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リーダーがチーム引っ張れ。リーチ マイケルが語る日本代表の次のフェーズ。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
代表活動と隔離期間を経て、12月中旬から東芝東京に合流。(写真:つのだよしお/アフロ)

 長らくラグビー日本代表の主将を務めたリーチ マイケルは12月8日、都内で自身のリーダーシップについて語った。

 15歳で来日し、東海大学在学中の2008年に初めて代表入り。2014年に主将に就任以来、2020年夏までは参加を辞退したタイミングを除くすべての活動で船頭役を担った。攻守で強さと速さを示すプレースタイルに加え、簡潔さと思慮深さをにじませた言葉選びでも評価される。

 この日は2022年1月から新装開店する国内リーグ、ジャパンラグビーリーグワンの関連イベントに参加。日本大会で対戦したスコットランド代表で主将だった、グレイグ・レイドローとともに登壇した。

 以下、イベント中の一問一答の一部(編集箇所あり)。

「僕はラグビーしかやってきていない人間。ビジネスのリーダーシップについては言えないですけど、日本代表の主将を7年間、やってきて、レベルが高くなればなるほどリーダーシップの大事さ、スキルアップが大切だと感じました。いまの日本代表でもっとも大事にしているのは、リーダーシップのスキルです。監督(ヘッドコーチ)がいて、グラウンドでやっている選手がいる。その選手をどうコントロールするか、影響を与えるかがリーダーシップグループ(の役目)」

 ワールドカップでは、自身にとって2度目の出場となった2015年のイングランド大会から2大会続けて日本代表の主将を担った。

 イングランド大会へは、オーストラリア代表などで指揮を執ったエディー・ジョーンズヘッドコーチとともに挑戦。強豪の南アフリカ代表などから歴史的3勝を挙げた。

 ニュージーランド出身のジェイミー・ジョセフヘッドコーチのもとで挑んだ日本大会では、初の8強入りを果たしている。

 2023年のフランス大会に向けた現体制下では、今秋、主将の座を退いた。2016年秋に就任したジョセフから、グラウンド上でのパフォーマンスに専念するよう求められていた。

——2015年のワールドカップイングランド大会まで、2019年の同日本大会まで、それ以降と、どのような変化があったか。

「日本ラグビーでの変化がありました。2015年の前はワールドカップで1勝しかしたことがない。チームの文化、スタンダードがそこまでのレベルでした。それを変えるために、リーダーシップグループとスタッフが同じ絵を見ることが大事でした。当時は2つ大きなこと(大義)があって。まず日本代表が憧れの存在になること、愛国心を高めること。この2つを意識し、4年間の準備をしてきました。

 2015年、南アフリカ代表に勝って、残念ながらスコットランド代表に負けてしまったんですが、その後2勝して、日本代表の歴史を大きく変えたと思います。

 2019年までの4年間は、僕のなかでは主将として『このチームに何が必要か』を考えた時、『日本を本気の意味で代表する』というところから始めた。チームには日本人、韓国人、南アフリカ人、サモア人、トンガ人などがいるなか、僕らは、『日本開催のワールドカップで日本を代表する』と。そう、チームを作っていました」

 いまはちょうど、主将が(ピーター・ラブスカフニに)代わって、体制も変わらずに新しい選手が出てきて、新しいリーダー陣が生まれていて。自分たちのレベルがどこまでなのかを確かめた1年でした。リーダーシップグループとしては上を目指すために自分たちがスキルアップしなければいけないと感じています(秋のツアーでは1勝3敗)。

 次に向けてやらなきゃいけないことは、自分たちで何をしなきゃいけないかを明確にして、コーチ陣からよりも自分たちリーダー陣から引っ張れるように、色んな事が言えるようにやっていかなきゃいけないと思います」

 振り返れば、今年代表入りしたベン・ガンターは、リーチについて「場を読む力を持っていて、選手たちが怖くて発言できなかったり、言いづらいことがあったりする時、その心持ちを読み取り、代弁するようにコーチたちへ必要な質問や投げかけをする」と発言していた。

 かように現体制下で確かな影響力を持つリーチがいま、他選手にも意義のある意見具申ができるよう求めている。ここに妙味がある。

——今季のリーグワンへ。東芝ブレイブルーパス東京の一員としての意気込みを。

「まずは選手としていいラグビーをする。そして、ファンありきのリーグになって欲しい。ファンがどれだけラグビーを楽しめるか。会場で、イベントで、選手との距離感をどれだけ近づけられるかが大事になってくると感じます。日本ラグビーにとってすごく楽しみなリーグになる」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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