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今季引退の福岡堅樹、堀江翔太の「愛」を込めた一喝に触れる。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
福岡(左)と堀江(右)

 今季限りで現役を退く元ラグビー日本代表の福岡堅樹は5月15日、国内トップリーグのプレーオフ準決勝にパナソニックの一員として出場。前半1分の先制点を含めて計3トライを奪い、トヨタ自動車を48―21で下した(大阪・東大阪市花園ラグビー場=無観客)。

 試合後、日本代表としてワールドカップ日本大会を戦った堀江翔太とともにオンライン会見に登壇した。この日リザーブスタートだった堀江は、5―15とリードされていた前半21分に投入されていた。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

--福岡選手にとって、花園ラグビー場でプレーするのは今日が最後だった。

福岡

「このスタジアムではたくさん素晴らしい試合をした思い出もあるし、ハットトリックで終われたのはよかった。ただ、トータルのパフォーマンスでは足りない部分もある。決勝へ修正しなければいけないと思っています」

--キックオフ早々にトライ。

福岡

「分析のなかで、あの場面は狙っていこうというものがあった。ただ、うちはいきなりトライを獲るとふわついてしまうというか、自分たちらしさを失う部分があった。獲れること自体はその後の勢いに繋がる部分でもあるので、その後のエリアマネジメントなどを修正していかなきゃいけないない」

--前半9、16分には対面の髙橋汰地選手にトライを奪われた。

福岡

「自分自身トライの後はふわふわしていたのが自分自身の反省点。1本目のセットプレーのディフェンスはコミュニケーションの問題なので、チームとして修正すれば問題ない。ただ、もう1本は自分のタックルミス。しっかり決勝へ準備していきたい」

--この日は後半20分までリードされながら逆転勝ち。

堀江

「前半、大きなミスというか、あまり雰囲気がよくなかったというか、(ボタンの)掛け違えというか…大したことで点差を開かれているという印象はなくて。いつも通りやれば点差は縮まっていくと思っていた。(時間帯によって)あまり大きくは変えていないです。自分たちのやるべきことをやっていこうとして、ちょっとずつ点差を縮めていった感じです。

 ベンチメンバーは色々と(出場前に)こうしよう、ああしようと喋りながらやっている。ベンチメンバーが目立つように見えますけど、前半やっているのを見ている分、後半メンバーの方が動きやすいやろうな、とは思います」

--リードされた時間帯も長かった。あともう少しでラグビー人生が終わるのでは、と脳裏によぎることは。

福岡

「まったくしていないです。チームの後半の強さは信じていた。相手の足が止まってきているのもわかっていた。修正できるところさえできれば負けることはないと信じていました」

--堀江選手は前半22分に投入された。

堀江

「いつからでも入れるよう準備していたので『きょうは早めやな』と思ったくらいで。入ってからは、個人的に動き(が)悪いと思った選手に『もうちょいと動けよ』と話しながらやっていました。特にタイトファイブの選手に『もうちょっと動けよ』と」

--序盤、選手の動きが低調だったのだとしたら、堀江選手の「動けよ」の言葉で活性化したのはなぜだと感じますか。

堀江

「調子、乗ってるからじゃないですか?(一同、笑い) ケツを叩いたというか。…余裕を持つことと、安心するのはまた違うんで。余裕を持つのはいいけど、必死にならんとどの相手にも勝てない。(当時は)変に余裕を持っている感じではあったので、僕から必死さを出して(激しくプレーし)しながら、喋っていました」

福岡

「姿で見せてくれる。それと基本、堀江さんは歯に衣着せぬ物言いというか、ダイレクトにスパッと言うので、『あぁ、そうなんだ』と自覚する部分はあります」

堀江

「…愛があるよね」

--抜け出した選手がジャッカルされないようになった。修正したのか。

堀江

「すっと抜けた後に…というのが多かった。(ランナー)もうちょっと待ってプレーしよう、サポートは寄って…とは話しました」

--交代後、ラインアウトの成功率が上がった。

堀江

「ジャンパーがサイン通りにやっただけ。僕がどうのこうのではないです!」

 堀江は、仲間を活性化させた「喝」について笑顔を交えて話した。福岡はこんな質問にも応じた。

--福岡選手は医大生でもあります。授業との両立は。

福岡

「チームとして抑えなきゃいけない練習は優先させてもらっている分、欠席することも。ここは特別扱いしてもらうことはできないので、その分の課題を出すことなどでカバーしたい。できる限り授業に参加したいので、午前中しか授業がなければ授業に出てから昼間のうちに移動し、練習に参加する形です。何とか両立しています」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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