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新曲デイリー1位、客席から手を振る指原莉乃――IZ*ONE、初のコンサート・ツアー最終公演レポート

宗像明将音楽評論家
IZ*ONE(提供:OFF THE RECORD)

2019年9月25日、IZ*ONEが「IZ*ONE 1ST CONCERT[EYES ON ME]IN JAPAN」をさいたまスーパーアリーナで開催した。5月にはすでに日本武道館にも立っているIZ*ONEだが、これまでの日本公演はファンクラブイベントなどだったため、一般向けにもチケットが販売されたコンサート・ツアーはこれが初めて。8月から幕張メッセ、神戸ワールド記念ホール、マリンメッセ福岡でコンサートを開催し、さいたまスーパーアリーナと合わせて5万人を動員した。

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日本ツアーに先立つアジア・ツアーでは、6月から7月にかけて、ソウル、バンコク、台湾、香港で3万人以上を動員。計8万人以上を動員したツアーの最終公演が、この日のさいたまスーパーアリーナだった。

オープニング映像が流され、照明も含めた巨大な装飾が施されたステージにメンバーがひとりずつ登場すると、会場からは大歓声が。さらにこの日は、オフィシャル・ライト・スティックの色彩が無線コントロールされ、客席のライトの色彩が一斉に変化していく趣向もあった。音楽、ダンス、照明、映像による巨大なエンターテインメントを展開した。

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コンサートは「Hey. Bae. Like it.」で幕を開け、「O'My!」ではファンも大合唱。「We Together(IZ*ONE ver.)」ではステージから延びた花道にいくつもの火柱が立ち、序盤からコンサートのヴォルテージを上げた。

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メンバーの自己紹介では、メンバーごとにオフィシャル・ライト・スティックの色彩が変化。韓国人メンバーの日本語を、宮脇咲良ら日本人メンバーがフォローしつつ、オリエンタルなEDMの「猫になりたい」、さらに「ご機嫌サヨナラ」と続き、「Airplane」では花道の先のセンター・ステージを使ったパフォーマンスを展開。さらに銀テープも噴出された。一般的な日本のライヴでは終盤に行われる演出である。

「夢を見ている間(IZ*ONE ver.)」では、ステージのスポット・ライトが照らした先に、ピアノを弾くキム・ミンジュの姿が。「Really Like You」はセンター・ステージで歌われ、さらに「Colors」は、T字型に延びた花道の先に一列になって歌われた。

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IZ*ONE結成前のオーディション番組「PRODUCE 48」時代の楽曲のパートでは、「To reach You」「Rollin' Rollin'」「I AM」と続き、特に番組のテーマ・ソングだった「NEKKOYA(PICK ME UP)」ではファンが大きな歓声をあげた。

メンバーが6人ずつにわかれてCD未収録曲「So Curious」と「Ayayaya」を披露した後、2019年2月にリリースされた日本でのデビュー・シングル「好きと言わせたい」へ。現在までにオリコンに24週もランクインし、24万枚以上を売り上げているロング・ヒットだ。さらに「好きになっちゃうだろう?(IZ*ONE ver.)」へ。

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「Highlight」に続く「La Vie en Rose」は、IZ*ONEのキラー・チューン。ファンのコールが会場に響き渡った。ダンス・ナンバーの「Rumor」では、再びセンター・ステージへ。「Violeta」ではトラップも鳴る。

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そして、この日が発売日である、日本でのサード・シングル「Vampire」では、MVとメイキング映像を流した後にメンバーが登場。照明の動きやVJも作りこまれたステージでパフォーマンスを披露した。ステージ前から火柱も上がる。なお、開演後に発表された2019年9月24日付のオリコンデイリーシングルランキングの1位は、IZ*ONEの「Vampire」だった。発売日の前日、つまり店着日だけで17万枚以上を売り上げている。

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メンバーからの感謝の言葉の映像が流れ、再びステージに登場したIZ*ONEは、バラードの「Memory」を歌唱。さらにステージでも直接感謝の言葉を述べた。本田仁美は、「コンプレックスを抱えていたけれど自分のことを好きになれた、自信をくれてありがとうございます。『PRODUCE 48』を受けた頃に反抗期だったけれど、離れてみて家族のありがたさがわかった」という主旨の言葉を述べた。その当時、彼女は16歳。この日のために、韓国人メンバーの家族も多く来日していた。涙ぐむ宮脇咲良や矢吹奈子が名前を呼んだのは、会場に来ていた指原莉乃だ。客席で手を振る指原莉乃がステージ上に映しだされる。ときに通訳もはさんで、全員が長い感謝の言葉を述べた。

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「年下Boyfriend」では、メンバーがゴンドラに乗ってアリーナを回った。「Up」ではゴンドラから花道に戻って歌い、再び銀テープが噴射され、3時間に及んだコンサートは幕を閉じた。

IZ*ONEは、K-POPであると同時に、HKT48の宮脇咲良と矢吹奈子、AKB48 Team 8の本田仁美も在籍しており、K-POPとAKB48グループの合流地点という性格も持つ。以下の記事は、筆者が2018年秋に日本人メンバーにインタビューしたものだ。

AKB48という「安定」を捨て韓国へ――IZ*ONEの3人が挫折からはい上がったK-POPの世界

IZ*ONEが2018年10月29日にリリースしたデビュー・ミニ・アルバム「COLOR*IZ」は、日本を含む世界12カ国のiTunesチャートで1位を獲得。アジア発のエンターテインメントの最先端を走っている存在でもある。そしてIZ*ONEのステージは、日本のエンターテインメントの文脈と異なる部分もあり、しかも大規模だ。活動期間は、当初から2年6か月とされている。残り、約19か月。彼女たちの進む先を見届けたい。

(提供:OFF THE RECORD)
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01.Hey. Bae. Like it.

02.O'My!

03.We Together(IZ*ONE ver.)

04.猫になりたい

05.ご機嫌サヨナラ

06.Airplane

07.夢を見ている間(IZ*ONE ver.)

08.Really Like You

09.Colors

10.To reach You

11.Rollin' Rollin'

12.I AM

13.NEKKOYA(PICK ME UP)

14.So Curious

15.Ayayaya

16.好きと言わせたい

17.好きになっちゃうだろう?(IZ*ONE ver.)

18.Highlight

19.La Vie en Rose

20.Rumor

21.Violeta

22.Vampire

E1.Memory

E2.年下Boyfriend

E3.Up

音楽評論家

1972年、神奈川県生まれ。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、はっぴいえんど以降の日本のロックやポップス、ビーチ・ボーイズの流れをくむ欧米のロックやポップス、ワールドミュージックや民俗音楽について執筆する音楽評論家。著書に『大森靖子ライブクロニクル』(2024年)、『72年間のTOKYO、鈴木慶一の記憶』(2023年)、『渡辺淳之介 アイドルをクリエイトする』(2016年)。稲葉浩志氏の著書『シアン』(2023年)では、15時間の取材による10万字インタビューを担当。

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