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元ソフトバンク・ミランダ初勝利/市長選候補たちがリーグの球場改修要望に回答<韓国KBOリーグ>

室井昌也韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表
初勝利を挙げたアリエル・ミランダ(写真:トゥサンベアーズ/初報から差し替え)

7日の韓国KBOリーグのオープン戦は全5試合がナイトゲームで行われました。

チャムシル球場のトゥサンベアーズ対サムスンライオンズはトゥサンの先発マウンドに、新外国人選手のアリエル・ミランダ投手(元ソフトバンク)が初登板初先発。ミランダ投手は150キロ台の直球と鋭く落ちるフォークで、5回95球を投げてサムスン打線を2安打無失点に抑えました。

試合は6回以降もトゥサンのリリーフ陣がサムスン打線を0点に抑え、2回に挙げた1点を守って1-0で勝利。開幕3連勝を飾りました。敗れたサムスンは4連敗で未だ勝ち星がありません。

KBOリーグ初白星のミランダ投手は2018、19年とソフトバンクでプレー。昨季は台湾CPBLの中信兄弟に所属し10勝を挙げています。

◆「ソウル、プサンの市長選候補者に球場改修の要望」

7日は韓国の2大都市、ソウルとプサンで市長選挙が行われました。この2つの選挙は、前市長がセクハラ問題で自殺、辞任によって実施することになった補欠選挙で、与野党の対決ということで、来年の大統領選の前哨戦として注目されています。

この2つの選挙に出馬の有力候補各2名、計4名に、韓国野球委員会(KBO)は球場のインフラ改善などに関する要望書を提出。選挙を翌々日に控えた5日に、各陣営からの回答を公開しました。

ソウルのチャムシル球場とプサンサジク球場については老朽化の改善。とりわけチャムシルはビジターチームのロッカーとシャワー室がないに等しく、メジャーリーグから今季KBOリーグ入りしたチュ・シンス選手(SSG)の感想を引用して、KBOは現状を訴えています。

またチャムシルは球場の広告収入の大半をソウル市が得ていることを問題視し、他の7球場同様に、球団主導で行うように要望しました。

ソウル市長選に出馬の与党、「共に民主党」のパク・ヨンソン氏と、最大野党、「国民の力」の候補者で元ソウル市長のオ・セフン氏の両候補は、KBOの改善要求に前向きな回答を寄せました。

またプサンでは「共に民主党」のキム・ヨンチュン候補が「ドーム球場の建設は公約の一つ」とし、「国民の力」のパク・ヒョンジュン候補は現球場の改修を進め、新球場建設には予算の面から「慎重な検討が必要」と回答しています。

韓国は9つの本拠地球場すべてが地方自治体の所有物です。近年は野球人気の高まりと、球場の老朽化問題が重なり、地方都市の球場では新球場の建設が続いています。その際、球団が建設費用の一部を負担し、その代わりに球場の命名権や長期使用契約を結ぶなど、各自治体と球団の関係は良好です。

映像:2016年に完成のテグサムスンライオンズパーク

(関連記事:焼肉香るボールパーク? 韓国にこの6年間で4つ目の新球場誕生。23日にプロ野球開幕

一方でソウルとプサンの大都市の場合、自治体の立場が球団より圧倒的に強く、地方都市とは大きく異なります。ソウルの球団のマーケティング担当者は、「球場の広告営業をしても、売り上げはソウル市に持っていかれる」と嘆いていました。

今回、有力候補者がKBOからの要望に回答したことで、2大都市の球場が抱える問題点に改めて注目が集まりました。これにより選挙結果に関わらず、ソウル、プサンともに新市長の下、改善に向けた動きが具体化する可能性はあります。

選挙は即日開票され、新市長の任期は来年6月末までです。

<きょうのアン・グォンス(安田権守、トゥサン)>

サムスンライオンズ戦での出場はありませんでした。

⇒ エリートだった「早稲田の腕立て王子」が遠回りして韓国でつかんだプロ野球選手の座

以下が全5試合の結果です。

◇4月7日(水)の結果

・トゥサン 1 - 0 サムスン(チャムシル)

 勝:ミランダ

 敗:ウォン テイン

・キウム 7 - 8 KIA(コチョク)

 勝:イ スンジェ

 敗:ヤン ヒョン

・SSG 0 - 17 ハンファ(インチョン)

 勝:パク チュホン

 敗:フォント

・KT 7 - 3 LG(スウォン)

 勝:ユ ウォンサン

 敗:チョン ウヨン

・NC 10 - 6 ロッテ(チャンウォン)

 勝:カン ドンヨン

 敗:ク スンミン

⇒ 2021年 韓国プロ野球日程表(ストライク・ゾーン)

※本項目は韓国KBOリーグ各球団から写真使用の許可を得ています。

韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表

2002年から韓国プロ野球の取材を行う「韓国プロ野球の伝え手」。編著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』(韓国野球委員会、韓国プロ野球選手協会承認)を04年から毎年発行し、取材成果や韓国球界とのつながりは日本の各球団や放送局でも反映されている。その活動範囲は番組出演、コーディネートと多岐に渡る。スポニチアネックスで連載、韓国では06年からスポーツ朝鮮で韓国語コラムを連載。ラジオ「室井昌也 ボクとあなたの好奇心」(FMコザ)出演中。新刊「沖縄のスーパー お買い物ガイドブック」。72年東京生まれ、日本大学芸術学部演劇学科中退。ストライク・ゾーン代表。KBOリーグ取材記者(スポーツ朝鮮所属)。

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