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明治大学・箸本龍雅主将、苦しい時こそ見つめる未来。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
前年度の大学選手権決勝では早稲田大学に惜敗。雪辱を果たしたい。(写真:つのだよしお/アフロ)

 明治大学ラグビー部主将の箸本龍雅が8月、取材に応じ、新型コロナウイルスの感染拡大下における過ごし方や今季の展望を語った。

 

 身長188センチ、体重107キロの箸本は、ロック、フランカーとして鋭い出足の突進、タックルを持ち味とする。東福岡高校、高校日本代表でも主将を務め、大学での船頭役を任された今季はサンウルブズ(国際リーグのスーパーラグビーに日本から参戦)の練習生にもなっていた。

 卒業後は国内トップリーグのクラブへ加わる見込みで、別メニュー調整中の現在も早期の日本代表入りを虎視眈々と狙う。

 

 以下、単独取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――7月中旬に練習再開。

「7月いっぱいは体力づくりがメインで、8月からは徐々にラグビーの要素が入ってきて、という感じです」

――自粛中は部員の約半数が帰省。残ったリーダー陣は、日々、自主練習のレビューなどをしていました。

「自分たちでできることを考えてやってきていて。コーチたちが練習に介入してくれているいまも、メニュー(の作成)以外の練習の状況などについて話す習慣がついている。いい期間だった。リーダー陣は、コロナ期間(全体練習再開前のことか)は毎日、集まるようにしていて、いまは週末に集まってその週の練習の雰囲気、(問題点を)指摘し合えているかについて話し合う。何かあれば、コーチ陣の部屋に行って思ったこと、したいことを相談できるようになってきました。ラグビーの練習が入ってきたいまは、練習のフォーカスポイントについて選手間で『?』となったことをリーダー陣がコーチに確認。その内容を選手たちと共有する形です。ただ、伊藤宏明ヘッドコーチからは、『?』と気づいた時にその場でコーチに聞くのが一番、という話も出ました。その場で練習を止めてでも遠慮せずに聞いて、すぐに理解できるようにしていこう、と。自分のプレーだけじゃなくて、周りの選手の感じを見ながら、というイメージ(を持っている)」

――心は、折れなかったか。

「ラグビーのできない期間にモチベーションを保ってトレーニングするのは、難しい。身体を当てないと実感しづらい部分もあるので。でも、自分はこれから(卒業後も)ラグビーを続けていきたいし、なるべく早く上のカテゴリーへ踏み込んでいけるようになりたい…。そういう思いも、いまのトレーニングのモチベーションになっている。今年あまりラグビーができなくても、その先がある。そう考えてやっています」

――10月とされるシーズン開幕に向け、限られた準備期間しか与えられていません。

「例年の半分くらいしかチームを成長させる時間がないので、その分、コミュニケーション、集まる回数を増やさないと。自分たち主体でやらないと、いいチームは作れない。自分的には、そういう考えがあります。今年は去年まで試合に出ている選手も多いし、試合への意識は持てていると思うので、そういうものを発信しながらやっていく。考えられる選手の数が多ければ多いほど、いいチームになる」

 今季は、試合を通して成長するビジョンも持ち合わせているという箸本。輝かしい未来を見据えて自身のモチベーションを保ちながら、選手主体の組織作りを目指しているようだ。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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