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早稲田大学・齋藤直人、帝京大学戦勝利とワールドカップへの思い語る。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
「目標から逆算して、自分の計画を立てています」(写真は著者撮影)

 早稲田大学ラグビー部の齋藤直人主将は、11月10日、東京・秩父宮ラグビー場での関東大学対抗戦Aの帝京大学戦に34―32で勝利。後半ロスタイムに敵陣深い位置で連続攻撃を仕掛け、自ら逆転トライを挙げた。

 一昨季まで大学選手権9連覇中の帝京大学に対抗戦で勝ったのは9シーズンぶり。

 

 齋藤は身長165センチ、体重73キロのスクラムハーフ。素早いパスさばきとゴールキックの技術、攻撃中の好判断が光る。昨季は学生で唯一、今年のワールドカップ日本大会に向けた日本代表候補になっている。

 

 以下、共同会見、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――試合の感想は。

「多くのお客さんのなかでプレーすることができて光栄に思います。厳しい戦いになると思っていて、自分たちのミスから余計に苦しくしてしまったところは反省ですけど、最後に勝ち切れたことが本当によかったです」

――決勝トライのシーンは。

「3点で同点という話はチーム内ではなく、トライを狙っていました。反対に取り急ぐ場面があったのですが、苦しい時こそひとつひとつ積み重ねて、自分たちの強みである走り勝つというものを最後に体現しようと話していて。数多くのフェーズを重ねて取りきれたことがよかったです。最後は自分がグラウンディングしたというだけで、チーム全員が頑張ってくれたおかげです。あまり覚えていないですけど…必死でした。

 あのフェーズの2つ前くらいで岸岡(智樹)に(パスを放るよう)呼ばれていて。ミスマッチ(自軍の身軽なバックスと相手の大きなフォワードとのマッチアップ)だったので取りきれると思ったんですけど、なぜか小林(賢太=右プロップ)君に渡ってしまって、取れなくて(場内、笑い)。でも、流れ的には行けると思って、ああいう(トライを狙う)判断をしました」

――全体的に、敵陣22メートルエリアに入ってから落ち着いていたように。

「キャリーして、レッグドライブして。一発で取りきらないことを全員が共有できていたのが、よかったと思います。ボールを持てばアタックは通用するという自信はあったので、落ち着きはあったと思います」

――ワールドカップ日本大会を見て学んだことは。

「日本代表の皆さんが口を揃えて言う『信じ続けること』。それが大事だなと感じました。自分たちを信じるためには、並々ならぬ努力が必要だとも思いました」

――海外の選手からのインスピレーション。

「小さい選手の活躍は刺激的でした。サイズは言い訳にならない。努力次第で、自分もああいったレベルで戦えるんだなと。サイズに関して、ですけど。南アフリカ代表のスクラムハーフの2人は印象に残りました(ファフ・デクラークとハーシェル・ヤンチース)」

――日本の学生で最もワールドカップに近づいていた。出られない悔しさは。

「『候補に入っていた』と言ってもらっていたけど、その意識はあまりなくて。形だけは入っていましたけど、特に何かをしたとかはないので。…でも、本気で狙っては、いた、ので――ちょっと、恥ずかしいですけど――その意味では悔しかったですし、4年後に絶対に出場したいという気持ちは強まりました」

――今年2月、候補合宿の練習を見学しています。

「(コーチを務めていた)堀川隆延さんから『見に来れば』と連絡してくれて」

――改めて。キャプテンとして残りのシーズンへ向けて。他選手によれば、リーダー陣の充実でキャプテンの負担は軽減されているようですが。

「歴代のキャプテンの方と話しても、対抗戦中は悩むと聞いていたのですが、いまのところそれがないので逆に大丈夫かなと。のびのびやらせてもらっています。でも、先週の木曜、チームスタッフ、選手と4年生の役割とかについて話し合う機会があったんですけど。グループワークで『もっと自分らしさを出せよ』と言われて。自分ではのびのびやっていたつもりなんですけど。…いい意味で、わがままにやっていこうかなと」

 いま目指すのは、2023年のフランス大会出場だ。そのためにまず、今年7月の対イングランド代表ツアーで代表デビューを果たしたい。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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