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プロップ転向で日本代表入り。ヴァル アサエリ愛の「チャレンジ」。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
身長187センチ、体重115キロ(著者撮影)。

 日本代表のヴァル アサエリ愛が9月2日、20日開幕のラグビーワールドカップ日本大会へ思いをはせる。6日には埼玉・熊谷ラグビー場で南アフリカ代表と戦う。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――改めて、ワールドカップ日本大会の日本代表メンバーとなった気持ちは。

「まず、嬉しかったです。いろんな方に支えてもらったおかげですね。ワールドカップに入って、もう、気持ちだけ、入れていこうかなと思います」

――大会前に対戦するのは強豪の南アフリカ代表です。

「強い相手。ですけど、自分たちもいままできつい練習をやって来た。毎日、毎日、スクラムを組んできた。チャレンジですね。ワールドカップ前の。試合でどこまでできるか。1人ひとりのパワーを出さなきゃいけないです」

――自信は。

「前より自信がついているので、あとはもう試合のなかで出すだけです」

――4年前のラグビーワールドカップイングランド大会で、日本代表は南アフリカ代表に勝っています。

「4年前のワールドカップは驚き。自分のなかで勝ったのがびっくりな試合でしたし。もう1回勝ちたい。

 (日本時間の明け方にあったその試合は)見てなかったです。結果は起きてから知りました! …そうですね、信じられなかったです。はい。その時のワールドカップでは日本代表が活躍して、世界に日本のラグビーを見せた。

 あとは自分がプロップになったのが、大きいところですね――」

 トンガ出身のヴァルは、正智深谷高校、埼玉工業大学を経て2013年にパナソニック入り。2014年に日本国籍を取得した。もともとナンバーエイトだったが、2015年にスクラム最前列のプロップに転向。2017年に日本代表デビューを果たしている。

――日本大会出場を具体的に目指したのは、いつ頃からですか。

「パナソニックに入った時からずっと代表になりたくて。でも、バックローのあれ(定位置獲得)が難しくなって、ロビーに『プロップをやらないか。そっちのほうが代表になれるよ』って言われて、それでプロップになって。転向1年目、ワールドカップ後のトップリーグ(2015年度)の1~2週間前の試合でメンバーに入っていたので。自分でも『これ、がんばったらいけるかな』と。

 たまに悩んだこともあったけど、2017年になってジェイミー・ジョセフヘッドコーチに呼ばれて、それで2年後に代表デビューしましたね」

――プロップはスクラムが大変。

「大変ですね。やーっぱり、前でスクラムを組むのはすごい。プロップの人はよくやってるな、って感じですね。スクラムを組みながら走らなきゃいけないし、仕事をしなきゃいけない。いまのジェイミーは『プロップは、スクラムだけじゃない』。タックル、ボールキャリーもできないと認めないみたいです。(自身は)バックローをやっていたの(経験)があったから、それができたってことです」

――現代表のフォワード第1列にはパナソニック勢が多い。左プロップに稲垣啓太選手、フッカーに堀江翔太選手、坂手淳史選手がいます。

「いつも一緒に出ていたメンバーだからやりやすいし、コミュニケーションも迷わない。わからないことはガッキー(稲垣)に聞いたり。2人(パナソニックの左プロップとフッカー)と並んだ時は、安定感があります」

――左プロップには、ヴァルさんと同じように来日後に転向した中島イシレリ選手がいます。中島選手は今年に入って高校時代にプレーした左プロップへ転向し、新ポジションでのテストマッチ(代表戦)は未経験。

「アンダー15の時は僕がナンバーエイトでイシがプロップ。ジャパンでは最初はその逆で、僕がプロップでイシがナンバーエイト。いまは2人ともプロップ。トンガ時代から仲良くいい友達なので、2人でワールドカップに行けることは、僕も嬉しいです」

(合宿では)部屋も一緒なので、たまに試合の話をしたり、宮崎の時にも『2人で出られたらいいな』という話を何回も。(大学時代は)僕は埼玉工業大学という2部のチームで、イシは流通経済大学というトップクラスの大学にいたから、菅平(夏合宿地)で話すくらい」

――体調は。

「いまは調子もコンディションもいいし。去年は怪我とかあったけど、今年に入ってすごい、去年まではスクラムは毎日組んでいなかったので、宮崎(6月からの長期合宿)から毎日、(スクラムを)組んでいた。それが僕にはよかった。きついけど、自信になりました。相手を倒すために組まなきゃいけない」

 右プロップには韓国出身で現体制下有数の経験値を誇る具智元、今年代表入りの木津悠輔が並ぶ。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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