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新型コロナで過密日程でも雨中のずぶ濡れ試合はなし? 韓国KBOが「サスペンデッドゲーム」施策を発表

室井昌也韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表
昨年ノーゲーム後にパフォーマンスのチャン・スンヒョン(写真:トゥサンベアーズ)

新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、シーズン開幕を38日遅れてスタートさせた韓国プロ野球。無観客での開催という、通常とは異なる形で公式戦が行われているが、144試合の実施というのはこれまでと変わらない。

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そこで心配されるのが雨天中止による、試合日程の過密化だ。その対策として韓国野球委員会(KBO)は12日に新たな施策を発表した。それは「降雨中断ゲームの翌日への持ち越し」だ。

KBOリーグは10球団が9つの本拠地球場を使用している(トゥサンベアーズとLGツインズはチャムシル球場を共同使用)。そのうち天候に左右されないのはキウムヒーローズの本拠地・コチョクスカイドームのみ。韓国も例年6~7月には梅雨、8~9月には台風の影響を受けるため、雨天中止による試合順延の心配がある。

KBOリーグでは開幕日の遅れを補うため、雨天順延の場合には通常試合を行っていない月曜日の開催と、翌日の同一カードでのダブルヘッダーの実施を決めている(夏場の7、8月は実施せず)。早速、5月16日のLGツインズ対キウムヒーローズ(チャムシル)は前日15日の同カードが中止になったため、今季初のダブルヘッダーが編成された。

そして今回、KBOが今季の試合消化に関して新たに発表したのが「特別サスペンデッドゲーム」の実施だ。

通常、5回を終了せず雨天などにより試合が続行できない場合、「ノーゲーム」が宣告されてその試合は中止となる。しかし今季のKBOリーグは翌日に同一カードが行われる場合、ノーゲームを宣告せずに、翌日に中断した時点から試合を再開。当初予定していた試合とのダブルヘッダーを行うことにした。

これはノーゲームを無くすことで選手の負担を軽減するのが目的で、上記のダブルヘッダーと同様に夏場は実施せず、出場選手登録も1人増員が可能だ(8/18以降の拡大エントリー期間を除く)。

また続行試合の開始時刻は再開する時点によって変動し、例えば18時30分開始の試合に先立って行う場合、1~3回から再開する場合は15時開始、4~6回の場合は16時開始などとしている。

KBOリーグ広報部によると、昨年のノーゲームは5試合だった(4/9ロッテ-トゥサン、7/16KIA-ロッテ、7/26トゥサン-KIA、8/29LG-ハンファ、9/6SK-トゥサン)。しかし、試合を成立させるため、強い降雨の中でゲームを続けたケースもあり、今年、5回終了以前に続行が難しいと判断される試合数はもう少し増えるのではないか。

直面する問題に対して、シーズン中でも柔軟に対応し、必要があれば新たな策を講じることが少なくないKBO。今回の特別サスペンデッドゲームという施策もそのひとつと言えるだろう。

韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表

2002年から韓国プロ野球の取材を行う「韓国プロ野球の伝え手」。編著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』(韓国野球委員会、韓国プロ野球選手協会承認)を04年から毎年発行し、取材成果や韓国球界とのつながりは日本の各球団や放送局でも反映されている。その活動範囲は番組出演、コーディネートと多岐に渡る。スポニチアネックスで連載、韓国では06年からスポーツ朝鮮で韓国語コラムを連載。ラジオ「室井昌也 ボクとあなたの好奇心」(FMコザ)出演中。新刊「沖縄のスーパー お買い物ガイドブック」。72年東京生まれ、日本大学芸術学部演劇学科中退。ストライク・ゾーン代表。KBOリーグ取材記者(スポーツ朝鮮所属)。

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