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サンウルブズの顔、エドワード・カーク。日本代表との対決で内定狙う。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
マスコットのウルビー君と(スクリーンショットは筆者制作)。

 人呼んで「ミスターサンウルブズ」。ファンに愛された日本唯一のプロクラブ、サンウルブズの主将はエドワード・カークが務める。6月12日、静岡のエコパスタジアムで日本代表と強化試合をおこなう。

 チーム合流初日の7日、オンライン取材に応じた。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

——サンウルブズに合流。いかがですか。

「マインドセットはとてもいい。二度とサンウルブズでプレーできると思っていなかったので(2020年限りでスーパーラグビーから撤退)、嬉しいです。振り返れば、私はサンウルブズの最初のシーズンにサインしました。サンウルブズがあったから日本に来た。今週、ここに来られて嬉しいです」

 チームは国際リーグのスーパーラグビー参戦のために2016年に結成された。カークはその隊列に初年度から参加し、2019年までの計4シーズンプレーした。

 始動から約1か月で開幕を迎えた初年度には、チーム最多となる146本のタックルをマーク。要所でのジャッカルでも光った。2年目は日本代表の方針で頻繁に人が入れ替わるなか、共同主将を務めた。グラウンド外でのファンサービスでも関係者を喜ばせた。

——サンウルブズ愛を語ってください。

「皆さんが知っている、エキサイティングにボールを動かすラグビーがしたい。1年目から意識をしてきたのは文化を作ること。日本のチームです。日本の文化に、色んな国から集まってきた選手の文化を合わせてチームを作ります。今週のフォーカスは『ファンのため』。5年間、サポートしてくれた分の恩返しがしたい。1週間しか準備期間はないが、それもサンウルブズの文化のひとつだと言えるくらい(長距離移動を経ての試合も少なくなかった)。皆でサポートし合って、いい準備がしたいです」

——どんなゲームにしたいか。

「まずは自分がいいパフォーマンスを発揮する。怪我などもあってプレーできない時間もあったが、最初にサンウルブズでプレーしたシーズンのようにアグレッシブなプレーで自分のよさを見せたい。また、チームとしてはサンウルブズの歴史上の試合を見て、どんなスタイルのラグビーをするのかを学んだうえで、エキサイティングなラグビーをしたい。ジャパンも同じようにすると思うので、いい試合になるでしょう」

——今回は代表スコッドと対戦。楽しみなマッチアップは。

「ジェームズ・ムーア! 同じ高校です。ここ1週間、ずっとメッセージのやり取りをしているので、チャンスがあれば試合で掴んでやりたいです。キヤノンの田村優サンにも、恩返しがしたいです!」

 今回のサンウルブズは、日本代表の控え選手も迎えて内部競争のお膳立ても担う。しかしラストイヤーの2020年度も指揮した大久保直弥ヘッドコーチは、クラブの大義を共有する一環で「ミスターサンウルブズ」のカークを招いたのだ。

 本人は、今季限りで国内トップリーグのキヤノンを退団していた。過去に7人制ラグビーオーストラリア代表入りの経験があって日本代表資格を得られないものの、この国での現役続行を希望する。

——今回のサンウルブズは、日本代表選手へプレータイムを与える装置でもあります。

「最初のミーティングでもその話はした。ジャパンのUK(スコットランド、アイルランドでのツアー)へ行くための準備だと分かっている。ただ、僕たちにとってサンウルブズのジャージィを着ることは大事。(発足から)5~6年のサンウルブズをぶつけたい。そんな話もしています」

——先日、国内所属先のキヤノンの退団を発表しました。来季以降は。

「キヤノンを離れることになった。日本の他のチームと話をしていますが、まだ何も決まっていません。私は29歳。日本ではまだまだできることがたくさんある。仕事募集中です。何かあったら、よろしくお願いします! まずはサンウルブズでいいプレーをする。そうして手を挙げたい」

——なかなか帰国できずにいると思うが。

「最初は、難しい判断だと思いました。ここ9か月家族に会っていないからです。ただ、今回の機会をもらった時、『自分が日本に来られたのはサンウルブズのおかげ。恩返しがしたい』と思った。また私はトップリーグには残りたいが、まだ契約がない。自分のプレーを見せる必要もありました。そう考えると、サンウルブズのために(当初の帰国予定よりも)もう4週間長く日本に残ることは、難しい判断ではなかったです」

 終始、朗らかに応じた。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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