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ベン・ガンター 日本代表→サンウルブズでの活躍は予言されていた?【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
左から荒井、ガンター(スクリーンショットは筆者制作)

 ラグビー日本代表の強化試合が6月12日、静岡・エコパスタジアムであり、チームの本隊にあたる「JAPAN XV」が、長らく代表強化に寄与していたサンウルブズとぶつかった。

 日本代表は8日まで約2週間、別府合宿を実施。一部のメンバーをサンウルブズに振り分け、「JAPAN XV」は2019年のワールドカップ日本大会のメンバーを13名、先発させた。32―17と勝利した。

 しかし、先制したのはサンウルブズ。前半は用意された攻撃が機能したうえ、日本代表側から途中合流した1人の戦士の活躍が光った。

 ベン・ガンター。身長195センチ、体重120キロの23歳で、オーストラリア出身。高校卒業後の2016年にパナソニックへ練習生として加わり、現在は同部のレギュラーとして活躍。サンウルブズへは2019年に参加し、国際リーグのスーパ―ラグビーでも活躍していた。

 サンウルブズのナンバーエイトで先発したこの日も、「JAPAN XV」が球を持つ接点へ何度も顔を出す。ジャッカルを決める。攻めても力強い突進で光った。

 試合後、報道陣が希望するオンライン取材対象者の1人として、自身と似た立場でサンウルブズに参加していたスクラムハーフの荒井康植と会見した。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

——この日最初のスクラムで相手の反則を誘った時、最前列の味方を鼓舞していた。

ガンター

「サンウルブズには特別な文化がある。そこに何日いるか、どこから来たのかに関係なく、サポートし合える。この1週間、皆といい練習をして、誰かがいいプレーをしたら励まし合える」

——日本代表側からサンウルブズ側に回ることはどう伝えられ、どう感じたか。

荒井

「大分合宿を終えて静岡に移動する時にメンバーを発表され、僕は、サンウルブズに行った。何と言いますか、ここでアピールしないといけないと思い、臨みました

ガンター

「私も大体は同じですが、マインドセットはふたつありました。ひとつは、この素晴らしいジャージィをもう1度、着られることが嬉しかった。もうひとつは、自分が相手に対してできることをする。…コウキのパフォーマンスも、誇りに思います」

——サンウルブズの雰囲気はどう作られているか。

荒井

「サンウルブズはコネクションを大事にして、主将のカーキー(エドワード・カーク)、布巻(峻介)さんが積極的にコミュニケーションを取っていた。居心地もよく、いい状態でした」

ガンター

「代表との違いは、コールやムーブだけ。大事にしていたのはサンウルブズのラグビーをすることで、適応力が求められる。カーキーは円陣を組めば『コネクションを取ろう。そして楽しみましょう』と。それが大きなメッセージでした」

 さかのぼれば試合2日前、サンウルブズの大久保直弥ヘッドコーチは話していた。

「別府から来たメンバーにも、何人かサンウルブズを経験している選手がいる。例えばベン・ガンター。私とは2019年も一緒に仕事をしている。遠征に行ったら色んな苦労もあるし、負けたゲームからも学んできたことも多かったので、そうした昔話をするのもコーチとしては楽しかったです」

2019年のサンウルブズでコーチとして指導したガンターといまのガンターを比べながら、予言めいたことも語っていた。

「それと、彼が2019年よりもラインアウトにこだわりを持っているのを感じました。今年、パナソニックで優勝しているのもあると思いますが、リーダーシップを含め期待している選手の1人ではあります」

 さらにこの日のパフォーマンスを受け、このように述べた。

「間違いなくインターナショナルでやれるレベルの選手だと思います。彼も2019年のサンウルブズにいた時よりも確実に成長していると感じた。インターナショナルでやればやるほど、パフォーマンスは伸びていくと思います」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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