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松島幸太朗、フランスの舞台は「上半身」が疲れると証言。合同取材で充実の表情。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
(スクリーンショットは筆者制作)

 ラグビーのフランス1部リーグ、トップ14のクレルモンに在籍する松島幸太朗が、11月3日、現地クラブハウスで日本のメディア向けの合同オンライン取材に応じた。

 9月7日の開幕戦でフルバックとして先発。この時は怪我のため途中で退いたが、鋭い走りを披露している。直近の3試合ではウイングで先発出場中だ。

 昨秋のワールドカップ日本大会では、8強入りした日本代表の一員として5トライをマークした27歳。現地での戦いやフランスラグビー界の現状、今後の代表活動への思いなどを語った。

 以下、合同オンライン会見時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――ここまでのフランスでの戦いを振り返って。

「いまのところ1敗していますけど(欠場した9月13日の第2節でバイヨンヌに19-21と惜敗)、他の試合は勝っているのでいまのところ状況はいいと思います。これから強いチームと試合をやる。ここで自分たちがどうやっていけるかがポイントになると思います」

――10月24日の第6節では、ポーを相手に2トライをマーク。手応えは。

「コミュニケーション、連携が取れている。試合中の不安はないですね。トライも取れて、いい方向に進んでいるのではないかと思います」

――続く31日の第7節は自身初のアウェーゲームでした(ブリーブに43―21で勝利)。

「アウェーでの違い…多分、観客がいたらまた全然違う雰囲気になると思うのですが、無観客なので、イメージは、少しつきづらかったですね。いつも通りやれている雰囲気もありましたし」

――実際にフランスで戦ってみて、収穫と課題は。

「収穫…。どんどん回すプレースタイル。そのなかでも色々とオプションがあって、攻撃オプションのなかでも『それが無理なら違うオプションを…』というもの(臨機応変な判断のことか)も皆から出るし、しっかり自分で判断している。

 課題…。もうちょっとアタックのマネジメントのところで、もっといいコミュニケーションが取れると思う。そこだけですね。いまのところ」

――選手としての成長を感じたところは。

「やっと、全ての環境に慣れてきて、この2~3試合はスムーズに練習も試合もできているかなと思っています」

――新天地にフィットするまで。

「最初はフランス語が全く分からないので苦労しましたけど、英語でのコミュニケーションを普段から、練習でも1人ひとりとしっかり取るよう徹底している。いまではなじんでふざけ合える仲になっています。最初と比べたらすごく成長しているかと思います」

――プレー面での変化は。

「周りが見えるようになって、もっとこうしてくれという指示も的確にできるようになってきたかなとは思います」

――改めて、プレーして見ての感想は。

「いま、すごく楽しめています。勝っている時は楽しめている時が多いですけど、仮に負けている状況でも、コミュニケーションを取ってチームが安定できるようにやっていきたいです」

――今後への意気込み。

「日本での放送はないと思いますが、そのなかでも自分がいいプレーをして話題になるように。極力、出られる試合に出て、どんどん活躍していきたいなと思います」

――フランス国内ではロックダウンが始まった。私生活への影響など。

「僕自身は練習もやっているのであまり普段と変わりない感じですけど、オフの時とかに外出するには許可がいる。気軽に外に出られないという不便はあります」

――自宅とクラブハウスの往復という意味か。

「そうですね、完全に自宅とクラブハウスだけになります」

――食事はクラブで出たものを摂っているのですか。

「はい」

――朝にスーパーへ出かけるのも難しそう。大変さは感じるか。

「(ロックダウンは)先週の金曜からだったのでまだ(家に)食材はあるのですが、なくなったら行かなきゃいけないので、不便さは感じると思います」

――プロスポーツができることのありがたさについて。

「スポーツが盛んな国なので、スポーツがあるから皆、頑張れるところもあると思いますし、完全にロックダウンになる前も5000人、1000人という(観客の)人数制限もあったので、観られない人もいたと思います。今回、完全に無観客になったので、観られなくなったという状況が続く。ファンの人たちは観たいと思っていると思います。そのなかで自分たちがやれるのは特別だと思いますし、その試合で自分たちがいいパフォーマンスをしてテレビで観ている人たちにしっかりいい試合をしたいと思います」

――ヘッドコーチやチームメイトとこの状況について話すことは。

「ミーティングではしますけど、皆、いまは施設内でもマスクはしているので。あとは手洗い、うがいという基本のところをやっていくしかないですね」

――親交のあるボクシングのWBAスーパー&IBF世界バンタム級王者・井上尚弥が31日(日本時間11月1日)、アメリカ・ラスベガスでWBO同級1位のジェイソン・マロニーに7回2分59秒KO勝ち。試合は観戦したか。

「(フランス時間で深夜)3時半までしっかり。(自身の)試合の後だったので(興奮のためか)全然、寝れなくて、ずっと起きていました。やっぱりKOで勝つと有言実行していますし、自信があるような感じで試合に臨んでいます。見ているこっちも安心して見ていられた。やっぱ、そういう安心感を与える強さがあると感じました」

