神戸弘陵学園高校が大会5日目の26日にようやく初戦を迎えました。センバツベスト8以上のチームは2回戦からの登場であったことに加え、2回戦は対戦相手のクラーク記念国際の棄権で不戦勝となり、この日が今大会初の試合となりました。対戦相手は、昨年、甲子園で決勝を戦った高知中央高校でしたが５対０と神戸弘陵が完封勝ち、試合間隔が開いたことなど全く問題なし、連覇へ向けて好スタートをきりました。

神戸弘陵学園 5-0 高知中央

神戸弘陵 002 120 0 5

高知中央 000 000 0 0

【バッテリー】

神戸弘陵　日高結衣－安藤蓮姫

高知中央　藤原歩生、和田千波留－中野悠方

投打が噛み合う好ゲームを展開

3回、神戸弘陵は、２死一塁で四番・島田羽菜(3年)さんの右前安打を放ち、相手守備の後逸もあって島田さんも生還、2点を先制します。4回に九番・並木加奈さん(3年)の右前適時打で1点を加え3対0で迎えた5回、三番・正代絢子さん(3年)が左前安打で出塁すると、五番・國冨瑞穂さん(3年)の左中間を抜く三塁適時打、七番・安藤蓮姫さん(3年)のライト線への適時打とさらに2点を入れ5点差としました。

投げてはエース日高結衣(3年)さんが貫禄を見せつけます。特に伸びのいいストレートが光りました。3回は三者連続三振にとるなど、序盤は高知中央打線をパーフェクトに押さえます。後半こそランナーを出す場面がありましたが、その都度ギアを上げて後続を断つ危なげないピッチングで相手に点を許しませんでした。

待たされた初戦に、堅さが見られるかと思いきや、2戦勝ち上がって勢いに乗る高知中央に少しの隙も与えない戦い振りでした。

神戸弘陵に死角なし？！

試合後、神戸弘陵・石原康司監督は、「日高のストレートが走っていた分、ラッキーな形とはいえ2点を先制できたのは大きかった。並木が(一打席目から)修正してヒットを打ち3点目を入れられたところも良かった」と話しました。「走塁ミスやエンドランをかけた場面でフライを上げてしまった」と反省も忘れません。

改めて日高さんについては「ストレート中心に組み立てて、相手打線を無四球4安打に押さえた非常にいい内容だった」と称えました。

待たされた初戦に加え、リベンジを目論む高知中央相手に見事な勝利でした。「初戦は、この後にも勢いに乗れるかどうかを占う大事な試合。どうしても固さはでるもの。しかも、相手は去年の決勝の相手でしたから余計に。完封したのは大きかった」と話す通り、指揮官としては、初戦突破に安堵していたようにも見えました。

高知中央・西内友広監督は「日高さんの序盤のような完璧なピッチングをされるとどうしようもない。低めに手を出すなと指示しても、つい振ってしまう。こうなると失投を待つしかないが、それもない」とお手上げ状態。　　一年間、打倒神戸弘陵に燃えてきましたが叶わず。新チームで次こそは、といきたいところですが、それも今は「全くどうしたらいいのか見当もつかない」と悩まし気でした。

「楽しんでマウンドへ。次も全力を尽くしたい」

日高さんは、初戦を迎えられた感想を「初戦まで長かったですが楽しもうと思いながらマウンドに立ちました」と話し、昨年甲子園で戦った相手という点については、「確かに去年は勝ちましたが、今年のセンバツでは当たっていなかったし、昨年とは全く違うチームになっているかもしれない」と、隙を見せない姿勢で臨んだといいます。自身のピッチングについては「ストレートが走っていたので押せるところはどんどん押せました。序盤は逆玉多かったし、変化球の精度をもっと良くすることが次への反省点」と話しました。

次戦は、準々決勝、走攻守のバランスがとれ、ここまでの勝ち上がり方を見ても好調の京都両洋が相手です。昨年は準決勝でぶつかり勝利しており、またも雪辱に燃える相手となります。今季すでに何度か対戦しているという日高さんは「鋭いバッティングと守備が堅いという印象」と話し、「全力を出しきらないと勝てない相手。今日の課題を活かして、感謝の気持ちを忘れず良いピッチングをしたい」と意気込みを話しました。

最後の夏、予期せぬ事態に

神戸弘陵は、7月28日準々決勝1日目の第2試合に京都両洋戦と戦う予定でしたが、当日朝になって出場辞退が発表されました。大会二連覇とセンバツ準優勝に終わった悔しさを晴らす場でもあった今大会。特に3年生たちは、昨年の優勝達役者が多く、今大会に賭ける思いはひとしおだったはず。思わぬ形で最後の夏が終わってしまった神戸弘陵ナインの胸の内を思えば、どれほど無念であるか想像に難くありません。野球ができること、そのものが幸せであるということを、改めて感じずにはおれません。

(写真はすべて筆者撮影）