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地獄の18連敗から脱出 ワースト記録は免れるも苦境のハンファに日本のOBたちも心配

室井昌也韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表
サヨナラ安打のノ・テヒョン(写真:ハンファイーグルス/初報から差し替え)

5月23日の敗戦から3週間、白星から遠ざかっていたハンファイーグルスは、14日のトゥサンベアーズ戦にサヨナラ勝ちし、連敗を18でストップ。KBOリーグの最多連敗記録更新を免れた。

(関連記事:リーグ35年ぶりの18連敗。ハンファが球界創成期のワースト記録に並ぶ

これまでのKBOリーグのワースト連敗記録は、リーグ発足4年目の1985年にサムミスーパースターズが記録した18。ハンファは35年ぶりにその記録に並んだところで、連敗が止まった。

ハンファとトゥサンの2回戦は前日13日の17時に始まるも、降雨のため2度にわたって中断。計1時間46分の中断の末、「特別サスペンデッドゲーム」となって、14日の14時に3回裏ハンファの攻撃から再開となった。

(関連記事:18連敗中のハンファ、降雨中断による「特別サスペンデッドゲーム」で記録の行方は明日に持ち越し

14日、試合は3-4でハンファが1点を追う3回裏から再開。ともに1点を挙げて4-5として迎えた7回裏、ハンファは2番チョン・ウンウォンが2点タイムリー二塁打を放って、6-5と逆転に成功。

しかし8回表に同点にされて迎えた9回裏、5番ノ・テヒョンのサヨナラ安打で7-6として連敗を18で止めた。

◇ハンファの18連敗の記録

<1>5月23日 0- 3 NC(チャンウォン)

<2>5月24日 5- 10 NC(チャンウォン)

<3>5月26日 0- 3 LG(テジョン)

<4>5月27日 4- 15 LG(テジョン)

<5>5月28日 0- 3 LG(テジョン)

<6>5月29日 6- 8 SK(インチョン・SK)

<7>5月30日 3- 9 SK(インチョン・SK)

<8>5月31日 4- 6 SK(インチョン・SK)

<9>6月2日 3- 15 キウム(テジョン)

<10>6月3日 2- 6 キウム(テジョン)

<11>6月4日 3- 7 キウム(テジョン)

<12>6月5日 2- 13 NC(テジョン)

<13>6月6日 2- 14 NC(テジョン)

<14>6月7日 2- 8 NC(テジョン)

<15>6月9日 3- 9 ロッテ(プサン・サジク)

<16>6月10日 2- 12 ロッテ(プサン・サジク)

<17>6月11日 0- 5 ロッテ(プサン・サジク)

<18>6月12日 2- 5 トゥサン(テジョン)

2017年にハンファで打撃コーチを務め、現在は京都先端科学大学で硬式野球部監督を務める中島輝士氏(57)は、「今もハンファのことは気になる」と話し、ハンファが連敗していることを知っていた。

中島氏は自身の経験から「監督は大変だと思う。私も台湾(統一セブンイレブン)で監督だった時に、10連敗を経験して大変だった。しかし何かやろうとして動こうとすると逆効果になる。監督が選手を信じて頑張って欲しい」とエールを送った。

ハンファでの指導者当時の中島輝士氏(写真:ストライク・ゾーン)
ハンファでの指導者当時の中島輝士氏(写真:ストライク・ゾーン)

また10年から12年までトレーニングコーチを務めた花増幸二氏(65、徳島県スポーツ協会・スポーツコーディネーター)は、チームの主軸キム・テギュン(元千葉ロッテ)に向けて、「(チームが苦しい時に)一生懸命やる人。若い選手はその後ろ姿を見ているはずだから、背中で引っ張って欲しい」と話した。

ハンファでコーチを務めていた花増幸二氏(写真:ストライク・ゾーン)
ハンファでコーチを務めていた花増幸二氏(写真:ストライク・ゾーン)

そして2015年から3年間一、二軍でコーチを任され、17年から昨年までKIAタイガースで打撃コーチを務めた正田耕三氏(58)は「一番しんどいのは選手たち。今の状況を現場で見ていないので、激励の言葉はないというのが率直なところ」と選手たちのことを気遣った。

ハンファでコーチを務めていた当時の正田耕三氏(写真:ストライク・ゾーン)
ハンファでコーチを務めていた当時の正田耕三氏(写真:ストライク・ゾーン)

ここまでハンファは35試合8勝27敗で最下位の10位。100試合以上残る今シーズン、まだ巻き返しの機会は残っている。

韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表

2002年から韓国プロ野球の取材を行う「韓国プロ野球の伝え手」。編著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』(韓国野球委員会、韓国プロ野球選手協会承認)を04年から毎年発行し、取材成果や韓国球界とのつながりは日本の各球団や放送局でも反映されている。その活動範囲は番組出演、コーディネートと多岐に渡る。スポニチアネックスで連載、韓国では06年からスポーツ朝鮮で韓国語コラムを連載。ラジオ「室井昌也 ボクとあなたの好奇心」(FMコザ)出演中。新刊「沖縄のスーパー お買い物ガイドブック」。72年東京生まれ、日本大学芸術学部演劇学科中退。ストライク・ゾーン代表。KBOリーグ取材記者(スポーツ朝鮮所属)。

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