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韓国の25歳遊撃手がメジャー入りしダルビッシュの同僚に キム・ハソンがポスティングでパドレスへ

室井昌也韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表
キム・ハソン(写真:ストライク・ゾーン)

サンディエゴ・パドレスは日本時間の1月1日、ポスティングシステムを利用してメジャーリーグへの移籍を希望していた、キウムヒーローズのキム・ハソン(金ハソン※、25)内野手と4年契約を結んだと発表した。

※キム・ハソンはKBOリーグと所属チームに自身の名前を漢字表記登録していません(名前表記はハングルのみ)

21歳での代表入りで見せた楽観的思考

2014年にヤタプ(野塔)高校からネクセン(現キウム)入りしたキム・ハソンは、プロ2年目の15年、チームの正ショートだったカン・ジョンホ(姜正浩)がパイレーツにポスティング移籍したのをきっかけにレギュラーの座を手にした。

キム・ハソンは同年、主に8番打者として140試合に出場し打率2割9分、19本塁打、73打点を記録。走っては22盗塁をマークし、「長打が打てて走れる遊撃手」として脚光を浴びた。

16年には144試合にフル出場しホームランを20本台に乗せ、盗塁数も28に伸ばすと、翌17年3月の第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で初めて韓国代表入りした。

WBCで韓国は予選1次リーグで初戦のイスラエル戦に続き、メジャー屈指の遊撃手アンドレルトン・シモンズ(エンゼルス)を擁するオランダにも敗戦。2次ラウンド進出が厳しくなった。その翌日、キム・ハソンに初めての代表チームについて尋ねると物怖じすることなくこう答えた。

「代表選手であることに責任感はあるけど、負担は感じない。オランダの選手たちを見ていたら、グラウンド上でちょっとふざけた姿を見せたりして楽しんでプレーしていた。WBCは野球のお祭りなんだから、僕らももっと楽しんでいいと思う」

以前の韓国代表選手のような敗戦後の悲壮感はなく、楽観的な思考を見せていた当時21歳のキム・ハソン。キム・ハソンはその年のシーズン、チームの4番打者として初の打率3割、100打点超えを果たした。そして韓国球界をけん引する存在へと成長していく。

大舞台でも発揮した長打力

プロ5年目の18年からはサードのポジションも兼ね、米球界から古巣復帰した主砲パク・ピョンホ(朴炳鎬)の前後となる3、5番に座った。

そして直近の2シーズンは主に2番打者として2年連続打率3割、100打点を残し、昨季はホームランを30本の大台に乗せた。

代表選手としてはWBCが行われた17年の秋、24歳以下を中心とした大会、アジアプロ野球チャンピオンシップに出場。4番に座り日本戦では薮田和樹(広島)から一発を放つなど活躍を見せた。

アジアプロ野球チャンピオンシップで韓国代表の4番に座ったキム・ハソン(写真:ストライク・ゾーン)
アジアプロ野球チャンピオンシップで韓国代表の4番に座ったキム・ハソン(写真:ストライク・ゾーン)

また19年のプレミア12決勝戦では日本の先発・山口俊(現ブルージェイズ)から、初回に先制2ランを放っている。キム・ハソンはその年のオフ、ポスティング制度を利用しての21年からのメジャーでのプレーを希望し、球団もそれを容認した。

キム・ハソンはメジャー行きを見据え、昨年2月の台湾での春季キャンプでは韓国とアメリカのバッターのスイングの違いをアメリカ人選手に質問。メジャー経験があるチームの先輩パク・ピョンホと意見交換を繰り返していた。

キム・ハソンの質問に答えるテイラー・モッター(写真:ストライク・ゾーン)
キム・ハソンの質問に答えるテイラー・モッター(写真:ストライク・ゾーン)

(関連記事:プレミア12決勝で山口俊から先制弾の韓国の若武者が、元メジャーの新助っ人に尋ねたこととは?

KBO出身野手で6人目のメジャーリーガーに

キム・ハソンについてWBCで守備パートを担当していたキム・グァンスコーチ(元ハンファコーチ)はこう話していた。

「キム・ハソンは若いけど委縮しない性格だ。対戦したオランダのショート、シモンズの長所である、柔軟なハンドリングと打球の感度に合わせた強弱のテクニック、次のプレーを察する能力を見て、何かを感じ取って欲しい」

メジャー移籍したカン・ジョンホの後釜として高卒2年目でレギュラーとなり、21歳の代表入りでシモンズらのメジャーリーガーに刺激を受けた。

そしてアメリカ帰りの兄貴分パク・ピョンホによってメジャーリーグを身近に感じていったキム・ハソン。KBOリーグ出身の野手ではカン・ジョンホ、キム・ヒョンス(金賢洙)、パク・ピョンホ、イ・デホ(李大浩)、ファン・ジェギュン(黄載均)に次いで6人目。最も若い渡米となる。

・キム・ハソンが入団したパドレスには12月28日にダルビッシュ有がシカゴ・カブスから移籍。先輩たちが国際舞台で相対した右腕とチームメイトとしてシーズンに挑む。

2020年 韓国プロ野球個人成績(ストライク・ゾーン)

韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表

2002年から韓国プロ野球の取材を行う「韓国プロ野球の伝え手」。編著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』(韓国野球委員会、韓国プロ野球選手協会承認)を04年から毎年発行し、取材成果や韓国球界とのつながりは日本の各球団や放送局でも反映されている。その活動範囲は番組出演、コーディネートと多岐に渡る。スポニチアネックスで連載、韓国では06年からスポーツ朝鮮で韓国語コラムを連載。ラジオ「室井昌也 ボクとあなたの好奇心」(FMコザ)出演中。新刊「沖縄のスーパー お買い物ガイドブック」。72年東京生まれ、日本大学芸術学部演劇学科中退。ストライク・ゾーン代表。KBOリーグ取材記者(スポーツ朝鮮所属)。

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