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トヨタ自動車マイケル・フーパーが語る、「エクスキューション」高める秘訣。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 ラグビーのオーストラリア代表として105キャップ(代表戦出場数)を誇るマイケル・フーパーは5月15日、大阪・東大阪市花園ラグビー場で国内トップリーグのプレーオフ準決勝にトヨタ自動車の一員として挑む。

 外国人枠の都合などによりベンチスタートも、本職のオープンサイドフランカーで地上戦での強さを発揮されたい。

 5月11日にはチーム主催のオンライン取材に登壇。日本ラグビーの印象や対戦相手のパナソニックの印象、さらに勝負所で求められるプレーの「エクスキューション」について私見を述べた。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――まず、日本ラグビーの印象は。

「日本のラグビーはスピードがあり、積極性を持ったスタイルが得意。キックが少なく、自陣22メートルエリアからでも展開するチームも多い。すごくエキサイティングなラグビーが観られます。先週末のNTTドコモ戦でも、そんな側面が観られました。まず、NTTドコモ戦に関しては、勝ててよかった、と思います(初の8強入りを果たした勢いのある相手に33―29で辛勝)」

——次に戦うパナソニックの印象は。

「いいスコッドのチームです。プレー選択が上手。正しいエリアで戦う。キックも、ディフェンスもいい」

——対するパナソニックロビー・ディーンズ監督との対戦となる。

「ロビー・ディーンズは僕にとってワラビーズ(オーストラリア代表)で最初のコーチでした。パナソニックのプログラムに長くかかわっているのを知っている。勝ちたい」

——対策は。

「たくさんの情報は言えないが、ポゼッション(ボールを持つ場所や頻度か)をコントロールするのが大事。自陣から脱出し、自分たちのプレッシャーを下げ、敵に対するプレッシャーをかける。ここをフォーカスしています。いまは、選手、コーチ陣といいディフェンスを築けている。イグジット(自陣からの脱出)が大事。

シンプルな点で言うと、ブレイクダウン(接点)、ワークレート(仕事量)、キックチェイス(味方のキックを追う動き)、タックルが重要になる。チャンスをしっかり活かすことも大事なので、アタックとディフェンスでのエクスキューション(遂行力)に集中する」

――エクスキューションという言葉が出ました。現在、トヨタ自動車のエクスキューションはどう映りますか。

「悪くはないがグレートでもない。スコアができているのはいい点ですが、簡単にトライをされている点もある。これから対戦するにはロースコアで抑えながらアタックフェーズを重ねたいと思っています。今週末はパナソニックとそれができる。いいテストです。エキサイトしています」

――エクスキューションの高い組織には何が備わっていますか。単にうまい選手が揃っていればいいわけではなさそうですが。

「やはりチームメイトとのいい関係、様々なコンビネーション練習が大事です。それ以外の点では、細かいスキル、シンプルなことを高いレベルで実行することが大事。ブレイクダウンでのクリーンアウト、タックルテクニック、ボールキープ…。また、ディフェンスからプレッシャーをかけられればいい…。大事なことは、細かい部分だと、思っています」

 敵陣での攻撃機会を増やすべく「ブレイクダウン(接点)、ワークレート(仕事量)、キックチェイス(味方のキックを追う動き)、タックル」といったボールを持たない場所での働きに注視する。

 母国代表では主将を務め、茂野海人共同キャプテン曰く「ミーティングでネガティブな話が出てもポジティブな方向へ持って行く」。プレーの精度にあたる「エクスキューション」は「悪くはないがグレートでもない」としながら、高い「エクスキューション」を備えるチームの条件も端的に述べる。

 準決勝当日、トヨタ自動車は「細かい部分」を突き詰め勝利できるか。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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