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田中道子、“さらけ出す喜び”で花開かせた!!

中西正男芸能記者
現在は女優として活躍中の田中道子

ミス・ワールド2013日本代表など華々しい経歴を持つモデルとして活躍し、昨年からは女優活動をスタートさせた田中道子さん(27)。昨年、テレビ朝日系「ドクターX~外科医・大門未知子〜」で女優デビューし、現在放送中のフジテレビ系「貴族探偵」(月曜・後9時)にも出演しています。着実にキャリアを積み上げていますが、モデルとしての日々が今の自分を強く後押ししてくれていると言葉に力を込めました。

初シーンが大物俳優2人と

昨年から女優のお仕事をさせてもらうようになったんですけど、最初のお仕事が「ドクターX」。しかも、初めてのシーンが西田敏行さんと泉ピン子さんの間に割って入ってセリフを言うというもので。正直、何もかも初めてですし、モデルから女優。同じ芸能界のお仕事とはいえ、転職したくらい何も分からない中で、いきなりそのお二人とのシーン。撮影2週間前くらいから寝付けなくなってしまいまして…。

私は西田さんの秘書の役だったんですけど、西田さんとも顔合わせの時に一回ごあいさつをさせてもらっただけで、撮影の日がお会いするのが2回目。そんな中での撮影だし、本当に不安でいっぱいだったんですけど、ただ、もうカメラもまわっている。ここまで来て「やらない」という選択肢はもちろんないですし(笑)、もうやるしかない!!

場面としては、西田さんの体調が悪くなって、ピン子さんを押しのけて私が間に割って入って介抱をするというシーンだったんですけど、押しのけるといっても、相手は泉ピン子さんですし…。考え出したら、いくらでも躊躇(ちゅうちょ)してしまうところだったんですけど「…エイ!!」と思い切って、お二人の間に入ったんです。そうしたら、そこで、西田さんがさらにアドリブを入れてこられまして…。

西田「ちょっと、ネクタイ緩めてくれる?」

田中「はい、わかりました」

西田「あ、ベルトも緩めてくれる?」

田中「かしこまりました」

西田「じゃ、パンツもずらしてくれる?」

田中「…」

生まれて初めて野球をやるのに、1球目から“消える魔球”を見せられた感じで…。全く打ち返せなかったんですけど、とにかく、最低限の部分は撮り終えることはできました。まさにアドリブもその一つだったんですけど、西田さんからは「とにかく、楽しんでやりましょうね」と言っていただき、皆さんのお気遣いというか、優しさのおかげで、なんとか初回収録を終えることができました。ただ、やっぱり初めてのことで自分でも分からないくらいの緊張があったんでしょうね。収録を終えて帰る道中、知らず知らずのうちに涙が出てきたんです。なんとか、最初のシーンを終えられた。その安堵感からだと思うんですけど、自分にとってはとても大きな一日になりました。

あと、今から思うとですけど、最初のシーンをこのお二人とできたというのは、本当に有り難いことだなと。普通に考えたら、物怖じするしかないようなシチュエーションがいきなり来たことで、そこで私のネジが外れちゃったのか(笑)、いざとなったら「よし、行こう!!」と開き直る自分と出会えた気がしています。

自分を出すことができる!!

あと、今、女優のお仕事をさせてもらってうれしいのは、自分を出すことができる。なんなら、そこを褒めてもらえる。ここは自分の中では非常に大きな体験でした。

女優のお仕事の前は、モデルのお仕事をさせてもらっていたんですけど、これは仕事の特性上、当然のことだと思うんですけど、常にキレイということを前に押し出していないといけない。本当の自分を出すことをしないというか「私、ファッションも美容も大好きで、食事も気を付けています」みたいな空気を出さないといけないというか…。常に自分に一つ殻をかぶせている感じがしていたんですね。本当に、本当に、正直な話。

