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アマナキ・レレイ・マフィ今季初先発は必然? 第6節私的ベストフィフティーン【ラグビー雑記帳】

向風見也ラグビーライター
NTTコム時代のマフィ。今季は第6節まで出場がなかった。(写真:松尾/アフロスポーツ)

 国内ラグビートップリーグはまもなくプレーオフに突入する。

 4月10,11日の第7節を受け、16チームが「レッドカンファレンス」「ホワイトカンファレンス」に分かれて実施したレギュラーシーズンが終わる。各組上位6チームは24日以降、下位2チームは17日以降から一発勝負のプレーオフトーナメントに進む。

 当初の開幕予定日の直前にあたる1月中旬、各部でクラスターが発生していた。今度のレギュレーションは開幕延期に伴い編まれたもので、全チームがプレーオフで日本一へ挑めるのが特徴だ。

 レギュラーシーズンの上位通過にとってはメリットの見出しにくいレギュレーションのもとでも、ここまでクボタのフラン・ルディケヘッドコーチは第7節での一戦必勝を誓う。

 11日、大阪は東大阪市花園ラグビー場でトヨタ自動車と対戦。6勝1敗同士でレッドカンファレンス2位を争う。

「ひとつのレースしか同時にはできない。トヨタ自動車戦へのプランを立ててやっていくことにエキサイティングな気持ちです。他のカンファレンスのことは何も考えていません」

 勝利への意志と同時に、選手層を広げたい意図も見え隠れする。ここまで負けがないサントリー、パナソニックは前節からメンバーをかなり入れ替えており、日野との前節が中止となったキヤノンはアマナキ・レレイ・マフィを今季初先発させる。日本代表として2度のワールドカップに出たマフィは、NTTコムから移籍して間もない。

 トップリーグ規約の第91条第4項には、こうある。

『第1項の定めにかかわらず、チームは、いつでも、カテゴリB及びカテゴリDの選手を登録することができる。なお、当該選手は、登録を完了してから 14 日目以降の試合に出場することができる。但し、順位決定戦、入替戦に出場する場合、少なくとも1 回はリーグ戦に出場していなければならない』

ここでの「第1項」とは登録選手届出書兼同意書をトップリーグ側へ提出する義務を表す。「カテゴリB」「カテゴリD」は海外出身者の区分で、「B」のルールを総合すると「日本国籍を持たないながらも、ワールドラグビーの定める居住要件を満たせば日本代表資格を得られそう、もしくはすでに得ている選手」と読める。

マフィはこの「B」にあたるため、移籍から14日後以降に開かれる第7節でプレーが可能。何よりプレーオフに出るには、「少なくとも1回はリーグ戦に出場していなければならない」。今度のマフィの先発起用は、必然のセレクションかもしれなかった。

 キヤノンの永友洋司ゼネラルマネージャーは、マフィの今季中の出場へ準備を施していた。異例の受け入れの背景を問われ、こう返した。

「2023年のワールドカップフランス大会への日本代表スコッドにも名を連ねていくであろう彼が、活動できる場所を探しているのなら…と(受け入れた)。NTTコムさんともしっかりと話し合い、理解を得ながらのことでした。彼だけではなく、選手を守るのが我々の仕事。誰が(特別)というわけではなく、皆に気を遣わなければいけないことはあります。現場は沢木(敬介監督)、グラウンド外は私という役割分担を保ちながら続けていきます」

 

<私的第6節ベストフィフティーン>

1、稲垣啓太(パナソニック)…スクラム。タックルと機を見ての接点へのアプローチで防御網を引き締める。

2、マルコム・マークス(クボタ)…強烈なタックルを重ねる。

3、平野翔平(パナソニック)…スクラムで概ね優勢。

4、ブロディ・レタリック(神戸製鋼)…自陣で相手のミスを誘う防御。

5、ヘル ウヴェ(ヤマハ)…突進。ジャッカル。

6、ピーター・ラピース・ラブスカフニ(クボタ)…鋭い出足の防御、ジャッカルで接戦招く。

7、小澤直輝(サントリー)…スコアに繋がるジャッカル。

8、クワッガ・スミス(ヤマハ)…ロールの動きで防御網を切り裂く。劣勢に追い込まれた後半のピンチをジャッカルで凌ぐ。

9、流大(サントリー)…防御の裏側へのキック。

10、ボーデン・バレット(サントリー)…足技で序盤のスコアを演出し、自らのランで決勝トライ

11、岡田優輝(トヨタ自動車)…本来の持ち場と逆側の攻撃ラインへ入って防御を引き付けながらパス。死角へ駆け込むランでトライをマーク。キックパスを受け取ったばかりの相手をタッチラインの外へ押し出す。

12、シェーン・ゲイツ(NTTコム)…バックスペースへのキック。シャープな突破。防御。

13、マイケル・リトル(三菱重工相模原)…エラーを誘うタックル。自陣からの豪快な突破。相手を振り切る動きでトライも記録。

14、ネタニ・ヴァカヤリア(リコー)…大外、相手フォワードの周辺で果敢にボールを呼び込む。再三のラインブレイクを披露。

15、ウィリー・ルルー(トヨタ自動車)…球を持たぬ際の動きの妙でキックパスによるトライを演出。ファーストレシーバーとして相手防御を引き付けた。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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