも思いました。また、僕がうんと頑張らないといけないですからね。

 こういうと、良き関係のようにも見えますけど、正直な、正直な話、これは僕の嫉妬です。僕がいろいろやるのは矢部への嫉妬があるから。そこが原動力というか、自分を突き動かす部分になっています。

 人からしたら「別にいいじゃない。どっちかが売れていたら、コンビとしたらめでたいことなんだから」と言うんですけど、僕の中にははっきりと嫉妬がある。でも、これが僕が今仕事ができている源です。

 2月のライブでは、今の2人が持っているものを出すというか、矢部は新しい漫画をそこで発表する。僕は人脈を使ってスポンサーを30社集めてきました(笑)。矢部は絶対に漫画ではスベれないし、僕もそれだけスポンサーを集めてきた以上、面白くないものはできない。互いに背負うものは大きいですけど、その分、頑張らないといけないなと思っています。

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圧をかける

 このライブもそうですけど、今年は月に1回は“ドキドキする仕事”をやろうと思っています。今、例えば、講演会をする時でも、これも正直な話、こちらの頭の中にある話をさせていただくので、もちろん一生懸命はさせていただきますけど、ドキドキはしない。それでは、成長がないのかなと思いまして。

 変な表現になるかもしれませんけど、やりたくない仕事、苦手な番組、プレッシャーのかかる現場。そういうことを入れていかないと、考えないし、緊張もしないし、打破しようとしなくなる。昨年、新しく社員として片岡を雇ったのも、そんなに売り上げがあるわけじゃないけれど、自分が給料を払ってでも雇うということで、自分に圧をかけたところもあったんですけどね。

 今でも、今田耕司さんは毎年舞台をされてますし、千原ジュニアさんもトークライブ「チハラトーク」をされているし、松本人志さんも常に新しいものを打ち出して勝負をされている。誰もあぐらをかいていない。そりゃ、僕も圧をかけなきゃなと。

 あと、もう一つ、今年の大きな目標は結婚ですね(笑)。今年で42歳。これまでは周りの方々も「ま、芸人さんだし…」という感じで見てくれていたんですけど、ビジネスの方に出たりすると、余計に“ちゃんとしていない”ように見られるところもあるんですよね。もちろん、結婚してもしなくても、それぞれの自由なんですけど、もう一つ引いて見ると「カラテカ」は2人とも独身なんです。しかも、バツもない。ま、これはね、自分たちのことだから言いますけど、せめて、どっちかは結婚していないと!ネタの幅もできないし、本当にこのコンビは大丈夫なのかと(笑)。

 …え、矢部とどっちが結婚が早いかですか?そりゃ、オレでしょう!ここであいつに負けるわけにはいかないですからね。ここは、僕が必ず圧勝します!とはいえ、あいつ、漫画の賞を取った時も、オレには何にも言わず、ヤフーニュースで受賞を知りましたから。密かにプランを進めていたりしたら怖いですけど…、それでも、これはオレが先にしてみせます!

(撮影・中西正男)

■入江慎也(いりえ・しんや)

1977年4月8日生まれ。東京都出身。97年、高校の同級生だった矢部太郎とお笑いコンビ「カラテカ」を結成。 「アーイエ・オーイエ・オレイリエ! フロムLA!」とラップ調でポップに自己紹介するネタや“友達5000人”というキャッチフレーズなどで注目される。実際、白鵬、長友佑都、澤穂希、渡辺美樹など数多くの著名人との親交がある。人脈を活かし、コンサルタント業務を行う企業「株式会社イリエコネクション」を15年10月に立ち上げる。昨年、7冊目の著書となる「入江式 のしあがる力」を上梓。また「カラテカ」として17年ぶりの単独ライブ「カラテカメモリアルフェア 元友達」(東京・CBGKシブゲキ、2月9日、10日)も開催する。