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姫野和樹の怪我の具合は? イングランド代表にどう勝つ? 日本代表が会見。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
希代の戦術家で鳴らすトニー・ブラウン

 ラグビー日本代表は9月10日、ワールドカップフランス大会の初戦でチリ代表に42―12で勝利(トゥールーズ)。現地時間11日午前、トニー・ブラウンアシスタントコーチが一夜明け会見をした。

 チリ代表戦当日に欠場を決めた姫野和樹主将、相手のレイトチャージを受けて前半で後退した具智元の状態について、深刻ではないと返答。18日にニースであるイングランド代表戦へも、思いを述べた。

——昨日の総括は?

「初戦にあっては素晴らしいスタートが切れた。選手は緊張があり、プレッシャーも感じていましたが、6トライを取れて相手を12点で抑えられたのは素晴らしい」

——アタックについて。

「6トライ。いいラグビーができた。ただこれから勝ち進むには遂行力が足りていない。ミスを減らさなくてはいけない。チャンスがあった時はしっかり遂行し、トライに繋げていくのが重要です。

 理解してもらいたいのは、自分たちが世界のどこよりも素早いチームだということ。その分ミスが増えるが、今後、勝つにはスピードをもっと速くしなければいけない。そのなかで自分たちのラグビーを遂行しなければいけない」

——スペースにボールを運べないことがあったのでは。

「チリはプレッシャーをかけるのがうまかった。ボール保持率をキープしながらも、彼らの圧を感じていた。そしてエッジ(端側)にボールを運べないところもあった。自分たちが目指すのは、15人で一緒にアタックすることです。速いラグビーをする。エッジにボールを運ぶ。もちろん相手はシャットダウンしに来る。それでも速いラグビーをし、松島幸太朗、フィジアン(セミシ・マシレワ、ジョネ・ナイカブラ)がアタックできるようにする」

——完成度はまだ高くないのか。

「選手は日々ハードワークしている。自分たちのゲームを成長させるにはどうすべきかを考えている。まずは選手たちがジャパンラグビーとはどういうものかを理解し、そこで何をすべきか、それを圧力下でどう遂行すべきかを考える。それしか勝つ方法はないと思い、日々、練習をしています」

——姫野選手の現状は。

「(状態は)そこまで悪くはなかった。大きな試合であればプレーできる状態でした。いまは安定している。明日(12日)練習できれば、イングランド代表戦でもプレーできると思います」

——リーダー陣について。

「常にリーダーズミーティングをしている。勝つには何が必要か、常に情報共有をしている。姫野がいなくなったことは残念ですが、流大副将がすぐにリードする。彼はナチュラルリーダー。流が交代していなくなってからはリーチがリーダー。姫野がいなくなったことは大きなことですが、他にもリーダーはたくさんいて、彼らがしっかりやってくれた」

——深刻ではない、と。

「少し彼はタイトさを訴えていただけ。リスクは負いたくない。今後のことを考え、対応しました」

——リーチマイケル選手は、姫野が爆発する予想していたが。

「いつもの姫野らしくプレーすると思います。ワークレートを出しボールキャリーもたくさんしてくれる。それでインパクトを出すと思います」

——具選手の怪我の状態は。

「今日は痛い部分もあると思いますが、明日はさらなる情報がわかる。いまわかるのは、それほど深刻ではないということ。明日、腫れが引いたのを受け、状況を判断することになるでしょう」

——スタンドオフの松田力也選手への評価は。また本人にはどんなアドバイスを。

「力也は李承信と練習ですごく競争をして合って、スターティングメンバーを勝ち取った。昨日はいいプレーをしてくれ、大事なスコアをたくさん獲ってくれた。コントロールもよくしてくれた。先発の10番としてはいい仕事をしてくれた。

 1週間、彼と話してきたのは、しっかり自分の能力を信じてもらいたいということ。しばらく(怪我で)国際舞台から離れていたが、昨日で彼の自信はさらに高くなった。今後もいいプレーができると思います」

——対イングランド代表戦へ。同国は初戦でアルゼンチン代表に27―10で勝利。序盤にレッドカードが出るなか、ロングキック、ハイパント、ドロップゴールを積み重ねて安全水域に突入した。

「例えば、イングランド代表の初戦。彼らはミスをした割合を22パーセントとしています。ただ、ほぼラグビーをしていない状態です。私たちが勝つには、(プレー回数を増やしながら)ミスを少なくしなくてはならないです。

 常にイングランド代表はそのようにやる。ここ100年くらいは同じスタイル。倒すのにはタフだが、相手が何をするのかをわかっているのはいいこと。フィジカル、キック。それへの準備はできている。試合中、自分たちのスタイルを少しでも出せば、倒すチャンスがある」

——イングランド代表のキックへの対処について、ポイントがあれば。

「100パーセント、キックをしてきて、フィジカルでドミネートしてくる。それには対策が必要。自分たちのチャレンジで言えば、自分たちはフィジカルでプレッシャーをかけられるなか、どうジャパンラグビーをする方法を見つけていくのか、ということになります」

——ペナルティーキックからショットを選ぶか、トライを狙うかの判断について。

「チリ代表に対して優位性があると思い、コーナーに狙ってトライを狙うプランを用いました。ただイングランド代表はフィジカルが強い。なかなかチャンスを多く作るのは難しいかもしれないので、そうはいかないのでショットを狙うことも。ただ、リーダー陣に判断を任せる。勢いがあるとリーダーが見れば、トライを狙っていく」

 昨秋の対戦時は、それこそキック、ハイパントの競り合い、フィジカリティで後手を踏み、13―52と大敗。当時、課題とされた領域を、どこまで改善できているか。それが、再戦時に「ジャパンラグビーをする方法を見つけてい」けるか否かを左右しそうだ。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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