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今年40歳のジェントルマン安打王 2年契約でLGに残留<韓国KBOリーグ>

室井昌也韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表
昨年6月、歴代安打記録を塗り替えたパク・ヨンテク(LG)(写真:LGツインズ)

LGツインズは20日、FA権行使を宣言していたパク・ヨンテク外野手(39)と再契約を結んだと発表しました。

契約期間は2年で年俸は現状維持の8億ウォン(約7,800万円)。2年間の年俸と契約金8億ウォン、オプション1億ウォンを合わせた総額は25億ウォン(約2億4,340万円)です。

2002年に高麗大からプロ入りして以来、LG一筋のパク・ヨンテクはプロ17年目となる昨季、大記録を打ち立てました。

6月23日、ロッテジャイアンツ戦の3打席目でこの日2本目となる二塁打をライトに放ち、通算2319本目のヒットを記録。ヤン・ジュンヒョク元選手が持つKBOリーグ歴代最多安打記録を塗り替えました。

記録達成の瞬間(映像:YTN NEWS)

記録達成時のチャムシル球場の電光掲示板(写真:LGツインズ)
記録達成時のチャムシル球場の電光掲示板(写真:LGツインズ)

パク・ヨンテクはプロ3年目の04年に打率3割を記録すると、09年には打率3割7分2厘で初の首位打者を獲得。以来、昨季まで10年連続打率3割をマークしています。

パク・ヨンテクがプロ入りした当時の韓国は右投げ左打ちが珍しく、パワー全盛で巨漢の打者が並ぶ時代。長い手足にスマートな体つき、俊足と巧打を兼ね備えた存在は新時代のプレーヤーとして注目されました。05年には43盗塁を記録し盗塁王も手にしています。

一方で守備面では肩が強い方ではないことから、代表入りは06年の第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)のみ。同大会で韓国代表は準決勝で日本に敗れましたが、ベスト4進出による特例措置として兵役免除が適用され、パク・ヨンテクもその恩恵を受けています。

起用がレフトまたは指名打者に限定され、これまで数多くのライバルとのポジション争いがあったパク・ヨンテク。しかしその間努力を重ね、スリムだった体つきはぶれない屈強な肉体に。また確かな技術を築いてレギュラーの座を守り続けました。

パク・ヨンテクは以前、テレビのインタビューで影響を受けた選手として二人の名を挙げました。一人はチームの先輩のイ・ビョンギュ現LGコーチ(元中日)。もう一人が助っ人として08、09年にLGで活躍したロベルト・ペタジーニ内野手(元ソフトバンク)です。

2008、09年LGに在籍し、パク・ヨンテクに刺激を与えたロベルト・ペタジーニ(写真:ストライク・ゾーン)
2008、09年LGに在籍し、パク・ヨンテクに刺激を与えたロベルト・ペタジーニ(写真:ストライク・ゾーン)

パク・ヨンテクは当時、40歳間近だったペタジーニの技術、そして試合に取り組む真摯な姿勢に共感。今ではパク・ヨンテク自身がその年齢になり活躍を続けています。

昨季も7年連続150安打以上となる159本のヒットを放ったパク・ヨンテクは通算安打数を2384本に伸ばしました。

今回の2年契約で来年までは現役を続けることが確実となったパク・ヨンテク。実直な人柄とチームファーストのプレースタイルはこれからもファンを魅了し続けるでしょう。

※本項目は韓国KBOリーグ各球団から写真使用の許可を得ています。

韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表

2002年から韓国プロ野球の取材を行う「韓国プロ野球の伝え手」。編著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』(韓国野球委員会、韓国プロ野球選手協会承認)を04年から毎年発行し、取材成果や韓国球界とのつながりは日本の各球団や放送局でも反映されている。その活動範囲は番組出演、コーディネートと多岐に渡る。スポニチアネックスで連載、韓国では06年からスポーツ朝鮮で韓国語コラムを連載。ラジオ「室井昌也 ボクとあなたの好奇心」(FMコザ)出演中。新刊「沖縄のスーパー お買い物ガイドブック」。72年東京生まれ、日本大学芸術学部演劇学科中退。ストライク・ゾーン代表。KBOリーグ取材記者(スポーツ朝鮮所属)。

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