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ワールドカップ日本代表は「80パーセント」は決定? 指揮官が言及。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
大ブレイク中のファカタヴァ。当確ランプがついたか?(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

 ラグビー日本代表は7月29日、東大阪市花園ラグビー場で「リポビタンDチャレンジカップ2023パシフィックネーションズシリーズ」のトンガ代表戦に挑む。

 27日には出場登録メンバーを発表し、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチが会見した。メンバーは以下の通り。

1,稲垣啓太(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…186・116・1990/6/2・46

2,坂手淳史(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…180・104・1993/6/21・34

3,ヴァル アサエリ愛(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…187・115・1989/5/7・23

4,アマト・ファカタヴァ(リコーブラックラムズ東京)…195・118・1994/12/7・1

5,ヘル ウヴェ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)…193・120・1990/7/12・17

6,ジャック・コーネルセン(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…195・110・1994/10/13 ・13

7,ベン・ガンター(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…195・120・1997/10/24・5  ※1

8,姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ)…187・108・1994/7/27・26 ◎

9,齋藤直人(東京サントリーサンゴリアス)…165・73・1997/8/26・12

10,李承信(コベルコ神戸スティーラーズ)…176・85・2001/1/13・7

11,セミシ・マシレワ(花園近鉄ライナーズ)…181・93・1992/6/9・2

12,長田智希(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…179・90・1999/11/25・1

13,ディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…187・102・1997/5/2・11

14,ジョネ・ナイカブラ(東芝ブレイブルーパス東京)…177・95・1994/4/12・1

15,山中亮平(コベルコ神戸スティーラーズ)…188・98・1988/6/22・28

16,堀江翔太(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…180・104・1986/1/21・69

17,クレイグ・ミラー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…186・116・1990/10/29・10

18,具智元(コベルコ神戸スティーラーズ)…183・117・1994/7/20・22

19,ジェームス・ムーア(浦安D-Rocks)…195・110・1993/6/11・14

20,テビタ・タタフ(東京サントリーサンゴリアス→仏ボルドーベグル)…183・124・1996/1/2・15 ※2

21,流大(東京サントリーサンゴリアス)…166・75・1992/9/4・31 ◎

22,松田力也(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…181・92・1994/5/3・30

23,松島幸太朗(東京サントリーサンゴリアス)…178・88・1993/2/26・48

◎:キャプテン

※1:日本代表候補として6月25日の浦安合宿より合流。

※2:日本代表候補として7月24日の宮崎合宿より合流。

 チームは5月下旬までの国内リーグワンの後に、候補を含む計46名のメンバーを発表。6月中旬からの浦安合宿を経て、7月からは宮崎を拠点に全国各地で対外試合を重ねていた。

 会見で焦点に当たったのは、初選出となった長田智希の初先発。かねて故障からの復帰が期待されていたベン・ガンター、テビタ・タタフを含めたフォワード第3列の争いについても、質疑が生じた。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

——長田選手の先発入りについて。

「自分が思うに、12番の座はどの選手も狙いに行ける。彼(長田)はオールブラックス・フィフティーン戦でポテンシャルを見せてくれた。テストマッチのプレッシャーに耐える可能性があったので、今回スターターとして出るにふさわしい。

 他のミットフィールダーのパフォーマンスに、私がそこまで満足していないという部分もあります。長田は前回もインパクトを出している。このまま彼のパフォーマンスを継続して欲しい。将伍と亮土も素晴らしい選手だが、今週に関しては長田が出るということ」

――ガンター選手、タタフ選手を含めたフォワード第3列の争いについて。

「競争が激しい。ガンターは去年フランス代表戦でも素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。フォワード第3列のみっつのポジションをカバーできます。今回、怪我から戻ってきたなか、どこまでできるか。短い時間ながら、起用していきたいです。ラピース(ピーター・ラブスカフニ)も怪我から順調に戻っている。ロックとフランカーができるジャック(・コーネルセン)には満足している。選手層が厚くなっているので、コンビネーションを試していきたい」

――今季4戦連続でスターターとなったファカタヴァ選手について。

「ファカタヴァは新たなロックのポジションで、素晴らしい働きを見せています(所属先ではフォワード第3列)。キャリー、キック後のチェイスと頑張ってくれています。今週は特別な試合。母国のトンガ代表と戦います。彼自身も楽しみにしているでしょう。疲れを見せていない部分もあるので、私も自信を持って彼を使う。彼にとって、今秋はビッグゲームになると思います」

