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日本代表・田村優、プレッシャーは「軽減されない」。でも…。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 ラグビー日本代表は10月13日、神奈川・横浜国際総合競技場でワールドカップ日本大会の予選プールA最終戦に挑む。相手はスコットランド代表。7日、司令塔の田村優が都内で展望を語った。

 チームは現在3連勝中。特に9月28日は静岡・小笠山総合運動公園エコパスタジアムで世界ランク2位のアイルランド代表を19-12で破っている。

 田村は現体制下で不動の司令塔とされる30歳。会見中は、プレッシャーとの向き合い方について聞かれる延長でチーム状態を語る一幕もあった。

 以下、共同取材時の一問一答(編集箇所あり)。

――予選プール最終戦に向け、どんな状態か。

「きょう身体を動かして。まだリカバリーの段階だと思うので、しっかりリカバリーをして、明日から本格的な準備に入ると思うので、そこに備えたいと思います」

――サモア代表戦。なかなか点差が離れない時間帯もあったが収穫は。

「いや、4トライ取ってボーナスポイントが取れたことがすべてだと思います」

――スコットランド代表戦は決勝トーナメント進出がかかる可能性も高い。

「まだどんなプランで僕らがプレーするのかも全然わからないですし、具体的なところは全然わからないですけど、1週間を通していい準備をするということは変わらない。ここまでの3試合よりいい準備ができればいいと思います」

――次のスコットランド代表戦は田村選手のキャリアにおいてどんな位置づけになるか。

「僕が個人的にどうこうというより、チームとしてのこのワールドカップが始まった時からこの試合が鍵になるだろうと言っていましたし、勝ち点、ボーナスポイントがどうこうというのはありますけど、そういうのはもう1回切り離して、本当にスコットランド代表に対して完璧な準備をして、あとは、やるだけという状況にしたいです。僕個人的にひとりでどうこうできるわけではないですし、31人とスタッフ含めて過去最高の1週間の準備をしたいです」

――連戦。疲労度は。

「きょうは疲れていますけど、リカバリーをちゃんとして。大丈夫です。試合の日にはベストコンディションになるように毎日練習を頑張って…としか頭にないです」

――スコットランド代表とは、イングランド大会で対戦して敗れています。4年前のことは記憶に残っているか。そのことが今回のゲームに向けた思いにつながるところはあるか。

「まぁ、めぐりあわせかなとは思いますし、それくらいですかね。まぁ4年前は中3日で苦しい状況で試合をして(スコットランド代表は当日が初戦だった)、今回は逆の立場になりますけど(スコットランド代表が中3日、日本代表は中7日)、そこは特にどちらに有利、不利もないと思いますし。まぁ、何ですかね、皆、色んな思いがあると思いますけど、それを試合当日に全部出したいな、とは思っています」

――開幕前、「プレッシャーはある」と話していたが、どう向き合っているか。

「もちろん大きいプレッシャーは常にかかっています。でも、その、何て言うんですかね…。メンタル面、スキル面も同じくらい1週間かけて準備していて。これ(プレッシャー)は軽減されることはないと思うので、準備をしっかりする。もう、本当に、準備。自分のプロセスを信用して、あとは、土曜日(一般的に試合が多くおこなわれる日)、なるようになるというか。完璧を求めすぎない。シンプルに100パーセント、楽しむだけ。そうすればミスをしようが成功しようが、それが僕、それでいいんだというチームだと思うので。そういう風になっていけば、プレッシャーよりも100パーセント出し切ることが(心のなかで)先に出てくる。そのようなチームになってきています」

――松島幸太朗選手はトライ王に対し「チャンスがあれば」と興味を示しているが、現在得点ランキングで1位の田村選手はタイトルについて興味はあるか。

「いや、あんまりないです。でも、(表情を崩して)マツはトライ王になると思います」

――試合中に多用してきたハイパントについて。収穫と課題などは。

「終わったことなのであまり気にしないです。まぁ、どうですかね。あんま覚えてないです」

――ペナルティーキック獲得時、ペナルティーゴールを狙うか、トライを狙うかの選択について。10月5日のサモア代表戦(愛知・豊田スタジアム)ではピーター・ラブスカフニゲーム主将と話し合い、決断を下すまでに長引いた場面もあった。次も接戦になりそうだが、ラブスカフニ選手とはコミュニケーションを取ったか。

「まぁ、上からの伝達もありましたし…。英語で、何を言っているかはわからない(場内は笑いに包まれる)。ただ、それだけで。別にどこからでも狙いますし、しっかり自分のルーティーンをやる。結果はそこまで気にしないです」

――ゴールキック好調の要因は。

「要因…3試合して徐々に身体もなじんできて。でも、僕のラグビーのプレーのなかでのほんの何パーセントかのプレーのひとつ。フォーカスされやすいプレーではありますけど、本当に僕が80分戦っていくなかのひとつのプレーだと思っているので。ラグビーでは他にももっといっぱいやることがあります。もっとゲーム自体のことにもフォーカスします」

――スコットランド代表にどんな印象があるか。

「(笑みを浮かべ)うーん。これから映像を観ていきたいと思いますし、皆それぞれいろんな思いがあると思いますし、リーチ(マイケル主将)もテンション上がってますし。相手の印象とかどんなプレーをするかとかは、これから徐々に(分析)していきます。それよりも皆、気持ち的な部分がサモア代表戦終了時点で高ぶっていますし、僕自身も高ぶっています。でも、皆、謙虚なんで、しっかり準備をする。あまり相手のことについては言いたくないです。でも日曜日は全力で、爆発するはず、です」

 普段から「僕がいいプレーをするには皆にいいプレーをしてもらわなきゃいけない」と、チーム間の連係やプレー中のコミュニケーションを大切にしてきた。それゆえプレッシャーへの対処について語る際も、仲間とのつながりを強調した。

「しっかり準備をする」

 相手のことはコントロールできないが、この一点だけは約束できるという。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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