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高知で韓国2球団がキャンプ 県観光協の坂本龍馬スポーツ部長(51歳)に誘致について訊く

室井昌也韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表
高知県観光コンベンション協会の坂本龍馬スポーツ部長(写真:ストライク・ゾーン)

2月でも日差しが暖かく、日中はコートがいらないほどの陽気の日も多い高知県。1980年代には日本プロ野球(NPB)の5球団が春季キャンプを行っていた。しかし現在は各球団が宮崎県、沖縄県に場所を移し、今春、高知県内をキャンプ地とするのは埼玉西武ライオンズのB班のみだ。

同県内でプロ球団のキャンプ実施が現実的な球場は、埼玉西武が使用する県立春野球場を含む4か所。そのうちの2つに今年、韓国KBOリーグのチームが訪れている。

高知市野球場を使用するハンファイーグルスと、高知市東部球場のKIAタイガース。いずれもフューチャーズチーム(2軍)だ。ハンファは2015年の1軍使用以来、今回が8回目。KIAは初めて高知を練習拠点とした。

ハンファが練習を行う高知市野球場(写真:ストライク・ゾーン)
ハンファが練習を行う高知市野球場(写真:ストライク・ゾーン)

高知市東部球場のKIA。中央はチェ・ヒソプ2軍打撃コーチ(写真:ストライク・ゾーン)
高知市東部球場のKIA。中央はチェ・ヒソプ2軍打撃コーチ(写真:ストライク・ゾーン)

プロ野球キャンプの誘致を進める、高知県観光コンベンション協会の坂本龍馬スポーツ部長は「日本の球団に来ていただけたらもちろんありがたいですが、海外のチームにも営業を行っています。今回、日本での2軍キャンプ地を探していたKIAさんと、東部球場を使って欲しいというこちらからのアプローチとタイミング、条件が合いました」と話す。

上記のスポーツ部長は高知県を代表する偉人と同姓同名の51歳。ここから先は坂本龍馬スポーツ部長(以下、龍馬部長)の経歴を紹介しながら、高知県のプロスポーツキャンプの誘致状況を伝える。

龍馬部長は神奈川県出身。龍馬好きの父が「坂本姓なのだから」と長男にその名をつけた。「名前でからかわれたりとかは意外となかったですね」(龍馬部長)。学生時代はサッカーに傾倒。大学卒業後、東京都内の出版社に入社し広告や営業、中国赴任を経験した。転機は2010年に訪れた。

「NHK大河ドラマで『龍馬伝』が放送されて、会社で出版するムック本『RYOMA』の編集長に任命されました」。本づくりのため龍馬について勉強、取材を重ね、度々高知を訪れるうちにその土地にひかれていった。

その2年後、高知県のメールマガジンの「スポーツ振興の職員募集」の文字に目が留まった。「出版業界が厳しくなって楽しく本を作る時代が終わってしまったことと、サッカーをやっていてスポーツは元々好きだったので決意しました」。40歳の時、妻と3人の子供とともに高知へと移住した。

高知には韓国球団の他、台湾CPBLの統一ライオンズも練習試合で訪れる。今年が2回目だ。海外球団とのやり取りは不慣れな人にとって、イライラしたり負担となることも少なくない。しかし龍馬部長は出版社での中国駐在経験がいきた。

「中国ではいい意味でルーズというか、いい加減なところが肌に合いました。現地滞在も苦ではありませんでした。中国語が若干できるので台湾出張では困らないですし、中国のプロサッカーチームの誘致ではかつての人のつながりが役に立ちました。民間企業ならではの柔軟なアプローチが、いまは県の仕事でもできていると思います」

坂本龍馬スポーツ部長は今後について「高知県にキャンプで訪れるチームの数が増えることが一番ありがたいですが、施設やホテルの数が十分ではないので、いまある場所が常に予約でいっぱいの状態にするのが理想です。そして営業活動をしなくても毎年来ていただけるようになるのが夢です」と語った。

◇ハンファ、KIAの関係者は高知でのキャンプを「施設と気候が良く、満足している」と話す。一方でKIAは宿舎を1か所で押さえられず分宿している。来年以降の課題となりそうだ。

◇阪神タイガースが長らく春、秋と訪れ、現在は秋季キャンプのみ使用している安芸市民球場(冒頭写真)。今春は社会人野球の三菱重工East硬式野球部と高校、大学野球部が使用する。

◇高知県では「プロ野球プレシーズンマッチ2024」と銘打ち、以下の1軍同士の対戦を2試合予定している。

・埼玉西武ライオンズ-千葉ロッテマリーンズ(春野)

3月2日(土)13時、3日(日)12時 入場無料

2024年日韓22球団 春季キャンプ日程表(ストライク・ゾーン)

(関連記事)韓国の6球団が来年日本で春季キャンプ 5年ぶりにリーグの半数超が来日。宮崎と沖縄に

韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表

2002年から韓国プロ野球の取材を行う「韓国プロ野球の伝え手」。編著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』(韓国野球委員会、韓国プロ野球選手協会承認)を04年から毎年発行し、取材成果や韓国球界とのつながりは日本の各球団や放送局でも反映されている。その活動範囲は番組出演、コーディネートと多岐に渡る。スポニチアネックスで連載、韓国では06年からスポーツ朝鮮で韓国語コラムを連載。ラジオ「室井昌也 ボクとあなたの好奇心」(FMコザ)出演中。新刊「沖縄のスーパー お買い物ガイドブック」。72年東京生まれ、日本大学芸術学部演劇学科中退。ストライク・ゾーン代表。KBOリーグ取材記者(スポーツ朝鮮所属)。

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