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安田権守、レギュラーで打率3割残すも「現実は甘くなかった」 来季はロッテジャイアンツでプレー

室井昌也韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表
安田権守(写真:トゥサンベアーズ)

トゥサンベアーズの保留者名簿から外れた外野手の安田権守(やすだ・こんす、29。登録名アン・グォンス)は、来季ロッテジャイアンツでプレーする。ロッテ球団はトゥサンの安田放出を知るとすぐに連絡を取り契約を打診。安田は「ロッテには拾ってくれたので感謝しかない」と話した。

安田はKBOリーグ3年目の今季の前半戦、1番ライトのレギュラーとして出場を続けた。シーズン前にNTT西日本の日下部光とのやり取りの中で、技術の向上を実感。「試合に出続ければ、ある程度、結果が出せる」という確信どおりの活躍だった。

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7月末の時点で打率3割8厘。規定打席到達まで30打席程まで迫り、そのまま順調に後半戦に突入するかと思われた。しかし安田は「結果を残していても現実は甘くなかった」と感じていた。その悩みの理由は体力的な問題だった。

「シーズン通して試合に出たことがなかったので、体がきつかったです。足の感覚がなくなって、特にふくらはぎの感覚がなかなか戻りませんでした」

安田には「こういう時に体力が落ちる」というパターンがあった。「(1試合で)3本、4本ヒットを打った日はものすごく走るので、その翌日がきつかったです」

安田の持ち味のひとつが俊足だ。出塁を重ねることで役割を発揮する選手だが、塁に出れば出る程、体への負担が大きくなるという悩みに陥った。

「いかに生活の仕方で体力を戻すか考えました。筋トレを増やしたり(温冷)交替浴もしましたが、食べられない時期もある程、疲れが抜けませんでした。これ以上に悪い方向にいかないようにと、あまり考えすぎないように過ごしていました」

安田は今季の経験を基に、来季に向けて動き出している。「韓国は走る練習が少ないので、オフの間は自分でランニングメニューを増やしています」

安田は自分が加わるロッテのことを「打力がある嫌なチーム」と思って見ていた。「イ・デホ(今季引退)、チョン・ジュンウ、アン・チホン、チョン・フン、ハン・ドンヒ選手と、いいバッターが揃っています」

安田が名前を挙げた選手はいずれも得点能力のある右バッター。左打ちの安田にとって最大のアピールは上位打線に定着し、彼らの前で出塁を重ねることだ。しかし安田が自身の目標について話すことはなかった。「チームが優勝するために力になりたい。チームのためになりたい」と「チーム」という言葉を繰り返し口にした。

「今年は韓国に来て1、2年目はなかった『声出し応援』が再開して、トゥサンではその声援がいい結果に繋がりました。今度はプサンでロッテファンの応援が力になればと思います」と話す安田は、歓声が響くグラウンドでチームに貢献する日に向けて準備を進めている。

◇安田権守(アン・グォンス) NPBでの選手経験のない日本出身選手。埼玉出身の在日コリアン3世で早稲田実業高、早稲田大、クラブチーム、BCリーグ、社会人野球を経て2020年にトゥサン入りした。

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⇒ ロッテジャイアンツ紹介(ストライク・ゾーン)

※本記事は筆者がスポーツ朝鮮に韓国語で寄稿したコラムを、スポーツ朝鮮の承諾を得て日本語で加筆し再編集して執筆したものです。

韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表

2002年から韓国プロ野球の取材を行う「韓国プロ野球の伝え手」。編著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』(韓国野球委員会、韓国プロ野球選手協会承認)を04年から毎年発行し、取材成果や韓国球界とのつながりは日本の各球団や放送局でも反映されている。その活動範囲は番組出演、コーディネートと多岐に渡る。スポニチアネックスで連載、韓国では06年からスポーツ朝鮮で韓国語コラムを連載。ラジオ「室井昌也 ボクとあなたの好奇心」(FMコザ)出演中。新刊「沖縄のスーパー お買い物ガイドブック」。72年東京生まれ、日本大学芸術学部演劇学科中退。ストライク・ゾーン代表。KBOリーグ取材記者(スポーツ朝鮮所属)。

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