それが、女優のお仕事になると、さらけ出すのも求められるようになる。なんなら、そこが評価してもらえることにもつながる。

周りの方からしたら、なんてことない一つのシーンだったと思うんですけど、私にとってはとても印象深いシーンがありまして。「ドクターX」では、私はかなり生意気な秘書の役だったんですけど、ふてくされて部屋を出ていくというシーンがあったんです。そこで、私がアドリブというか、ふてくされる思いがにじみ出て、思わず「…チッ」って舌打ちをしながら部屋から出て行ったんです。モデルの時の感覚でいうと、舌打ちなんて絶対にダメだし、そんな顔を公の場で見せるなんて一番あってはならないこと。瞬間的に「しまった…」という感覚が出てきたんですけど、すぐさま監督さんが「よかったよ!!」とすごく褒めてくださったんです。その瞬間、実は自分の中ではとても大きく心が揺さぶられたんです。「フタをしなくてもいいんだ」と。

もちろん、女優には女優の大変さがあり、私はそれをこれから経験していく立場なんだとは思うんですけど、モデルという時間があったがゆえに、またミス・ワールドという、モデルの中でも容姿だけではなく、リーダーシップがあって、フレンドリーで、常にハッピーでということを体現していなければならないということをさせていただいたからこそ、今のお仕事の味がより分かるというか。そういう部分は強く感じています。

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家にこもりっぱなしで勉強の日々も

もともと、喜怒哀楽の全部が大きいというか、感情の起伏が大きいタイプではあるんです。だから、そこにフィルターをかけるのではなく、もちろん役やシチュエーションによってですけど、さらけ出してもいいんだと。この感覚は自分にとって、すごく新鮮なものでした。

そもそもの話、私がこの仕事を始めるきっかけになったというか、起点となったのは23歳の頃。建築士を目指して資格を取るべく、1年ほど勉強をしていたんです。ずっと家にこもりっぱなしで勉強するだけの日々。もちろん、目標に向かって頑張らないといけない時期だったので、致し方ないんですけど、それがすごくつらかったんです。勉強がつらいというよりも、感情の起伏がないことが自分にとってはこんなにつらいのかと。

その後、お声がけいただいて、芸能界の仕事をやることになるんですけど、その一年間の経験があるので、感情が常に大きく動く自分でありたいと思って、直感的にこの世界に飛び込みました。今も大変なことはありますし、悔し涙で寝られないこともありますけど、感情が揺れ動くだけ楽しい。本当にそう思えるんです。

アクション女優になりたい

目標は女優の中でも、アクション女優になりたいなと。というのも、小さい頃から家族そろってアクション映画を見るのが楽しみで、いつか、自分もそんな仕事ができたらなと潜在的に思っていたところもあったんです。今、実際に女優のお仕事をさせてもらえるようになり、それが思うだけでなく、実際の話になってきた。さらに、現実のものにするために、1年くらいアクションのレッスンにも通っているんです。バック転の練習もしていますし、周りを囲む敵を全員倒すというような練習もしていますし(笑)。

だいぶ体がアクションを覚えてきたのはうれしいんですけど、体がなじみすぎちゃって…。ハイキックで相手の顔面を蹴るような練習もしているので、ちょっとした段ボール箱とか障害物をまたぐ時も、そこまで絶対に上げなくてもいいレベルまで足をポーンと高く上げちゃうんです…。周りの方をもれなく「…エッ?」という顔にさせてしまう。そこは、きちんとTPOを考えなきゃと思っています(笑)。

■田中道子(たなか・みちこ)

1989年8月24日生まれ。静岡県浜松市出身。オスカープロモーション所属。建築士の道を目指すが、スカウトされオスカープロモーションに所属。2013年にはミス・ワールドの日本代表に選ばれる。昨年、女優転身を表明し、テレビ朝日系「ドクターX~外科医・大門未知子〜」で女優デビュー。現在放送されているフジテレビ系「貴族探偵」(月曜・後9時)に出演中。5月15日(月)には、1st写真集「M」がワニブックスより発売。発売記念イベントが、5月14日13時より、紀伊国屋新宿本店にて開催される。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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