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リーチ マイケルは今度も歴史を作る。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
(写真:ロイター/アフロ)

 今度も歴史的な80分にするつもりだ。

 現地時間10月8日。ラグビー日本代表は、スタッド・ド・ラ・ボージョワールでアルゼンチン代表とぶつかる。ワールドカップフランス大会の予選プール最終戦で、勝てば2大会連続での決勝トーナメント行きを決められる。実現すれば、海外大会で初の8強入りとなる。

「日本ラグビーにとって、この一戦はすごく大事になると思います。海外でベスト8のチャンス。(達成すれば)自信になる。楽しみです」

 こう話すのはリーチ マイケル。日本代表のフランカーで先発予定だ。話をした試合前日に、35歳の誕生日を迎えていた。

 15歳で来日し、ワールドカップに初めて出たのは2011年。母国のニュージーランド大会を22歳で経験した。続く15年のイングランド大会では主将となり、南アフリカ代表などから歴史的3勝。さらに19年の日本大会では、やはり主将を任され予選プール全勝という大躍進を成し遂げた。

 進歩する日本ラグビー界の生き証人は、今度のビッグマッチも当事者として栄えある歴史にしたい。直前の思いは。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

——ここ数試合、終盤に失点している。

「過去の試合を観ていると、確かに最後の20分で点数を取られる傾向があって。まぁ、イングランド代表戦(18日に12―34)ぐらいからそれにどう対応するか、どう治していくか(を考え始めた)。そのなかで、サムライタイムという言葉が出てきた。それは何か。試合のモメンタムをどうコントロールするか。自分たちにはアタックしたい気持ちがあるけど、それで自分たちのエネルギーがなくなったり、リザーブの選手が出てきてめちゃくちゃやりたい気持ちが出てきて(気負って)試合であまり影響を与えられなかったりすることもあった。コーチ陣から、『最後の20分、どういうメンタリティと、どんなことが必要か』という情報を共有しています。

 試合ごとに成長している。最後のピースは明日(埋まる)。最後の20分の戦い方。最後の20分で疲れたり、モメンタムが行ったりきたりすることのコントロールの部分を修正できたりすれば、完全な日本代表になる」

——この4年間で成長した点。

「2015、19年を経験した選手がたくさんいるのが強み。準備の仕方、プレッシャーへの対応の仕方がわかっていて、能力も高い。若くポテンシャルの高い選手も出てきていて、彼らはタフな試合を経験している。

 試合ごとにスクラム、ラインアウトがどんどん成長していて、そこがよければ日本代表はどこに対してもいいアタックができる。アルゼンチン代表戦はいいテストになります」

——重要な試合でプレーする意味をどう考えているか。

「弱い時から日本代表の試合を数々、経験してきた。(2012年に)エディー・ジョーンズがヘッドコーチになるまで、海外で1勝するということもなかった。日本代表の新しい歴史をどんどん作ってきて、また、明日もそのチャンスが来た。ワールドカップで、ベスト8に行けるチャンス。大事な一戦。ここにいる選手、スタッフにとって、この試合での経験は次につながるし、ものすごく大きなターニングポイントになると思います」

 なお、歴史的な一戦のメンバーは以下の通り。

1,稲垣啓太(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…186・116・1990/6/2・52

2,堀江翔太(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…180・104・1986/1/21・75

3,具智元(コベルコ神戸スティーラーズ)…183・117・1994/7/20・28

4,ジャック・コーネルセン(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…195・110・1994/10/13・19

5,アマト・ファカタヴァ(リコーブラックラムズ東京)…195・118・1994/12/7・6

6,リーチ マイケル(東芝ブレイブルーパス東京)…189・113・1988/10/7・83

7,ピーター・ラブスカフニ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)…189・106・1989/1/11・18

8,姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ)…187・108・1994/7/27・31 ◎

9,齋藤直人(東京サントリーサンゴリアス)…165・73・1997/8/26・18

10,松田力也(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…181・92・1994/5/3・36

11,シオサイア・フィフィタ(トヨタヴェルブリッツ)…187・105・1998/12/20・12

12,中村亮土(東京サントリーサンゴリアス)…182・92・1991/6/3・38

13,ディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…187・102・1997/5/2・17

14,松島幸太朗(東京サントリーサンゴリアス)…178・88・1993/2/26・54

15,レメキ ロマノ ラヴァ(NECグリーンロケッツ東葛)…178・96・1989/1/20・19

16,坂手淳史(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…180・104・1993/6/21・40

17,クレイグ・ミラー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…186・116・1990/10/29・16

18,ヴァル アサエリ愛(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…187・115・1989/5/7・29

19,ワーナー・ディアンズ(東芝ブレイブルーパス東京)…201・117・2002/4/11・10

20,サウマキ アマナキ(コベルコ神戸スティーラーズ)…189・108・1997/3/8・2

21,福田健太(トヨタヴェルブリッツ)…173・80・1996/12/19・1

22,山中亮平(コベルコ神戸スティーラーズ)…188・98・1988/6/22・29

23,ジョネ・ナイカブラ(東芝ブレイブルーパス東京)…177・95・1994/4/12・7

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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