石川恋、原点は「ビリギャル」とあの日の涙

女優としても活躍中の石川恋

2013年に書籍「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」(通称・ビリギャル)の表紙モデルを務めたことで一躍注目を集めたのが、モデルの石川恋さん(23)です。現在放送中の日本テレビ系「東京タラレバ娘」(水曜・後10時)で連続ドラマに初めてレギュラー出演。来年公開予定の日本と中国の合作映画「一夜再生名」に主演するなど、女優としての階段も駆け上がる石川さんですが、活躍の礎となっているのは“あの日の涙”だと言います。

新しい“名刺”も作らないと

「ビリギャル」の表紙をさせてもらって「たった一枚の写真でこんなに名前を知ってもらうことがあるんだ…」と驚いたのが正直な思いです。そこをきっかけに「有吉反省会」(日本テレビ系)に呼んでいただき、さらにそこから派生してお芝居もやらせてもらうようになりました。

「ビリギャル」がなければあきらめていたし、「ビリギャル」があったから可能性が生まれた。自分の原点だと思っています。でも、もうそこから2年半が経つのも事実。今でも「ビリギャルの人ですよね?」と言われるのは本当にすごいことだと思いますし、ありがたいことだとも思います。ただ、それと同時に、新しい“名刺”も作らないといけない。それが今の正直な思いです。

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結果が出ない日々

もともと、中学生の頃からファッション雑誌を読んだりするのが好きな子ではあったんですけど、通っていた高校は校則も厳しくて。それこそ「ビリギャル」じゃないですけど、ギャルメイク全盛ながら、そんな格好もできない。なので、週末に密かにメイクの練習をしたり、東京ガールズコレクションに行ったり…という感じでした。そして、19歳の時に、渋谷で買い物をしていたら、スカウトを受けたんです。漠然とした憧れはずっとあったので、声をかけられた時に、意外と迷いはなかったんです。厚かましい話「やっとこの日が来た!」という感じで(笑)。

ただ、そこからが本当に大変でした。これも、本当に、本当にイヤな言い方に聞こえかねないんですけど(笑)、19歳で事務所に入るまで、うまくいかなかったことが一回もなかったんです。何もしなくてもできるわけではないんですけど、勉強もちょっとやれば成績も常に1番だったし、スポーツもできた。ま、負けず嫌いというのもあったと思うんですけど、要は、頑張ったら必ず結果が出た学生時代だったんです。努力が報われなかったことがないというか。

ただ、事務所に入ってからは本当にうまくいかない。例えば、やっぱりモデルの世界なので相当スリムじゃないといけなくて、痩せないといけない。なので、頑張って痩せるんだけどオーディションで結果が全く出ない。もちろん、メイクの勉強だとか、いろいろなことも並行してやりつつ痩せにかかるんだけど、何も状況が変わらない。そのうち、だんだん精神的にしんどくなってきて、ご飯が食べられなくなって、もちろんいいことではないんですけど、自分の努力の粋を越えたくらいグッと痩せるんですけど、それでも結果が出ない。そこまでやっても、そこまでになっても、結果が出ない。そうなると、今までの成功体験があったからこそ、余計に「これ以上、何をどうやったらいいの?」と思うようになったんです。

でも、そうなったからこそ向き合えた気持ちもあったというか、心の底から「成功したい」という思いも出てきたんです。うまくいかないからこそ出てくる強い思いと、うまくいかないつらさ。この2つの感情がぶつかり合う日々でした。

口座に10万円入っていた

そんな中、もう大学も3年生になって就職も考えないといけない時期になってきた。それこそ「ビリギャル」の表紙になった少し後で、まだ大きな話題にはなっていないけれど、少しずつお仕事が入ってきたりもした頃。それまでは毎日アルバイトをしていたんですけど、撮影とかがあったりして結構スケジュールはおさえられてアルバイトはできなくなるけど、もらえるお金は限られているので、金銭的には仕事がない時よりも厳しい状況になってきたんです。

奨学金も借りてギリギリの中でやっている中、アルバイトができなくなってしまうと、グッとお金がなくなる。そして、先のことを見たら、わざわざ大学まで行かせてもらったのに、就職しなくてこのままで本当にいいのか。芸能界を続けると言っても仕事がなかったら、それって、続けていることになるのか。先のビジョンも立たないし、まず今のお金もない。

でも、そんなことを親に言って心配かけるのはもっとイヤだし、だからこそ、一人暮らしをしていても、親に仕送りをもらったことも一回もなかったんです。ただ、ただ、今でも、どうやって分かったのか、とても不思議なんですけど、本当にもう限界となったある日、銀行で残高をチェックしたら、口座に10万円が入ってたんです。すぐ、母に電話をしてたずねたら、一言「うん、入れたよ」と。

何を言うわけでもなく、ただ、ソッと振り込んでくれた。仕事のこと、お金のこと、将来のこと…。いろいろな不安が胸にある中、母の優しさが不意に飛び込んできて、ボロボロ泣きました。とことん泣いた後、ただただ「頑張んなきゃ」と思いました。

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母の優しさを大事にしまって…

そして、その少し後に「ビリギャル」がらみで「有吉反省会」に出してもらって、グッと流れが上向きになっていったんです。ドラマも、映画も、一番しんどかった時には考えられないくらい、お仕事をいただくようにもなりました。ただ、母が入れてくれた地元・栃木の信用金庫の口座の残高は、あの日のまま、全く手つかずの状態で置いてあります。

■石川恋(いしかわ・れん)

1993年7月18日生まれ。栃木県出身。19歳の時に、スカウトをきっかけに芸能界入り。坪田信貴氏の著書「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」、通称「ビリギャル」の表紙モデルを担当し、話題になる。昨年には「栃木市ふるさと大使」に任命される。主演した日中合作映画「一夜再成名」が2018年に公開される予定。