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ハイランダーズ初トライの姫野和樹、日本代表候補入りも「もっと自己研鑽を」。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
写真は2019年日本大会開幕戦時(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

 ラグビー日本代表でニュージーランドのハイランダーズに所属する姫野和樹は、4月16日、ダニーデンのフォーサイスバースタジアムでのスーパーラグビー アオテアロアの第8節にナンバーエイトとして先発。ブルーズを相手に2度のジャッカルを決め、前半15分には一時勝ち越しとなるトライを決めた。

 自身は後半10分にベンチへ退くなか、チームは35―29でホーム初勝利を決めた。姫野は12日に発表された2021年度の日本代表候補にも名を連ねている。試合後、オンライン会見に臨み、思いを語った。

 以下、共同会見時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――ジャッカルを2つ決め、トライも奪った。

「そこに関してはよかった。ただ、なかなかボールキャリー(保持者)で自分の持ち味を…不完全燃焼の感じになった。もうちょっといいところでキャリーできればと思います。でも、きょうは大一番だったので、勝ててよかったという気持ち。それが大きいです」

――トライ後、大きな口を開けて叫んでいた。

「うーん、なんて叫んだか、僕もわからないですけど、よっしゃー、くらいだと思いますけど。…アーロン(・スミス=スクラムハーフでニュージーランド代表)がブルーズのフォワードを疲れさせるのがプランだったので、アーロンの判断にしっかりと皆がついていって、本当に皆が意思疎通をして、クイックタップに反応して、最後は自分が…と。チームメイトのサポートに感謝しながら、このトライでおいしいビールでも飲もうかなと」

――同じスーパーラグビーでも、日本のサンウルブズで獲ったトライと違いはあるか。

「そんなに変わらないですけど、単身こっちに来て、日本語も通じず、コーチ陣とうまくやれるかと不安もあったなか、こっちで皆といいラグビーができているというのは幸せな気分になりますね」

――50分で交代。もっとプレーしたかったのでは。

「それは間違いないですね。もう少しプレーしたかったのはあります。(入国以来)試合勘も大分、取り戻してきていいフィーリングではあったので、もう少し80分通してプレーしたかったというのはあります。ただ、ブラウニーがフレッシュな選手をどんどん入れていくという方針であれば、それは間違っていない。ただ、個人的にはもうちょっと出たかった」

――映像では、交代時に「自分?」と驚いていたような。

「そうですね。もうちょっとやりたかったというのが、顔に出ちゃったかなと」

――ブラウニーことトニー・ブラウンヘッドコーチから説明は。

「まだないです。ブルーズのフォワードも強いですし、(ハイランダーズは控えに)フォワードを2枚、入れていて、どんどんフレッシュな選手を入れていく。(シャノン・)フリゼル選手(姫野と同じフォワード第3列でニュージーランド代表)もいい。その意味ではブラウニーの判断を信じて従う。仲間を信じるだけです。でも、個人的にはもう少しやりたかったかなと。

 大分、ゲーム感覚が戻ってきた。試合への準備の仕方であったり、試合へのメンタルの持って行き方であったり…。試合から離れていたなか、それをどう作っていくか忘れがちだったのですが、(いまは)自分のメンタルの持ち方もうまくなってきたし、プレーヤーとしても自分の感覚がいいので、ステップアップしている感じはします」

――ワールドカップ日本大会時が「100」としたらいまは…。

「どうなんですかね。ただ、ワールドカップの時の自分を超えないといけない。その100パーセントを基準に持って、さらに成長しなきゃいけないのは確実です」

――代表候補が発表された。チームは現地で合流するイメージか。

「そうですね、そのつもりで準備をしていこうと思っています。キャンプというよりも、試合に出ることがいまの自分には必要だと思い、ジェイミー(・ジョセフ日本代表ヘッドコーチ=現在ダニーデンに滞在)ともそこは話していますし、こっちに出て試合を重ねた方が自分のためになる。

 トップリーグの試合を毎週、観ていますけど、レベルが高くて、同じポジションの選手にもいい選手が多い。そのメンバーのプレーを見て、自分も2019年(ワールドカップ日本大会)に出ましたけど、おちおちしていられないと、率直に思います。日本のラグビーのレベルも高くなっているので、もっと自己研鑽しないと。自分が強くなることで日本代表の力にもなるので、自分にフォーカスを置いてやりたい。というのと2023年のワールドカップフランス大会で自分の力を最大限に発揮できるよう、ニュージーランドでの挑戦もいい準備としていけたらと思っています」

――国内所属先のトヨタ自動車の選手、もっと入って欲しかったと思わなかったか。

「思ったりしました。はい! ジェイミーと一緒にご飯食った時に『トヨタのあの選手良いね。あの選手いいねって』って言っていたのに、入っていなかったな。そういう感じですね。自分が(スーパーラグビーで試合に)出ることで、トヨタの選手にはいい刺激が与えられると思う。トヨタと直接の関わりはないけど自分たちの活躍を通し、いい影響を与えあえたらと思います」

 今度の代表候補52名のうち、トヨタ自動車の選手は姫野、スクラムハーフの茂野海人といった2019年組に加え、フッカーの彦坂圭克、右プロップの淺岡俊亮の4名(※)。ロックの秋山大地、ウイングの髙橋汰地といった、期待された若手が選外となった。

――改めて、ニュージーランドに来てよかったと思うこと。

「やっぱり、自分には『ラグビーを日本になくてはならないものにする』という夢がある。そんななか、ラグビーを国技にする国の雰囲気、公園で子どもたちがラグビーをやっている姿と、『日本をそいう風』にしたいというロールモデルが日々の生活のなかにある。それはプラスだと思います」

――帰国後、したいことはあるか。

「僕は、そういうラグビーを伝えていくというところにはあまり長けていないと思うので、僕は僕なりにしっかりとグラウンドで自分のパフォーマンスを出す。現役でやっている間は自分が一番、輝けるようにしっかり準備してやることが自分の夢に繋がる。そこは絶対にやらなきゃいけない。ラグビーを広めることは、日本全体でワンチームとなって、得意な人と一緒にやっていければと思います」

※ 4月18日修正

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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