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日本代表・稲垣啓太は大敗にも動じない。フランス代表戦へ。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター

 世界ランク10位のラグビー日本代表は11月20日、敵地のスタジアム・ド・トゥールーズで同2位のフランス代表とぶつかる。前日、左プロップの稲垣啓太が取材に応じている。

 10月29日には東京・国立競技場でオールブラックスことニュージーランド代表に31―38と迫るも、11月12日にはロンドンのトゥイッケナムスタジアムでイングランド代表に13―52で大敗した。しかし稲垣は、大敗の要因を相対化。フランス代表戦での勝利にまい進できると話した。

以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

——チームはいま。

「自分たちのやっていることは間違っていないし、理解している。イングランド代表戦でそれができなかったのは、ミスと、ディテール(の不足)。フランス戦でそれを発揮できるよう、準備してきました。それだけです」

——圧力下でミスをしないためには。

「プレッシャー下でのミスは、多かったですね。(イングランド代表)我々のフォワードの部分にプレッシャーをかけてきた。それはジェネラルなプレーだけではなく、セットピースにも。フランス代表戦でも同様に、セットピースでのファイトは避けられないと思います。そのなかで自分たちがどうやって相手にプレッシャーをかけにいくか。前回はかけられることの方が多かったので、そういうディテールを作り出す」

——苦しんだスクラムはどう改善するか。

「イングランド代表戦はスクラムが押されるというより、落ちた末のジャッジが多かった。では、落ちた原因は何だったのか。そこをいま言うことはできないですけど、自分たちの中で解決策はあって、少しのディテールを変更すれば解決できる。今日のスタジアムで芝生をチェックしましたけど、明日も雨が予想されますが、そういったなかでフォワードがどう戦っていくのかも踏まえてチェックできた」

——会場での試合前日練習では、スクラムを組むことはあったか。

「皆さん(報道陣)が出て行った後に(冒頭15分公開)。今日は組み込むというより芝生のチェック。スクラムのディテールは、昨日までに全部、終わらせた。今日はそのディテールプラス、自分たちがどういう組み方をしなきゃいけないのかという確認です」

——勝利へ。

「選手は常に結果を残したいと思っていますし、スタッフは結果を残せるだけのプランを提示してくれています。選手も、スタッフを信じています。ただ、いくらいい戦術を与えてくれても、それをグラウンドで遂行するのは選手。パフォーマンスをしっかりできるようにしないといけない。先週はそれができなかった。今週は100パーセント、準備してきたものを出す。選手は、結果を求めています」

——日本代表が力を出すにはどんな準備が必要なのか。

「日本代表がスキルを発揮するのに必要なこと、ですよね。では、日本代表がどうやってスキルを発揮していくのか。先週はプレッシャー下でスキルを発揮できなかった。なぜ、プレッシャーを受けたのか。これはドミノのような考えで、最初の方を辿っていくと…とひも解いて(要因が)見える。それをきょう、いちからお話しすることはできないですけど、内容はしっかり選手全員が理解している。なぜ、こうなったのか。なぜ、そうしてしまったのか。選手とスタッフは100パーセント、理解できているので、それをグラウンドで出せれば」

——最初のフェーズで勢いをつければ、いいアタックができるような。

「1フェーズ目というより、1フェーズ目の前から(勝負は)始まっている。その内容はあれ(伝えられない)ですけど、そういった細かいディテールの上に日本代表のラグビーは成り立っている。ディテールを失ってしまってはグラウンドで結果を出すことはできないと、イングランド代表戦では再認識したと思う」

 現象をひも解く大切さを明かす。さらに日本代表のスリリングな攻めを機能させるには、「1フェーズ目の前」、すなわち位置取り、相手との間合い、判断といった「ディテール」にもこだわらねばならないと匂わせる。

——ツアーを通してチームは結束したか。

「僕は家族のように思っています。新しい選手が増えたなか、チームのカルチャーをどうさせていくか。それを模索していって、3か月間が経った。チームの絆は強く感じています。作り上げたカルチャーをグラウンドでお見せできるようにしたいです」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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