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日本代表、B&Iライオンズ戦後半の「勢い」はどう生まれたか。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
カバー防御に回るリーチ(写真右から2番目)(写真:ロイター/アフロ)

 ラグビー日本代表は現地時間6月26日、スコットランド・エディンバラのマレーフィールドでブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズライオンズと対戦。10―28で惜敗した。

 初の8強入りを果たした2019年のワールドカップ日本大会以来、初のテストマッチ(代表戦)。初対戦となる相手は、イングランド、ウェールズ、スコットランド、アイルランドの4協会からなる連合軍だった。

 立ち上がりは自陣ゴール前での堅守でスタンドを沸かせたが、時間を追うごとに攻め込んだ先でのチョークタックル(相手を掴み上げるタックル)、接点での圧力に苦しむ。自軍の反則と向こうの突進力と相まって、前半は0―21とリードされた。

 もっとも0―28とリードされた後半10分以降は、途中出場組が奮闘する。

 フランカーの姫野和樹、ナンバーエイトのテビタ・タタフが、それまで圧を受けていたグラウンドの端側で強烈な突破を連発。この日がテストマッチデビューとなったスクラムハーフの齋藤直人も、落ち着いて素早いパスをさばく。チャンスを作った。

 同19分には、敵陣ゴール前右のラインアウトからのサインプレーで姫野がトライ。直後のゴール成功で7―28とし、続く29分にも敵陣中盤でのオープン攻撃からペナルティーゴールを得る。スタンドオフの田村優が決め、18点差に迫った。

 格式の高いチームに牙をむいて手応えを掴みながら、課題も発見したようでもあった。ジェイミー・ジョセフヘッドコーチとフランカーのリーチマイケル主将(後半10分に姫野と交代)は何を語るか。試合後、会見した。

 以下、共同会見時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

——相手にチョークタックルをされたところ。技術的な事か、フィジカルの問題か。

リーチ

「両方だと思います。自分たちのボディハイトが高くなって、相手が力を使ってチョークタックルみたいな形をやって、それによって自分たちのボールが遅くなったり、必要以上に人数をかけてしまったり。試合中、ずっと修正をかけたんですけど、そこを何回か、持ち上げられたことがありました。間違いなく、向こうの戦術のひとつだったと思います」

——前半をどう見ていたか。メンバー交代の判断は。

ジョセフ

「21点差がついてムード、勢いをつけなくてはいけないことでメンバーを代えました。マイケルが代わったことで経験値が失われた部分もあったが、姫野、テビタがフィジカルで前に出てくれた。最終的にチャンスをしとめきれなかったが、チャンスは作ってくれた」

——ここまで相手の圧力がかかるのは想定内だったか。

ジョセフ

「後半に関しては自分たちのスピードでモメンタムを作っていきたいと考えていた。相手の身体が大きい人たちにスキルで勝つことを目指した。後半は交代してきた齋藤選手、テビタ選手がインパクトを。自分たちの速いラグビーをしてくれました。前に出られた。ただその後ミスが続きトライを逃すことも何回かあった。それがテストマッチラグビーです」

——前半どのように総括して、後半いい流れにできたか。

リーチ

「まず前半、終わって、後半に向けて、とにかくボディハイトとクリーンアウトの質は仕上げましょう、継続すればスペースは生まれる。そう意識して後半に臨みました。継続できてスピードがある時は、(首尾よく攻める)自信はあります」

——フランスでプレーするウイングの松島幸太朗選手、ニュージーランド帰りの姫野選手について。

ジョセフ

「2人ともインパクトを出してくれた。フランスとニュージーランドでたくさん経験を積んでくれたところが見えた。姫野は2~3日しか合流できなかったが、松島はそれよりも2~3日早く合流できた。彼らのパフォーマンスは素晴らしかった。チームとしては2年ぐらい活動できなかった。今回も、選手はバブルの状態で様々なことを犠牲にしてここに来た。彼らを称賛したい。誇りに思います」

 日本代表は7月3日、敵地でアイルランド代表とぶつかる。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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