――李承信選手が3戦連続で先発入りしました。

「承信のゲームはいい方向に進んでいる。パフォーマンスを上げている。彼にはもっとたくさんラグビーをしてもらいたい。松田力也は今週と来週、ゲームに入ってくる。力也は昨年、怪我をして、その間に承信が先に進んでいるところがあるが、力也もいいコンディショニング。今後は力也が出てくることを考えています」

――ワーナー・ディアンズ選手とシオサイア・フィフィタ選手の欠場について。

「ワーナーは、いわば被害者です。最初に怪我をしてしまった。その間、ファカタヴァに機会を与えたら、彼が素晴らしいパフォーマンスをした。ジェームス・ムーアもよくなっている。他の選手もよくなっているので、彼らを起用しています。

サイアは浦安で内転筋を筋断裂していて、準備ができていない。他のウイングのジョネ・ナイカブラ、セミシ・マシレワには満足している。彼らの成長を見続けたい」

 8、15日の対オールブラックス・フィフティーン2連戦、22日のサモア代表戦(パシフィックネーションズシリーズ)で3連敗中とあり、ジョセフの会見では「連敗への受け止め」を問われる一幕もあった。

——3連敗中。結果への思いは。

「いままでは強い相手と戦ってきた。特にオールブラックス・フィフティーンは強かった。なかなかいいスタートを切れなかったことは残念でしたし、前回も最初のスタートはよかったが、レッドカードでプレッシャーがかかった。いい経験になった。これからのワールドカップでもこうしたことは起こりうる。今週の準備への(後ろ向きな)インパクトはないですし、今秋はいい精度の練習ができています。今週、勝つこともチャレンジ。ワールドラグビーのルール変更により、今週の相手にも強いメンバーが入っている。ジョージ・モアラ、マラカイ・フェキトア、イズラエル・フォラウ…。長田にとっては、こういう選手と試合ができることは大きな経験になるのではないでしょうか」

※取材はトンガ代表側メンバー発表前

――前回の試合ではリーチ マイケル選手がハイタックルで退場。チーム内で注意喚起は。

「前回のことはひとりのミス。他の選手は大丈夫だと思っています。ハイタックルは、チームのなかでのトレンドとしてはなかったし、私が来てからいままでその経験はありません。リーチの件は本人に責任がある」

――チームの状態について。

「チーム作りには時間がかかる。これは毎年のことです。それぞれ違うチームから合流し、合宿に入るなか、うまくいかないことがある。同時に相手が強いこと、選手にチャンスを与えることも考えなくてはいけませんでした。

 怪我人も生じました。ディアンズ、サイア、ヴァル(アサエリ愛=今回復帰)。彼らにもゲームタイムを与えなければと考えました。

 先週は自信を持って戦ったが、最初のレッドカードでストレスが生まれ、プレッシャーを感じた。リーチがいなくなったことでチームが固まる状態になった。結果を求めてしまうなか、そうならなかった。よかったことは、選手が試合を諦めなかったこと。勝てるところまで行った。ラストワンプレーのスクラムでコラプシングを獲れれば、勝った。学べたと思っています。これを活かし、先に進んでいくしかない」

 もっとも現在は、結果のみが問われる時期でないのは確か。ワールドカップフランス大会を今秋に控え、8月15日に発表する登録メンバーの選考についても指揮官は言及する。

「全選手を見ていったなかで、基本的には(大会登録メンバーの)80パーセントほどは決めている。ただそれ以外の選手にも、ポジションによってはチャンスがある。ワールドカップにはリスクがあり、スペシャリストのポジション(プロップ、フッカー、スクラムハーフ)については(多めに選出するよう)考えなくてはならない。今回は(以前までの31人から)33人に増えたので、スペシャリストポジションについてはそこで検討したいです。今回は前回の日本開催と違い、フランス開催。セレクションではトリッキーな部分もあると思います。そのため、いい選手であっても入らないという例は出てきます。それはワールドカップのルールですので、仕方がない」

 約1カ月強後に控えた大会での構想のうち「8割」を決めているのは、世界各国の相場通りと言えるか。サバイバルレースの結末も注目される。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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