――年内の日本代表活動がなくなったことについて。

「まぁ、しょうがないな、ということですね。(予定通り秋に)ヨーロッパに来ても、結局こうやってロックダウンになっていますし、結果的に(見合わせは)いい判断だったんじゃないかと思います」

――しかし日本代表は来年6月、ブリティッシュ&アイリッシュライオンズ(英国の連合軍)と対戦します。

「そこには選手として、モチベーションを持って行けると思います。新しい目標にもなっている。なかなかやれる相手じゃないので、日本にとってもそのことが決まったのは快挙だと思いますし、そういう特別な試合には、出たいですね」

――クレルモンがトップ14のプレーオフ決勝で勝ち進んだ場合は、難しいこともあるだろうが…。

「うーん。贅沢な悩みですけど、もしそうなることがあれば、うーん、どうですかね。1週間でもずれていたら(どちらにも出たい)」

――プレーオフ決勝後、すぐに代表戦という形になりそう。

「全然、普通の試合と違うのでモチベーションは違いますし、全然、出たいという気持ちになっている。どんなに疲れていても。(ブリティッシュ&アイリッシュライオンズ戦は)スコットランドでやるので、(フランスからの)そういう移動の疲労は少ないと思います」

――ここ3試合、本職のフルバックではなくウイングで出場。

「違いというところは、そんなに感じていないですけど、ウイングとしてフィニッシュするところだったり、キックのオプションで『(蹴るべきスペースを見つけて)空いているよ』ということで10番(スタンドオフ)とアイコンタクトとかをしなきゃいけないこと、くらいですかね。フルバックなら色んなスペースを見てどこを攻めるか、自由にできる。その指示の仕方の、違い、ですかね」

――アウェーゲーム時の移動について。

「バスも飛行機もありますけど、ロックダウンになったいまは多分、当日に帰らなきゃいけないのかな? というのがある。先週はバス、今週は飛行機で当日入りして、当日に出るという感じです」

――クレルモンからブリーブまでのバス移動は。

「2時間半くらいです。ブリーブは前日入りでした」

――帰りの食事は。

「バスのなかで、です。基本のところ(感染対策)は、やっています」

――フランスのトップ14では、全般的にどんな選手が求められているか。トップ14で戦うにはどんな資質が必要だと感じますか。

「やっぱり、フィジカルから逃げない選手。基本的なところを皆、やる。あとは、気持ち的な部分が見えないと、あんまり…という感じだと思います」

――身体を当てまくって、わかりやすく闘志を示す選手が好かれそうということか。

「トップ14の感じからするとフィジカルというところがメインになると思います。身体を当てに行って、身体を張るという選手が好まれるんじゃないですかね」

――日本代表の姫野和樹選手がスーパーラグビーのハイランダーズに期限付き移籍。世界で日本代表選手のニーズは上がりそうか。

「このコロナで色んなチームが金銭面で厳しくなったりしているので、そこをどう交渉するかというのが、ヨーロッパではあると思う。スーパーラグビーは全然、わからないですが、ニュージーランドは結構、盛り上がっている印象。レベルの高いところでやれるというのは、プラスになるんじゃないかと思います」

――2トライを奪ったポー戦と31日のブリーブ戦ではボールタッチの回数が違った印象だが。

「比較的、(松島の位置とは逆の)左側を攻める感じが多くなった。意図的ではないですが、試合の流れからそうなった。ウイングにはそういう時も結構あるので、そんなに気にしていないです。先週の試合の途中からは、ディフェンスをしっかりしようという意識が強かったかもしれないです」

――10月28日、第6節のプレーヤー・オブ・ザ・ウイーク(週間MVP)に日本選手として初めて選ばれました。

「自信にはなっていると思いますし、チームとの連携も日に日によくなっていると思う。そこはもっと密にして、やっていきたいですね」

――コミュニケーションを積極的に取っているとのこと。秘訣は。

「基本、オン、オフ(の切り替えを)しっかりするということで。オンはしっかりやって、オフはふざけ合うってところ。いじったり、からかったりというところをどんどんやっていければすぐ打ち解け合えるんじゃないかと思います」

――5~6キロ増量していたようだが。

「やっと慣れたという感じはします。最初は(9月7日の第1節で負った怪我から)復帰してからの1~2週は重い感じがしましたが、それ以降、練習では走れている感覚もありますし、最近は試合で最初に疲れることがなくなってきた。

 疲労度は、どうですかね、フィジカルのところで、次の日に結構、筋肉痛にはなる。足というより、背中だったり、そっちの方に来ますね。トップリーグの時はもっと走っていたので足に(筋肉痛が)来たりしていましたけど、いまはコンタクトをしている上半身で疲労があります」

 フランスにおける激しさを「上半身に疲労が来る」という感覚で表現。グラウンドではタフに戦い、普段は「ふざけ合う」なかでチームメイトからの信頼を集めているようだ。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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