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「経験だけ」の選手にならない。日本代表リーチ マイケルの決意。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
練習後の取材対応(筆者撮影)

 胡坐をかかない。ラグビー日本代表のリーチ マイケル元主将が、8日、3日に始まった宮崎での代表合宿への所感を述べた。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――キャンプが始まって数日。ご自身の心境やコンディションは。

「リーグワンは自分の中で調子よく終われてよかったです。この合宿に来て、まだ暑さに慣れていなくて大変です。ただ、身体のコンディションは悪くないです」

 身長189センチ、体重113キロの33歳。東海大学の2年生だった2008年に日本代表デビューを飾ると、2011年以降、通算3度のワールドカップへ出場した。初の8強入りを果たす2019年の日本大会まで、2大会連続で主将を担っていた。

2015年のイングランド大会では過去優勝2回(当時)の南アフリカ代表に勝利
2015年のイングランド大会では過去優勝2回(当時)の南アフリカ代表に勝利写真:アフロ

2019年の日本大会ではスコットランド代表などを破り初の8強入り
2019年の日本大会ではスコットランド代表などを破り初の8強入り写真:アフロ

 近年は怪我の影響で苦しんだが、今季はコンディションの向上に伴い練習量を増やした。徐々に復調し、今年1月から5月までの国内リーグワンでは所属する東芝ブレイブルーパス東京で躍動。2015年度以来となる国内4強入りを果たした。

リーグワンでも持ち前の突破力をアピール
リーグワンでも持ち前の突破力をアピール写真:松尾/アフロスポーツ

 今度の代表合宿でも、充実した状態で練習ができているという。

――今回の合宿での個人テーマ。

「(自身は)年もいっていて、(周りには)若いメンバーも出てきている。負けないように、小さいことから頑張っていきたいと思っています」

――年長者として。

「まずは自分にフォーカス。自分の代表の資格を作るのが大事。経験だけで(チームに)いるのは、よくないと思います」

――どんなプレーがしたいか。

「いつも通り、タックルして、走って、ボールをもってアタックして。皆、変わらない。そこをぶれずにやっていきたいです」

 日本代表は18日以降、4つのテストマッチを控え、宮崎でキャンプをするメンバーは25日のウルグアイ代表戦(ミクニワールドスタジアム北九州)を初陣とする見込み。7月2、9日には、フランス代表との2連戦(愛知・豊田スタジアム、東京・国立競技場)に挑む。

 2023年にはワールドカップフランス大会が開かれるが、リーチは「ワールドカップはまだまだ先。まずはフランス代表戦」と地に足をつける。

「ティア1の国(伝統的な強豪国)に勝てていない時期が続いている(※)ので、久々のテストマッチにフォーカスしています」

――チームの現在地。

「まだ基礎練習しかやってないので、フランス代表を相手にどういうアタックをするかはまだわからないです。まだ相手の話はでてきていない。まずは自分たちのやらなきゃいけないことを明確にする。新しい選手に日本代表はこういうものだということを伝えています」

――今回対戦するフランス代表は、若手を起用しそうですが。

「ティア1はティア1。1本目じゃなくても強い相手ですし、フランスラグビーはレベルアップしている。自国開催なので(ワールドカップに)に出たいメンバーもたくさん出ている」

――日本代表では今夏、坂手淳史選手と流大選手が共同主将となりました。

「いろんな人に(主将の)経験を与えることで、その大変さ、どうやってサポートするか(を多くの人が知れる)。レフリーとのコミュニケーションは、英語を喋れる人がたくさんいるので大丈夫だと思います」

――昨秋、代表デビューを果たした20歳のワーナー・ディアンズ選手について。

「前はボーイだったけど、いまは耳がやっと湧いて(摩擦などで耳がつぶれてカリフラワー状になったという意味か)、いい感じになってきています。大人になりました」

 ツアー中の個人目標を聞かれれば、「(試合に)出ること。いいメンバーがいるので、(フォワード第3列での定位置を)勝ち取る。出られなかったとしてもチームにいい影響を与える」。若手と切磋琢磨する。胡坐をかかない。

※昨年はブリティッシュ・アイリッシュライオンズ、オーストラリア代表、アイルランド代表、スコットランド代表と計5試合をおこない全敗(ポルトガル代表には勝利)。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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